2019年10月からサービスが開始される楽天電話事業は、ごく一部の人だけに限定して開始されそうです。
2019年8月9日の楽天決算説明会より
東京23区、大阪市、名古屋市で基地局を設置しているそうですが、基地局工事がかなり遅れているという情報も出てきている。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00271/?P=1
楽天電話事業開始まであと2ヶ月半
未だに料金体制も何も出てこない楽天電話事業に対してdocomo,au,SoftBankは、どのように対応するのか?
今回のIT小僧の時事放談は
【真夏の携帯電話事情】楽天電話事業は、ホップ・ステップ・ジャンプを予定 最初は、一部のユーザーだけになりそうです。
と題して楽天電話事業と他3キャリアの状況についてブログにまとめました。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
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目次
楽天電話事業の状況
楽天の電話事業は、2019年10月からサービスされます。
基地局設置遅れ
基地局設置の遅れが、伝えられている。
楽天と取引のある複数の通信機器メーカー関係者によると、サービス開始直前の9月末までに5000~6000基程度の基地局を設置し、10月からのサービスに利用する計画だったという。だが工事の遅れに伴い、足元では2500~3500基ほどに下方修正している。
この下方修正した計画の達成も現状では疑問符が付く。監督官庁である総務省が携帯各社から情報提供を受けてインターネットで公開している「無線局免許状等情報」によると、7月30日時点で正式稼働している楽天の基地局の数は東京23区内で「100」、関東エリア全体でも「118」にとどまる。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00271/?P=1
そして2019年8月15日総務省から工事の遅れについてコメントが出された。
石田真敏総務相は15日の閣議後の記者会見で、10月に携帯電話事業に参入する楽天モバイルの基地局整備が遅れていることについて「7月に今年度末の計画値を確実に達成するための修正計画の提出と実行を要請した」と正式に明らかにした。
試験の遅れ
また、試験についても芳しくない情報が流れている
携帯電話事業では設備投資の大部分を基地局のコストが占める。世界の携帯電話会社はその設備に主にスウェーデンのエリクソンやフィンランドのノキア、中国のファーウェイの大手3社のものを使うのが一般的。その3社で世界シェアは8割に達する。
それに対し、楽天は台湾メーカーの汎用サーバーに米スタートアップ、アルティオスター・ネットワークスのソフトウエアを載せるといった大胆な策に出た。狙いはコスト削減だ。アルティオスターの技術を使えば、専用ソフトを組み込んだ従来方式と比べて、メンテナンスのコストが下がるほか、新たな技術を導入する際も素早く対応できるという利点がある。
ただ、楽天がこの通信インフラを使って商用環境での本格的なテストに取りかかったのは、サービス開始を3カ月後に控えたこの7月になってから。「一部の部品で納入が遅れ、なかなか作業に取りかかれなかった」と、ある関係者は話す。
現在、日程などは、出ていませんが、おそらく
サービスインは、10月中
消費税増税の話題と被らないように日付をずらしてサービスイン
と予想しています。
冒頭に上げた回線工事の遅れもあるので10月1日は、厳しいだろう。
楽天側では、
「8月以降は基地局の開設ペースが上がり、10月のサービス開始までには社内で設定した目標値に届く予定だ」(楽天広報)
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00271/?P=1
と言っているけどどうなるか不透明
自力でやるしかない
さらにdocomoでは、
楽天の格安スマホ事業向けに回線を貸し出すNTTドコモの吉沢和弘社長も「携帯事業を自ら展開するのなら、当社から借りている(格安スマホの)回線を返すのが筋だ」
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00271/?P=1
と言っているわけで、これは、
格安SIMの楽天モバイルには、回線返せ!
という厳しいお言葉
また、地方でのローミング(地方では、auの回線を借りる)を予定しているKDDIでは、
東京23区内などでも楽天に回線を貸し出す可能性について
「それはない」とKDDI高橋誠社長が否定
つまり、東京23区、大阪市、名古屋市では、自力で回線を用意しなければならないことがはっきりしている。
こんな状況下で
2019年8月9日の楽天決算説明会で出た話だと
- サービス開始段階ではネットワークの安定性を確認しながら小規模でサービスを開始
「ホップ」 - 1〜2カ月ほど様子を見たうえでオンライン上で契約を募る
「ステップ」 - その後リアル店舗などで大規模に顧客を獲得
「ジャンプ」
という方針であることがわかった。
いきなり フル稼働だと「絶対にやらかすだろう」
回線接続業者にとって
「電話はつながってあたりまえ」
「つながらない電話は、使えない」
ということで少数の人にだけ携帯電話の契約をさせて開始
で考えられるのが、有名 YouTuber に契約させて
「楽天の電話 こんなにつかえるよ!」
なんてやりそうな感じがするのですが、どうでしょうか?
あるいは、IT関連のマスコミに電話を配布して「よいしょ記事」を書かせるとかしそうな気もします。
※あくまでもIT小僧の勝手な想像ですよ 想像!
とにかく、いくら安くても 「使えない携帯電話」は、ありえないので
1回線しか持っていない人は、慎重になるでしょう。
個人的にも頑張れ! と言いたいのですが、
Softbankの開業時より条件が厳しいので当分は様子見かな
「我々はネットワークの安定性に大きな自信を持っている。ただ完全に仮想化された世界初のプラットフォームということもあり、念には念を入れてホップ・ステップ・ジャンプでの展開を考えている」
楽天の三木谷浩史会長兼社長
結局、工事の遅れに対しての保険をかけたような気もしますが、はたしてうまくスタートが切れるかどうか?
勝負は、この暑い夏のなかでの工事やさんにかかっているのでしょう。
電気通信事業法改正
昨年の夏から総務省が、半ば強制的に進めてきた「電気通信事業法改正」が通過すると、携帯電話会社にかなり厳しい状況が待っている。
「モバイル市場の競争促進に向けた制度整備(案)」
- 2年縛りの中途解約時の違約金上限が1000円
- 通信契約に紐づいた端末値引きはすべて禁止
- 通信契約に紐づかない端末の値引き額上限も2万円に制限
なにより大きいのが、
「通信契約に紐づいた端末値引きはすべて禁止」
これまで2年縛りが条件で「実質 半額」のような形態で高価なスマートフォンも比較的低額で使用することができたのですが、これが、一切禁止
iPhoneもAndroid端末も定価で販売すなければならない
さらに
「通信契約に紐づかない端末の値引き額上限も2万円に制限」
最大の値引きでも2万円
これでは、高価なiPhoneをはじめハイスペックしか販売していないXperiaもヤバい状況になりそうです。
変わりに、ミドルスペックが中心のシャープやファーウェイがさらに販売数を増やすと思われます。
さて、そんな状況下で docomo,au,SoftBankは、楽天電話事業に対してどう考えているのかみてみよう
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docomo
2019年7月26日に発表されたドコモの第1四半期決算によると
- 売上高が前年同期比1.5%減の1兆1593億円
- 営業利益が同10.1%減の2787億円
減収減益の決算となった。
原因
- 分離プランを採用した新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」
- 低価格のプラン「シンプルプラン」「docomo with」などの影響
対楽天
楽天電話事業の料金プランが出てくるのを「見極めている段階だ」としている。
docomoは、2019年6月に分離プランを出したばかりで、楽天電話事業を見据えて再度料金プランを見直す可能性を示唆している。
au
2019年8月1日に発表されたKDDIの第1四半期決算によると
売上高が前年同期比2.0%増の1兆2461億円
営業利益が同11.4%減の2558億円
増収減益の決算となった。
原因
- ミャンマー事業で決算時期が変更
- 2023年3月末の3Gサービスの終了による3G契約者の4Gへの巻き取り費用
「進捗率は25%で順調に来ている。通期予想については計画通り実現していきたい」
代表取締役社長の高橋誠氏
要因は一時的なものも多いとしており、業績自体は計画通りとコメントしている。
対楽天
2019年6月より「新ピタットプラン」など3つの新料金プランを順次導入したばかりなので、各料金プランへの影響はありえるが、料金プランは楽天モバイルの出方を見ながら調整をしていくとしながら、基本的には現行のものを維持する考え
ただし、2019年9月末をもってアップグレードプログラムEXを終了となっているため、機種変更でこのプランを使おうとしている人は要注意
SoftBank
2019年8月5日に発表されたSoftBankの第1四半期決算によると
売上高が前年同期比5.8%増の1兆1648億円
営業利益が同3.7%増の2689億円
増収増益の決算となった。
原因
- ソフトバンクとワイモバイルですでに競争力のある料金プランを提供しており、新料金プラン導入の必要がなかった.
- ソフトバンクブランドで6月より提供している「スマホデビュープラン」で他社からも番号ポータビリティで顧客を取得している。
競争力のあるプランなのでdocomo,auのように2019年6月に新プランを出す必要がなかった。
なにより、ワイモバイルブランドの影響力は大きい。
料金に不満があってもワイモバイルに移行するという手段があるので実質的にSoftBankから顧客が出ないという利点がある。
サブブランドの効果は大きい。
対楽天
「10月以降も知恵を張り巡らせて拡大作戦をやりたい。事業法が変わったから低調になるというパターンじゃないようにしたい」
「これから楽天モバイルが料金プランを発表すると思う。それを見ながらやっていく」
代表取締役社長執行役員 兼 CEOの宮内謙氏
Softbankの考え方は、「モバイル市場の競争促進に向けた制度整備(案)」の「2年縛りの中途解約時の違約金上限が1000円」ということに関して
「他社から顧客を奪う」というプラス思考で考えているようです。
どちらにしろ「楽天の出方を待つ」という状況のようです。
まとめ
楽天電話業が成功するかどうかは、基地局の工事状況にかかわっているわけですが、工事が予定どおりとしても通信品質を保つためには、さらなる調整と基地局増加にかかっているでしょう。
渋谷、新宿などで他社並みの通信品質が得られなければ「使えない」という烙印が押されてしまいネットで拡散されると思います。
いくらCMをしてマスコミ対策をしても悪評を抑えることもできません。
「docomo,au,SoftBakがつながっているのに楽天だけが、つながらない」
という事象が致命的となるわけです。
「つながって当たり前」という日本の携帯電話事業での新規参入は、相当厳しい状況になるはず。
新規事業が成功するかどうかは、こんな意見もあるようです。
業界では「そろそろ政府から内々に楽天支援の要請があるのでは」(通信大手幹部)
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00271/?P=1
あと2ヶ月半、新しい情報が入ったら続編をまとめます。
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続報
2019年9月6日 楽天の発表があったわけだが、料金プラン、サービス開始について、明確にしなかった。
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楽天の携帯電話事業は、半年先送り? 一方、SoftBankは、破壊力のある料金プラン 2年縛りなし、途中解除料金¥0 発表
2019年9月6日(金)楽天の電話事業が、事実上、半年先送りと発表がありました。 携帯ジャーナリストの皆様の予想通り 「携帯電話事業ができる準備が、10月には間に合わなかった」 という結果となりました ...