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IT小僧の時事放談

リチウムイオンの次世代 「発火しない」水系リチウムイオン電池が発明

2020年1月15日

2019年のノーベル化学賞は、リチウムイオン電池の開発に貢献した3人の科学者が受賞した。

旭化成名誉フェローの吉野彰
テキサス大学オースティン校のジョン・グッドイナフ
ニューヨーク州立大学ビンガムトン校のスタンリー・ウィッティンガム

彼らが発明したリチウムイオン電池は、1991年に商用化されて以来 今日まであらゆるバッテリーを使用している機器に採用されています。
それまで使われてきたニッカド式のバッテリーと違い、

軽くてエネルギー効率が高く、充電と放電のサイクル、小型のセルを大量に接続してひとつのバッテリーにできることもあってEV(電気自動車)などでも使われています。

しかし、大きな衝撃などで発火する恐れは、完全に解決したわけではありません。

今回のIT小僧の時事放談は、
リチウムイオンの次世代 「発火しない」水系リチウムイオン電池が発明された。
というタイトルで驚くべき姿をした水系リチウムイオン電池についてみてみよう。

最後まで読んでいただけたら幸いです。

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リチウムイオンバッテリーの仕組み

ここでリチウムイオンバッテリーの仕組みをおさらいしてみよう。

リチウム金属酸化物でできた正の電極(陽極:プラス)と、炭素材でできた負の電極(陰極:マイナス)がつながっています。

充電は、電気をかけると電解質を通過してプラス側からマイナス側にイオン電子が移動します。
移動することで マイナス側に イオン電子が貯まります。

 

マイナス側に送り込まれたイオンを解放することで電流が発生します。

ダムで例えれば ダムの水が一杯で放流したときに発生する電流を使用します。
充電するときは、放流した水をもう一度ダムに組み上げて使用します。

この水に該当するものが、イオンというわけです。
この仕組にリチウムという物質を使ったものが、「リチウムイオン電池」というわけです。

詳しくは、以前、リチウムイオン電池について記載したブログがあるので興味のある方は、覗いてみて下さい。

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発火しやすい

数年前、サムスン(Samsung)のスマートフォン(Galaxy)で発火騒ぎが起りました。

サムスンは、スマートフォンを回収するという騒ぎとなりましたが、リチウムイオンバッテリーは、可燃性のリチウム塩と有毒な液体の混合物が、中に入っています。

発火の原因は、2つあります。

  1. 可燃性のリチウム塩と有毒な液体の混合物に不純物が混ざっていた場合
  2. 正の電極(陽極:プラス)と、炭素材でできた負の電極(陰極:マイナス)を隔てるセパレーターという仕切が崩壊してショートした場合

1の場合は、製造過程に問題があるので、それは、解決できます。
2の場合は、衝撃や劣化してセパレーターが破損した場合に発生します。

これらを解決するために「可燃性のリチウム塩と有毒な液体の混合物」という
「液体を固定物質にしてしまえ」

というのが、全固定電池です。
現在、世界中で開発競争が行われています。

詳しくは、以前、全固定電池について記載したブログがあるので興味のある方は、覗いてみて下さい。

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この全固定電池は、実用化間近ということもあって、今回の「水系リチウムイオン電池」より先に登場すると思いますが、ウェラブルデバイスなどの軽量、自由な形、安全性を考えると「水系リチウムイオン電池」のほうが可能性があるかも知れません。

透明な電池

ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所(APL)の物理学者が率いる研究チームは、安全なバッテリーの開発を研究

battery

  • コンタクトレンズのように透明
  • 柔軟性
  • 無毒
  • 火にも強く燃えない不燃性
  • 形を選ばない。
  • ケースなしのむき出しの状態で製造、使用が可能

この水系リチウムイオン電池は、メリーランド大学の研究者とジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所が、協力して2017年に最初に発表しました。
この発表では、切断、射撃、曲げる、液体に浸す など行っても 途切れることなく電力を供給しました。

そして2019年に発表された水系リチウムイオン電池は、これに耐火性を加え、電圧を市販製品と同等にまで上げることに成功している。

Battery

熱を加えてもバッテリーは、電力を供給している。

仕組み

可燃性のリチウム塩と有毒な液体の混合を使った リチウムイオン電子の液体部分をリチウム塩の濃度を高め、電解質を不燃性に変えて、ポリマー(非常に柔らかいプラスティックに似た材料)と混ぜることで解決をしている。

水系リチウムイオン電池は、25年以上前から存在はしていましたが、電圧が低すぎて実用化は難しい状態でした。
この問題をジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所(APL)は解決

すでに何社かの企業と交渉している状態であるという。

実用にはまだ時間がかかりそう

欠点がないと言われる水系リチウムイオン電池ですが、現時点では欠点があります。

充電サイクル数が、100回程度しか持たない。

これでは、実用化は厳しく、現在のリチウムイオン電池のように数千回は、充電ができるようにしないと実用化は難しいだろう。
研究者は、電解質の化学的な微調整で解決できるとコメントしている。

現在のところリチウムイオン電池が実用的で安価になっている

また、ポータブルバッテリーとして リン酸鉄蓄電池というのが主流になりつつあります。

まとめ

リチウムイオン電池のようなバッテリーの世界市場規模は約360億ドル(約3兆8,700億円)とされています。
今後それは、増大し、2026年にはおよそ1,100億ドル(約11兆8,200億円)とも言われています。

この市場に向けて、固定電池も含め、新しいバッテリー研究が続けられています。
これが決定打というわけではないのですが、水系リチウムイオン電池は、その形を選ばないという性質から、ウェラブル機器に搭載冴えっる可能性が高く、メガネ、イヤフォン、洋服などに編み込むことができるかも知れません。

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