「今年のトレンドは、ファジー家電」
広告屋が、仕掛けたワードをテレビを中心にマスコミが宣伝して
「流行らせる」
10年ほど前は、この手法で「本当に流行っている」と思い込まされて、いろいろな「もの」を買わされてきました。
しかし、スマートフォンが行き渡り、誰でも、様々な情報を得ることができる現在、広告屋の仕掛けは、昔より簡単ではありません。
今まで成功してきた「いつもの手法」がバレてしまったのです。
今回の「日本のIT屋にひとこと」は、
「過去の成功体験は、ITでは通用しない」
と題して
「情報通信白書2004の未来がなぜ実現できなかったのか?」
について考えてみよう。
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目次
コンピュータ業界は、ファッション業界と同じ
コンピュータ業界では、ファッションと同じように流行があります。
ファジー
ユビキタス
Web 2.0
マルチメディア
3Dテレビ
世界の亀山ブランド
「3Dテレビ」とかどこに行ってしまったのでしょうか?
「亀山ブランド」とは、なんだったのでしょうか?
現れては、消える ITの流行
今年は、スマートスピーカー、AI あたりでしょうか?
ITの流行語は、システム屋が、顧客に「お金をつかってもらう」ためのキーワードですから
なるべく、英語、カタカナであまり聞いたことのない「ワード」を選び出すことが大事
ネタ元は、ほとんどが、米国IT企業か、欧米のITニュース
ネットで世界中のニュースをチェックできるので、わざわざ取材に行かなくても「もっともらしい」ニュースが書けますから、記者さんたちも楽になりました。
2018/05/23ホットな話題は、「GDPR」でしょうか?
NHKの朝のニュースでやっていました。
今日から施行なのに今日、話題にするなんて、危機感がなさすぎ
というより
「あのニュースを見ても専門家以外は、意味がわかんないだろうな」
未来がみえていた総務省(2004年)
2004年にユビキタス(ubiquitous)という言葉がありました。
「コンピュータ ネットワークなど情報通信技術を利用して)いつでもどこでも簡単に、所望情報が得られるさま。」
総務省では、情報通信白書2004のなかで
「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」と題して報告書を作成しています。
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h16/html/G1401000.html
一部を抜粋すると
ユビキタスネットワーク社会の意義は、物理的にも心理的にも様々な人やモノと快適につながる情報通信ネットワーク環境・サービスが提供されることにより、「もっと知りたい・行動したい(元気)」、「もっと守りたい・守られたい(安心)」、「もっと楽しみたい・共感したい(感動)」という利用者の高度な欲求が満たされ、利用者の生活を一層豊か(元気、安心、感動、便利)にすることである。
このような社会は、相当先の未来と思っていたのですが、一気に実現してしまいました。
そうです!スマートフォンの社会そのものですよね。
ユビキタスネットワーク社会の実現に向けて先導的な立場にある我が国には、研究開発や情報セキュリティの確保等各種課題の解決に積極的に取り組み、これらの経験・ノウハウを蓄積し、各国と協力してユビキタスネットワーク技術の国際標準化を推進し、日本発のネットワークサービスを展開するとともに、生活の豊かさの向上や経済の活性化、社会上の問題の軽減等の恩恵を具体化することが期待されている。
さすが、日本の頭脳(御用学者)を集めて造った報告書
未来がみえていましたね
このまま実現できていたら、日本のITは、世界を制していたはずなのですが・・・
未来がみえていなかった携帯電話の経営陣
せっかく、総務省が未来を予感させる報告書まで造っていたのに
スマートフォン、ビッグデータ、データベース、クラウド、通信技術
どれ一つも日本主導権を握ることができませんでした。
ガラ携と呼ばれる「フューチャーフォン」
ネット、メール、音楽、電子決済、ゲーム
今のスマートフォンでできることのほとんどが、2000年代で実現できていました。
これは、凄いことで、世界の最先端だったのです。
そこにいきなり登場してきたiPhone
キーボードなし、指でタッチして捜査できる。
発表当時ネット、メール、音楽、ゲームは、実現できていました。
「キーが付いていなくて、あんなもの、売れるわけがない」
日本の携帯電話会社の経営陣のほとんどが、同じ意見だったと思います。
ある一人の日本の経営者以外は、その可能性を無視しました。
あれから約10年
当時の携帯電話企業は、ほぼ消滅
生き残り組は、国内のキャリアで「細々」と販売されている状況です。
AppleがiPhoneを発表した時、観客席にいた、携帯電話会社の社長、
孫正義氏は、このiPhoneを足がかりに世界に商売を広げました。
当時の経営者のほとんどは、「成功体験からの脱出」ができなかったのです。
日の丸スマートフォン消滅
スマートフォンで出遅れた携帯電話会社は、iPhoneの成功をみて
当時まだ不安定だったAndroidに「ガラ携」の機能を詰め込みました。
結果、「まともに動かないスマートフォンが登場」
自滅してしましました。
彼らは、スマートフォンは、究極のパーソナル端末ということを理解していなかったのです。
機能を詰め込めば「ガラ携」のように売れると勘違いしていたのです。
日本のスマートフォンが、モタモタしている間に中国は、欧米、日本の下請けから技術力を積み重ね、マーケティングを学び
世界で通用するスマートフォンを製造し「世界の3位」までになったのです。
iPhoneも中国の工場がなければ、できませんでした。
今やスマートフォンの大部分は、中国で生産されています。
そのぐらい中国の製造技術は、進化しているのです。
悪かろう安かろうと下に見ていたデジタル産業界は、中国が「はるか先を行ってしましました」
IT業界は、斜陽産業
日本のIT業界は、未だに「人月&多重下請け&派遣」で成り立っています。
先日、NECが、大規模なリストラを発表しました。
NECが末期状態…1万6千人削減→また3千人削減、事業売却の連続で稼ぐ事業消滅
http://biz-journal.jp/2018/05/post_23325.html
事業売却でなんとかしてきましたが、すでに売却するものがなくなってしまいました。
今後、パッケージ中心に切り替えると予想される企業のシステムは、従来の人海戦術では対応できなくなります。
はっきり言います。
「人月&多重下請け&派遣」は、未来がありません。
ここで従事しているエンジニアは、遠くない未来に、お払い箱の可能性があります。
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希望の光
SONYは、復活の兆しです。
絶好調のソニー決算 牽引するのはPS4、ジュマンジ、音楽。ドリームチーム
https://www.businessinsider.jp/post-166068
ゲーム&ネットワーク
音楽
映画
金融
これらの部門がSONYを支えています。
唯一 モバイル・コミュニケーション つまりXperiaが、赤字部門となりました。
一方、AIを武器に新しいサービスをて展開する若い人たちが増えてきています。
資金提供するというニュースも多くなってきました。
失敗を極度に恐れるこの日本で挑戦することは、素晴らしいと思っています。
失敗もあると思いますが、まわりの大人たちが守ってやってほしいし、問題がありそうならチェックしてあげてほしい。
しかし、余計な口出しをしないことが大切であると思います。
まとめ
総務省の
「情報通信白書2004」の内容は、今、まさに実現しつつある社会です。
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h16/html/G1401000.html
14年前に、ここまで未来を見通せたとは、恐れ入りました。
しかし、結局、IT業界で世界の主導権をとることは、できませんでした。
失敗の原因は、IT産業は、他の産業と違い
「成功体験は、価値がない」
ということに気づくのが遅すぎたためです。
進化のスピードが速すぎるので
「何が起こるかわからないのです」
明日、世界をひっくり返すサービスが登場するかも知れません。
そのことを理解できない経営陣は、ITに関して余計な邪魔をせずにサポートしてあげてほしい。
そう願っています。
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