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日本のIT屋に一言

京都市が117億円投じた30年もの基幹システム刷新を中断 京都市システム更新訴訟 市と業者に支払い命じる判決

京都手帖2022

京都市が、NEC製メインフレーム上で約30年稼働する基幹系システムのバッチ処理をオープンシステムに刷新するプロジェクトの入札結果を発表しました。

2018年3月27日発表

落札価格 15億2990万

キヤノンITソリューションズ入札
・メインフレーム
・30年可動
・COBOL
・2020年1月からの本稼働
・オープンシステム

京都市が117億円投じた30年もの基幹システム刷新を中断
と題して 2018年3月に記事を書きました。

その時に

本稼働が2020年1月って期間が短くないですか?」

と書いたわけですが、予想通り間に合わないようです。

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最新情報

京都市システム更新訴訟 市と業者に支払い命じる判決 2024年02月29日

京都市の基本的なデータシステムの更新が作業の遅れで、予定どおり進まなかったことをめぐり、市と作業を行った業者が互いに損害賠償や作業代金などの支払いを求めていた民事裁判で、裁判所は、互いの主張の一部を認め、それぞれ一定程度支払うよう命じる判決を言い渡しました。

京都市によりますと、市は平成28年、国民健康保険や介護保険、それに住民基本台帳などに使われる基本的なデータシステムの更新を東京都内のIT業者に発注しましたが、作業が遅れ、完了する見通しも立たなくなったことから、市は契約を解除し、業者に損害賠償などとして36億円を求める訴えを起こしていました。
一方、業者側も作業代金などとして、市に9億円を求める訴えを起こしていました。
2月29日の判決で東京地方裁判所は、作業代金を求めていた業者の訴えについては、市が業者に1億947万円余りを支払うよう命じました。
そして、契約代金の返還や遅延による損害賠償などを求めていた市の訴えについては、業者が市に4億9279万円余りを支払うよう命じました。
判決を受けて京都市は「主張が一定認められたものと認識している。判決内容を十分に確認したうえで、対応を検討したい」としています。
一方、業者側は「判決内容を真摯(しんし)に受け止め、判決理由を精査し対応を検討したい」としています。
市によりますと、一連の問題でデータシステムの更新が遅れたことによる市民生活への影響はないということです。

NHKニュース
京都市システム更新訴訟 市と業者に支払い命じる判決

 

117億円投じた基幹系刷新を中断

京都市は総額117億円を投じた基幹系システムの刷新を一部を除き中断した。国が自治体システムの標準化を決め、再度の改変が必要になるとみたからだ。最悪の場合は投資額のうち100億円近くが無駄に終わる可能性がある。2016年の延期後にベンダーを切り替えたが、2019年に再度の延期を決定。開発遅延の背景には進捗管理の甘さや協力体制の不備、想定不足があった。

「結果についての責任は市長である私にある。専門性の高い業務であり、コロナ禍など様々な(阻害)要素があった。だからこそ情報の共有や進捗管理をしっかりと行い、的確に判断しなければならなかった。猛省している」。

京都市の門川大作市長は2020年9月30日、2014年から取り組んできた市の基幹業務システム刷新を一部機能を除いて中断すると発表した。門川市長は発表後の10月16日に開かれた京都市会(市議会)・決算特別委員会で、開発中断は自らに責任があると発言し、市の体制に問題があったと認めた。

日経XTECH 2021年1月15日より転載

運用テストになんとか着手した2020年9月、菅義偉首相が自治体システムを標準仕様へ統一する方針を表明
ということで白紙となった

結局 117億円をドブに捨てたようなことになった。

記事を読む限り システム会社も京都市も問題が会ったと思えますが、そもそも「30年もの基幹システムをそのまま別のシステムに載せ替える」ということが破綻に陥ったと思われる。

ゼロから作り直したほうが早かったのではないか?
そもそも誰が「30年もの基幹システムをそのまま別のシステムに載せ替える」なんて考えたのであろうか?

間に合わない

新しいニュースが出てきました。

京都市はNEC製メインフレーム上で約30年稼働する基幹系システムのバッチ処理をオープンシステムに刷新するプロジェクトにおいて、サブシステムの1つである新福祉系システムの稼働を当初予定の2020年1月から延期する。再稼働の日程は確定していない。京都市総合企画局が2019年12月23日の京都市会で明らかにした。

延期の理由

延期の原因は新福祉系システムのバッチ処理で生じている「不具合の収束が本年中に見込めないこと」(総合企画局の資料)である。開発ベンダーであるキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2019年12月13日、京都市に対し「ほとんどの評価項目に残課題があり、2020年1月の本番稼働の品質に満たないため、品質確認のためのテストが必要」との旨を報告した。稼働延期により京都市は「現行システムの端末経費等が生じる」として追加費用を見込んでいる。

京都市は2014年から80億円以上を投じて基幹系刷新に取り組んでいる。バッチ処理を巡っては一度失敗しており、仕切り直したものの再び失敗を重ねた格好だ。

京都市のプロジェクト

システムに詳しくない人に説明します。
今回のプロジェクトは、こんな感じです。

砂に埋もれて崩れたピラミッドを発掘
断片しか残っていない石版から設計図を組み立てて
もとのピラミッドを正確に再現
タイムリミットが2年弱

どれだけ大変な作業なのか わかっていただけるでしょうか?

今回の
「日本のIT屋にひとこと」
では、
「30年もの基幹システムをオープンシステムに移行 それってデスマーチ」
と題して
「現行業務そのまま移行をなめると痛い目にあうよ」
について考えてみよう。

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係争中のシステム

この基幹系システムのバッチ処理は、2016年1月15日に11億376万円で株式会社システムズに発注
2017年1月から稼働予定(2017年1月4日)が遅れる。

京都市
2017年10月11日
株式会社システムズとの設計・開発等業務委託契約を解除
遅延が理由

株式会社システムズ
2017年11月8日
京都市に対して約2億円を求める訴訟
一方的な契約解除とスコープ外の作業の未払い

京都市
2017年10月
株式会社システムズに対して7億5000万円の請求

現在係争中

結果は、裁判なのでわかりませんし、当事者として参加していなかったので双方の主張をネットでみることしかできませんが、京都市は、仕切り直しとなりました。
http://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/14/346926/110201189/?P=2

京都市が基幹系システム刷新を中断するまでの経緯。開発ベンダーを切り替えても再び遅延が発生した

都市が基幹系システム刷新を中断するまでの経緯

今回の入札に関する懸念点

京都市は仕切り直し後もバッチ処理プログラムをマイグレーションで刷新する方法を引き続き選択した。NEC製メインフレーム上で30年来稼働するCOBOLプログラムを、業務ロジックを変更せずにオープン系COBOLにマイグレーションする「リホスト」を進める。

業務ロジックを変更しないでオープン系に変更するから「簡単」だと考えていないでしょうか?
現システムのNECが第一候補のはずが、入札に参加していない。

むむ 現在、システムの保守をしているNECが、次期システムに参加しない。

今回の刷新プロジェクトでは、分析フェーズと新システムが稼働するクラウド基盤のハードのみを落札し、オンラインとバッチの移行案件には応札していない。

利害関係があったとしたら積極的な協力は、望めない可能性があります。

大手ベンダーが参加していない
富士通、日立、NTTデータ、日本IBMなど不参加

危険な案件と察知しているか、あまり儲からないと考えているか?

京都市が2017年11月6日の京都市議会に提出した資料(PDF文書)

マイナンバーカード等への旧姓併記等の大規模な制度改正
等に対応するため,新システムの開発期間中にも現行システムの改修が生
じ,これを新システムに反映させる必要がある

この一説は、かなり危険な箇所です。
追加もあるということでしょうか?

危険な香り

30年前のシステムを増改築してきたということなので仕様書は「手書き」大量のバインダーが存在しているはず。
手書きの仕様書ということは、検索ができない。
ということで仕様の読み込みから開始

システム変更時に仕様書が変更されているか疑問

となると
ソースファイルの読み込み・・・となりますが

COBOLとJCLをリバースエンジニアリングして仕様書が起こせる人材って50代以上の現役エンジニアしかいない。
そして、そんな人は、ほとんどいないと思う。

ソースファイルが現行動作しているものであるという保証はない。
そもそもソースファイルがないかも知れない。

お役所の担当者は、移動があるので現在の人が詳しいと思えない。

試験のときにお役所の担当者は、役に立ちません。
頼りになるのは、現システムを担当しているNECのみ
といってもシステムの受け渡しで協力するのは、限定的なことが通常

マイグレーションで刷新だけでは、なくマイナンバーの機能追加もあり

NECのACOSは、IBM系の汎用機とは違い、癖があるシステムでCOBOLも方言がある。
これは、30年前に自分も経験してきたことなので理解できます。
マイグレーションで自動変換するとおそらくまともな変換はできないと思う。

となると最後は、手作業

ACOS の COBOL なんて扱える技術者なんて世界中にどのぐらい残っているんだろう?

そもそも 5社スタートで3社辞退、残った2社のうち片方が失格
そして現運用のNECが参加せず

予定価格に対して寸分の差で入札!

これだけの危険フラグが立っているのに受けるほうが凄いけど、お役所との予定調和?
推測の域を出ませんが、これ以上は、触れないでおきましょう。 

危険過ぎ

作り直したほうがはやいんじゃないのか?
もっとも2020年1月だとどうあがいても不可能

まとめ

正直、よく受注するところがあったというのが、自分の経験からの感想です。
パッケージを導入して業務を変更したほうが、後々、平和になるような気がします。
でも、日本のお役所なのでそんな大胆な発想はないだろうな。

このプロジェクトがどのようになってゆくか注目しようと思っています。

新しい何かが出てきたら、報告いたします。

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