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日本のIT屋に一言

さようならブラック企業 バリバリの開発会社から企業の社内SEに転職して経験してきたことを話します。

さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」(1) (ヤングキングコミックス)

相変わらず人手不足と自分の周りでも言っている。
「誰か優秀なエンジニアいないかな?」

「で! どのぐらいのギャラを出す」

「一ヶ月で25万円ぐらいで」

「帰りやがれこのやろう!」

こんな状況である。
え? 一ヶ月で25万円なら良い方ですか?

これが、今の日本のIT産業の現状です。
今回の日本のIT屋に一言は、
さようならブラック企業 開発会社から社内SEに転職して経験してきたこと
と題して今までの経験上から想像したフィクションを書いてみます。

最後までお付き合いいただけたら幸いです。

見積もりの出来事

バリバリの開発会社から企業の社内SEに転職して経験してきたことを話します。

一般企業(IT企業ではない)で何かネットサービスを始めるときにまず予算を立てます。
予算と言ってもシステムにズブな素人が多いので「企画書を作成して」開発会社に見積もりを出してもらうところから開始です。

企画担当が作った?「(つくらせたかも知れない)企画書」を元に開発会社に説明
システム屋として言わせてもらえば、正直「支離滅裂」な場合が多く「企画書」として十分練られていない。
100件に1件ぐらいは、「できるやつ」と「企画書」に出会うのだが、5000枚の画像ファイルから1枚の猫の写真を見つけるぐらい確立が低い。

開発会社は、質問を行います。
「サービスを利用する人数をどのぐらいを想定していますか?」

帰ってくる答えは、必ず多めの数字がでてきます。

「おおよそ1年後に100万人を想定しています」

「おおおお! 凄いな、100万人を1年で集めることができるとは、広告費も半端なさそう」

開発会社は、この数字でシステムの規模を想定、システムの構築基盤を決定する。
インフラ、データベース、プラットフォームなど決定事項は、多い

企画担当は、一通り説明を終えると必ず聞いてきます。

「どのぐらい費用がかかりますか? ざっくりとで良いので教えてほしい」

あのさ!
今、説明聞いただけで見積もりの数値など言えるわけ無いでしょ!

「持ち帰って検討する」と言っても

「本当! ざっくりでいいんです ざっくりと」

としつこいプロジェクト担当

開発会社としては、

「ここで数字を言うと その数字が一人歩きをするので言いません」

少なくても自分が開発会社だったらそうします。

「本当! ざっくりでいいんです ざっくりと」
シツコイなぁ

おそらく、企画担当の上司から

「だいたいでいいから値段を聞いてこい」

と言われているのであろう。

こういうときは、「絶対に数字を言わない」か「絶対に儲かる金額を言う」
一緒に同行している営業は、ここでに開発担当に耳打ちする。

「こんぐらいでできない・・・」

たいてい低めな数字を囁いてくるのですが、
そんな数字で

「できるわけがない できなくて責められたくないから 言わない」

もし数字を言ったとしても、その数字の高い安いを置いておいて
100%帰ってくる答えが

「えええ そんなに高いの」

「はい、かかります。」

あなたの書いてきた「企画書」を全部組み込むと

「かなりかかります」

そもそも、その「企画書」内容が大雑把すぎで、このあとどれだけ盛り込んでくるかわからない。

そういうときは、「億ですね」と答えれば諦めてくれる。

「ところでサービス開始は、いつを予定していますか?」

「今年の10月です」

ってあと3ヶ月

営業には、わるいけど、こんな地雷のような仕事は受けません。

200万円で一年後に100万人ベースのサービス

開発会社が帰るとこう言います。企画担当者はこう言います。

「なんだよあの会社 値段高すぎ」
「これぐらいなら 200万でできるだろうが・・・」
「B社なら もっと安い金額でやってくれそうだ」

その200万円という数字、おそらく、上司から言われている数字であろう。
もっともその上司もズブな素人なので
過去の開発でかかった数字を言っているに過ぎない

あるいは、適当な数字で経営者と掛け合ったのかも知れない。

「年間売上を2億で想定、開発費は、200万程度」

「儲かりますぜ!!!!」

自分なら

「ズブの素人のあんたに言われたくないわ」

開発費用が、200万円で一年後に100万人ベースのサービスって虫が良すぎませんか?
でもね! 実際にそんな企業があるんです。

見積もり時

1週間後、概算見積もりを提示
見積り金額は、2000万円で期間は、6ヶ月とします。
※これでも大サービス価格です。

企画担当者の第一声
「こんなにかかるの・・・」

やっぱりね! そう言うだろうと思っていた。
いいよ、こんな地雷仕事 断って下さい。
と思うと

企画担当者

「これとこれとこれを外したら 200万円にならない?」

あのさ、それだと「企画書の半分」程度になるよ!

「それと 納期は、3ヶ月後は、必須です」

地雷度が増大、こんなところとは、おさらばしよう!
と思っていると

「試験は、こちらでやるから 値下げしてくれない」

「それと ドキュメントも省いていいです」

「納期に間に合わせるために 最初はここまでで」

開発者のみなさん このセリフが出てきたら
絶対にこの案件は、受けてはいけませんよ

こんなことを言う会社に限って

「絶対にまともな試験はしません」

いや

「できません」

トラブルが出たら

「必ず 開発会社の責任を強く問う会社の典型的なパターンです」

交渉は続く

さらに交渉は、続きます。

企画担当者

「こちらも全面的に協力するので なんとか 納期と費用を考えてもらえないか」

こういう場合、他の会社に見積りを出したけど、高額なので断られた場合が多い

企画担当者

「そうしても10月までにオープンしなければならないんだ」
「お願いだから再見積もりをお願いしたい」

やぁーだね!

こんな仕事受けたら、オープンに間に合わないか、時間がないためにトラブル多発
挙げ句に「バグが出たのは御社のせいだ」と裁判ざたが目に見えてる。

ブラックな案件はなぜ生まれるのか?

ここまで、極端なシュミレーションを書いてきましたが、これは、実際に自分が経験していることを少しオーバーに書いたものです。

日本の企業は、発注側が偉くて受注側が下でにでることが、多いのが特徴です。
このようなブラックな案件もよく見られます。

なぜ、金額が先にありきで納期が短いのか?

日本企業の多くは、稟議までに時間がかかり、決済がなかなか下りない。
企画担当者が、サービスについて何も調べていないし興味がない
にもかかわらず、上から言われたので実行してしまう。

決定権を持っている人が、絶対的で

「そんなサービスは、ダメ」と言えない場合が多い。

そして、最大の問題は、IT業者を下に見ていることなのです。

値下げを要求すれば従う
無理を言えば通る
ITのように目に見えないものにおカネを払いたくない。

ざっくりと 言ってしまえばこんな感じです。

こういう企業とは、お付き合いをしないほうが懸命です。
高い見積もりで断るのではなく

「うちでは、できません よそを探して下さい」

と言いましょう。
好き好んで地雷を踏むことはありません。

もっと問題なのは、多重下請け

このようなブラックな案件を受ける会社もあるのです。
受けた会社は、より安い企業に下請けに出し、さらに下請けが存在します。

値段がどんどん安くなり、実際にシステムを構築している人は、バイトのようなギャラで引き受けます。

元請けのマネージャーという無用の長物のような人が、高額なギャラで実際にシステムを組んでいる人が低賃金で働く人は、いくらでもいるんだぞ!

そういうシステムが、日本のIT業界で長年に渡って続いてきたのです。

できる社内SE

極端なシミュレーションを題材にして話を進めてきましたが、こんな状況ばかりだとITエンジニアを目指す人などいなくなります。

プログラマーは、特殊技能であって、最下層の仕事ではないのです。

1000万円級のプログラマーがいてもいいはずなのに、多重下請け精度で苦労せずに儲けてきたIT企業も悪いし、ITやデジタル技術のように目に見えないのものにカネを払わない発注側も責任があります。

こんなブラックな案件は、発注側、受注側双方に解決しなければ、このまま続くことになるでしょう。

そのためにも「できる社内SE」が必要になります。
なにもパソコンのお守りが仕事ではないのです。

案件に対してものを言える経験が必要です。

もっとも日本の場合、「社内SEとしての地位が低い」ことが多いのです。

予算、人の決定権をもつ「社内SE」とプロジェクト単位に人の出し入れができる柔軟な人事がこれからの企業に求められると個人的に思っています。


まとめ

こんなギャラじゃ相手にされない。 ブラックな案件はなぜ生まれるのか?考えてみよう
というタイトルでここまで書いてきたのですが、自分のような老エンジニアがブログで何を言っても変わらないと思います。

しかし、このような多重下請けが当たり前のようなシステムを受け入れたのも自分たちの世代です。
若いエンジニアの皆さんは、このような悪習慣を壊して、日本のIT業界を引っ張ってほしいと願っています。

鍵は、社内SEと柔軟なプロジェクト体制だと思っています。
長々と読んでいただきありがとうございました。

何かのヒントになれば幸いです。

 

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