20年ほど前の夏、巨大プロジェクトに参加していました。
数十?(多重派遣を入れると数百か?)を超える企業から人材が集められ、郊外のビルを借り、プロジェクトのためだけに集められた人材で年単位の仕事をしていました。
いち部門のリーダーを任され、日夜、グループとともに完成を目指していました。
自分は、元請けのグループ企業だったので派遣という立場では、ありませんでしたが、グループのメンバーの大半は、派遣企業からの派遣社員でした。
今回の日本のIT屋に一言は、
派遣雇用終了の恐れ 派遣法改正3年目の夏 負のスパイラルからの脱出
と題して、派遣社員が雇用終了になることについて考えてみました。
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小難しい話をできる限りわかりやすく解説しながらブログにまとめした。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
目次
2015年9月派遣法改正から 3年めの夏
2015年9月、派遣制度が、大きく見直されました。
改正のポイントは3つ
1.派遣期間の上限が3年で統一
2.3年を超えた派遣社員は、派遣先で直接雇用の義務が発生する。
3.特定派遣の廃止
このなかで特定派遣という意味が分かりづらいと思います。
特定派遣というのは、特定労働者派遣事業所という制度で届け出だけで人員の派遣ができる制度です。
届け出だけなので極端な話「マンションの一室で電話とパソコンだけ」でも人員派遣ができるということです。
ITエンジニアの2次受け、3次受けなど多重派遣の温床とも言われていました。
この特定派遣が、2018年9月末で廃止となり一般労働者派遣事業所に統一されます。
一般労働者派遣事業所、略して一般派遣ですが、こちらは、許可制なので基準が儲けられています。
例えば
「資産要件(純資産2000万円、現預金1500万円)」などが条件となっています。
となると「マンションの一室で電話とパソコンだけ」で派遣業を行ってきた業者は廃業となります。
そして 2015年時点で以下の項目がありました。
平成 30年9月29日まで、許可を得ることなく、引き続き「その事業の派遣労働者が常時雇用される労働者のみである労働者派遣事業」(改正前の特定労働
者派遣事業に相当)を営むことが可能です。
期限が9月29日までとなっているので特定派遣で契約している人員は、法的にNGとなります。
派遣法改正
派遣雇用終了の恐怖
2018年10月以降 一般派遣からの人員しか雇うことができなくなるため、このタイミングで解雇される可能性が高くなります。
企業は、人手不足ですが、コストをかけるのが嫌うので正式雇用の道は、期待できません。
一般派遣の資格を持つ企業は、限られているので、新たに登録をするか、派遣ではなく、正社員として働くしかなくなります。
また、中小ITベンダーは、派遣ができなくなり、派遣業で利益を得てきた企業は経営が厳しくなります。
事業転換と言っても実績が乏しい企業に請負の案件はなかなか来ないと思われます。
そこでSES契約という逃げ道があります。
SES契約
SES契約は、正式には、システムエンジニアリング契約と言います。
準委任契約、業務委託と呼ばれ、エンジニアの能力を契約対象とした手法です。
SES契約は、客先に常駐してエンジニア業務を提供する働き方で企業を移動することはほぼありません。
派遣契約はあるプロジェクトを完遂させるために派遣され、プロジェクトが完了すると他の企業へ派遣されます。
SES契約の場合、指揮系統は、契約会社、そして成果物に対しての報酬ではなくエンジニアとしての時間報酬になります。
ただし、SES契約と言っても多重下請け業者のような業者もいるわけで、十分注意が必要です。
正社員募集で人を集めて、フリーランスとして契約、SES契約で企業に常駐するわけですが、間に中間業者が入っているということも伝え聞きます。
エンド契約の光と影
エンジニアが、企業と直接契約、プロジェクトを行う。
米国などで主流な方式なのですが、報酬はいいけど、仕事が無くなったら
即 解雇!
日本では、解雇の制限があるので、一度雇ったら簡単に解雇できない。
そこで 派遣会社や、SES契約のような企業が登場してきます。
つまり、企業は、正社員にしなくてもこき使えるし、社員じゃないので、仕事がなくなったら契約終了すればよいのです。
SIer(元請け企業)や派遣業、SES契約などは、日本の「解雇の制限」があればこそ生まれてきたシステムで、現場のエンジニアを低賃金で長時間働かせることで派遣業界、SIer(元請け企業)が、利益を得ているという構造になっています。
この負のループを抜け出すには、
フリーランスで勝負するか?
企業を立ち上げるか?
独自技術で請負専門の企業で仕事をするかしかありません。
負のスパイラルからの脱出
派遣、プロジェクト終了、次の派遣待ち
これは、負のスパイラルになります。
そして、ITエンジニアは、歳をとる毎に商品価値が下がってきます。
この負のスパイラルから抜け出すためには、仕事先を変えるしかありません。
派遣会社が求めているのは、若くて、できるできないではなく、長時間働いても音を上げず、黙々と仕事をするエンジニアなのです。
しかし、いつかは、年齢でカットされるか、消耗して捨てられてしまいます。
そんな状況から抜け出したいと思ったら、派遣雇用終了で切られる前になんとかエンジニアとして働ける会社を探しましょう。
そのためには、多くの企業と出会い、企業を吟味するぐらいの気持ちで行望みます。
何度、面接を断られても大丈夫、もっと辛いプロジェクトで耐え抜いてきたではありませんか?
転職先を効率的に探すためには、エージェントに登録するのがよいでしょう。
また、自分で積極的に動ける人は、転職サイトに複数登録するのが良いと思います。
自分が、49歳で転職に成功したのは、数多くの転職サイトとエージェントに登録したからです。
もちろん、お断りも多かったのですが、地道に探せば、例え高年齢でも自分と企業がマッチするとことがあるはずです。
注意したいのが、ITを専門にやっている転職サイトとエージェントに的を絞ること、いろいろ手広くやっている転職サイトやエージェントは、IT業界についてのわかっていない場合もあります。
そして、数多くの企業に合うように登録を増やすことです。
まとめ
平成 30年9月29日の特定派遣の期限切れと共に大きな転換期を迎える派遣業界
特にIT業界の影響は大きいと推測されています。
人手不足なIT業界と言われつつ、実態は、厳しい椅子取りゲームが勃発していることを念頭に置いて、IT業界でメシを食うためにどうすればよいか考えて行動しましょう。
大型案件は、みずほ銀行の案件が最後とも言われています。
人手不足というのは、若くて、丈夫な、安く使えるエンジニアなのです。