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IT小僧の時事放談

電子ゴミの真実 Ctrl-x: a Topography of E-waste に写っているもの

2018年5月3日

Kai Loeffelbein: Ctrl-x: a Topography of E-waste

都市鉱山(としこうざん、英語: urban mining)という言葉をご存知ですか?
ゴミとして大量に廃棄される家電製品などの中に存在する有用な資源(レアメタル、菌、銀など)を鉱山に見立てたものです。

2020年 東京オリンピックでは、
「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」
と題してキャンペーンを展開しています。

「まぁ 素晴らしい考え さすが、小池知事さん」

という編集された「街の声」がニュースから聞こえてきそうですが、胡散臭いニュースショーはともかく
この都市鉱山とも呼ばれる「電子ゴミ」からどこで誰が資源を回収されていると思いますか?

今回の「IT小僧の時事放談」では
「電子ゴミの真実 Ctrl-x: a Topography of E-waste に写っているもの」
と題して
「電子ゴミの行方の現実」
を考えてみよう。

今回も小難しい話をできるだけ簡単に解説しながらブログにしました。
最後まで読んでいただけたら幸いです。

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都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト

2020年 東京オリンピック組織委員会で
「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」
と題して使用済み携帯電話等の小型家電からメダルを製作するキャンペーンを展開しています。

最新テクノロジーを全面に押し出したオリンピックを宣伝するのは、素晴らしい試みです。

内容を見ると
・2017年4月上旬より、準備ができた自治体等から順次開始
・プロジェクト参加自治体の専用回収ボックス等
・使用済み携帯電話、パソコン、デジタルカメラ等(主に小型家電リサイクル法に基づく28品目)
・回収品目・回収方法等は各自治体によって異なります。
・お近くの自治体または日本環境衛生センターへお問い合わせください。
・メダル作成に必要な貴金属量(ロスト分を含む)
金:約40kg 銀:約4,900kg 銅:約3,000kg
・参加する人のために連絡先を掲載します。
「日本環境衛生センター」
受付時間:10:00~17:00(土日祝、年末年始休)
電話番号:0570-035-530
相変わらずのお役所仕事、一般サラリーマンの仕事時間帯しか受け付けない。
こういうものって、休日に整理するんじゃないの?

注目すべきは、収集場所です。
「プロジェクト参加自治体の専用回収ボックス等」
つまり、回収ボックスに入れなさい。

こんなんで目標値に集まるでしょうか?

スマートフォンの資源

iPhoneの金含有量は、1台 約30mgと言われています。

40Kgの金を集めるためには、ざっくり計算で約133万台以上のiPhoneが必要です。
iPhoneは、家電などに比べて金の含有量が多いわけですから
現実的には、厳しい数値目標だと思います。

参考までにAppleは、積極的にiPhoneをはじめアップル製品を回収しています。
Appleは、2015年内に回収した再利用可能な素材の量を発表しました。
金の量は2204ポンド(約1トン)。
2016年4月現在の時価に換算すると、約3950万ドル(約43億円)
そりゃ リサイクルロボット(Liam)を開発する価値がありますね。

iPhoneなどのスマートフォンは、携帯企業が回収するのでメダルプロジェクトに持ち込む人は少ないでしょう。
買取店に持っていけば、多少なりともお金になります。
となると金の含有量が多いスマートフォンの回収はあまり見込めないことが予想されます。
そこで
自主的に回収ボックスに投入するのは、大変そうなので東京都にもっと簡単に集まる方法を提案します。
家電を東京都内に持ってきてというキャンペーンをすればいいのです。

廃棄に困った業者さんが、大量に持ち込むはずです。

ほら! 解決するでしょう。

簡単です。

もしこのような手段で捨てられた家電などの通称「電子ゴミ」と呼ばれるものって
誰が、どこで回収しているのでしょうか?

Ctrl-x: a Topography of E-waste という写真集

Ctrl-x: a Topography of E-waste という写真集が発売されました。
トイツ人写真家 Kai Loeffelbeinが、制作しました。
彼は、電子ゴミの回収について7年がかりで撮影をしました。
その写真集が
「Ctrl-x: a Topography of E-waste」
訳すと
「削除された 電子機器廃棄物の地形図」
こんな意味合いかと思います。

Ctrl-xは、パソコンなどのショートカットキーで
「削除」
E-wasteは、
「電子・電気機器廃棄物」
a Topographyは、
「地形図」
と訳するべきでしょうか?

この写真集、電子ゴミに埋もれて過ごす3つの最貧国及び地域のの現状が掲載されていました。

ガーナ Agbogbloshie(アグボグブロシー)

ガーナ共和国は、西アフリカのギニア湾に面する国で人口、約3000万人
主な産業は、金、石油、カカオ豆、農業が中心です。
一人あたりのGDPは、1,551ドル(2016年)
日本円で17万円ほどです。

ガーナ共和国の首都アクラにあるAgbogbloshie(アグボグブロシー)
※Agbogbloshieとは、汚染地域の意味です。

アグボグブロシーと呼ばれる地域は、「世界最大の電子ゴミ不法投棄地域」です。
ここで投棄された電子ゴミから金属を取り出すために多くの若者が働いています。
その数、 約700人(なかには12歳の子どももいます)危険な環境で生計を立てています。

取り出し方法は、「燃やす」
プラスチックをはじめ、様々な原料でできている電子機器を燃やして金属を取り出しています。
そのため毒性の化学物質が発生
若者の多くは、30歳以下で死んでいると言われています。

100の文字より映像のほうが説得力があります。

中国広東省の貴嶼鎮(きしょちん)

中国、アジアの電子ゴミが集まってきます。
ここは、ガーナと違い、産業として機能しています。
と言っても 工場などではなくバラックのようなところで電子ゴミを分離しています。

電子ゴミが、空気と土壌、水の汚染を発生させていています。
貴嶼鎮の当局は、電子ゴミ産業が表沙汰にならないようにしているらしく
努めている。そのせいで、 Kai Loeffelbeinも警察によって身柄を拘束されたそうです。

ニューデリー郊外

おそらく、最悪の環境であると言われています。
火で燃やしたり、酸で溶かして動線を取り出したりしています。

インドは、IT先進国と言われつつ、このような現実があります。

原因は、貧困ということもありますが、問題はもっと根が深いようです。

バーゼル条約

「バーゼル条約」という国際条約が1989年に制定されています。
この条約は、先進国から発展途上国へ運び込まれる電子ゴミの削減を目的とする国際的なルールとなります。
しかし、削減どころか、加速度的に増え続けています。

米国の非営利組織「Basel Action Network」という組織では、2017年の調査は、電子機器の約3分の1が、発展途上国(おもに中国)に行き着いたと言われています。
リサイクルは、各国で進んでいることは、事実です。
基本リサイクルは、コストがかかります。
捨ててしまったほうが、儲かるわけです。

ならば、捨ててしまえ

電子ゴミを受け入れる地域がある限り、法の網をすり抜ける業者は、なくなりません。

まとめ

先日、NHKで「イギリスでで牛乳瓶が復活している」というニュースが流れました。
理由は、コスト削減です。
資源とエネルギーを大切にするためにリサイクルという考え方が出てきたのですが、これでは、リサイクルしないほうが、よいという結果になってしまいます。
リサイクルは、製品を原料に戻さなければなりません。
そこにコストがかかるのです。

このブログを書くためにいろいろと調べていたら
増え続ける電子機器、その終着点がどうなっているか時々考えるきっかけになりました。

Ctrl-x: a Topography of E-waste
もし気になりましたら、少し高価ですが、電子機器に埋もれている我々にとって見ておくべき写真と思っています。

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参照

都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト
https://tokyo2020.org/jp/games/medals/project/
http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/20170606-18kan.pdf

iPhoneは金鉱脈
https://japanese.engadget.com/2016/04/18/iphone-1-43/

スマートフォンの金属含有量の記事
https://www.fairphone.com/2016/01/27/how-we-got-fairtrade-certified-gold-in-the-fairphone-2-supply-chain/

有効金属含有量
http://www.env.go.jp/council/former2013/03haiki/y0324-03/mat02-a.pdf

バーゼル条約
http://www.basel.int/

Basel Action Network
http://www.ban.org/
Basel Action Network 2017年報告
http://wiki.ban.org/images/b/b0/The_Scam_Recycling_Continues_2017_Phase_2.pdf

Kai Loeffelbein
http://www.kailoeffelbein.com/

THE HELLISH E-WASTE GRAVEYARDS WHERE COMPUTERS ARE MINED FOR METAL
https://www.wired.com/story/international-electronic-waste-photographs/

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