自分が生まれる少し前「鉄腕アトム」というアニメが放送されていました。
アトムと呼ばれるロボットが、「ロボットと人間の間で葛藤する」ことをテーマに手塚治虫氏が描いたものですが、その最終回
「アトムが、地球を救うために太陽に突っ込む」
というエンディングでした。
当時の子どもたち(60歳以上ですが)は涙したに違いないと思います。
今回のIT小僧の時事放談は。
溶ける前に観測してしまえ! 太陽探査衛星 パーカー・ソーラー・プローブ(Parker Solar Probe)
と題して
「火星の次は、太陽? その裏になにかある?」
と勝手に妄想します。
今回も「小難しい話」を「よりわかりやすく」解説しながらブログにしました。
最後まで読んでいただけると幸いです。
2018年6月20日に当ブログで取り上げた太陽への旅は、クライマックスに近づいている。
最新ニュースを掲載しました。
目次
最新ニュース
地球からの距離の94%まで接近
Forbus 2023.07.09
https://forbesjapan.com/articles/detail/64408
前回の太陽フライバイ(接近通過)で太陽風をめぐる新たな謎をひも解いたばかりの米航空宇宙局(NASA)の太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブが、新たな太陽フライバイに成功した。
NASAによると、同探査機は6月27日、時速61万kmで飛行しながら、太陽表面からわずか900万kmまで接近した。これは地球・太陽間の距離である約1億5000万kmの94%近くまで到達したことを意味している。2018年8月18日に打ち上げられた同探査機による太陽フライバイは、今回が16回目だ。宇宙天気を予測する
パーカーの任務は、太陽風(太陽から吹き出し太陽系全体に浸透している粒子の流れ)を生み出す高エネルギー粒子の起源を探ることだ。太陽風が消滅する地点は事実上、太陽系の縁、すなわち星間空間の始まりとなる。
パーカーが太陽風の起源を解明できれば、太陽系物理学の理解が深まり、宇宙の天気をより正確に予測できるようになると期待されている。
太陽風の荷電粒子が地球大気に衝突すると、美しいオーロラを生み出す一方で、電波障害や人工衛星の劣化の原因となる。太陽風は宇宙飛行士や電力網に悪影響を及ぼす他、極端なケースではインターネットの障害を生む可能性もある。
HIGHEST MONTHLY AVERAGED SUNSPOT NUMBER SINCE SEPTEMBER 2002! The June 2023 SNN was 163.4 the highest value for over 20 years. The CM model is now forecasting a peak for SC25 of just under 200, the CM model at 125 (SC42 was 116). Any Grand Solar Minimum believers left out there? pic.twitter.com/uw0JCeooe1
— Keith Strong (@drkstrong) July 1, 2023
太陽の秘密を着々と解き明かして行く 太陽探査衛星 パーカー・ソーラー・プローブ(Parker Solar Probe) は、元気に活躍中
太陽コロナの内側から撮影成功
アメリカ航空宇宙局(NASA)の太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が連続撮影
太陽表面から約1040万km(太陽半径の約15倍)まで接近しており、人類史上初めて太陽コロナに到達した探査機となった。
まずは映像をみてみよう
▲ 2021年8月の第9回フライバイ時に「パーカー・ソーラー・プローブ」が撮影した太陽コロナのストリーマー(流線)】
(Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Naval Research Laboratory)
動画に使われている画像は、パーカー・ソーラー・プローブに搭載されている広視野カメラ「WISPR」によって、2021年8月に実施された第9回フライバイ時に撮影されました。パーカー・ソーラー・プローブはこの時も前回の第8回フライバイと同じ距離まで太陽に接近しており、WISPRは最接近前後の様子を撮影し続けました。WISPRは撮影方向と範囲が異なる2つのカメラで構成されているため、動画では各カメラの画像が合成された上で用いられています。
なお、パーカー・ソーラー・プローブは金星の重力を利用した軌道変更(スイングバイ)を繰り返し、徐々に太陽へと接近していきます。2021年11月の第10回フライバイ時には太陽表面から約850万km(太陽半径の約12倍)まで近づいており、最終的には太陽表面から約616万km(太陽半径の8.86倍)まで接近して観測を行う予定です。
https://sorae.info/astronomy/20221015-parker-solar-probe.html
ついに大きなミッションが成功しました。
打ち上げから見守ってきたのですが、NASAは、すごいことやるなぁ
コロナに到着 2021年12月14日
米航空宇宙局(NASA)は12月14日(現地時間)、NASAの宇宙探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が太陽の上層大気であるコロナに到達したと発表した。NASAは「歴史上初めて、宇宙船が太陽に触れた」としている。コロナで粒子や磁場のサンプリングを行っているという。
太陽の主成分は水素やヘリウムなどのガス。超高温の大気であるコロナをまとっており、これは太陽から遠のくうちに「太陽風」と呼ばれるガスの流れに変化する。
この太陽風とコロナの境界面は「アルヴェーン臨界面」と呼ばれているが、具体的にどこにあるのかがこれまで分かっておらず、太陽の見掛けの表面から測って約700万kmから約1400万kmの間にあると考えられていた。
パーカー・ソーラー・プローブがコロナに到達したのは4月28日。8回目の太陽周回中に、太陽表面から約1300万km地点で、初めてアルヴェーン臨界面に遭遇したという。その後も、何度もコロナに出入りし、アルヴェーン臨界面の表面は、滑らかな球状ではなく、トゲや谷などのでこぼこな構造を持つことが分かったという。
パーカー・ソーラー・プローブがコロナ内で撮影した「コロナ流線」と呼ばれる構造物(NASAの公式Webサイトから引用)
木星、火星そして次のターゲットは?
最近、NASAは、惑星探査にご熱心で木星、火星と探査衛星を複数派遣しました。
木星探査については、
「木星の衛星に「生物」がいるんじゃないか?」
を中心にに探査していたと思われます。
火星探査は、
「生物がいることを確認して、実際に人が住めるかどうか?」
というわけで、ビルを建築する前に行う地質調査衛星を向かわせています。
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NASAの火星探査機 InSight(インサイト) 舐めてはいけません。
こんなニュースが流れてきました。 「純国産アーチェリー開発 下町ボブスレーの敵討ちだ - 東京五輪」 ボブスレーで恥を晒したのに「まだ懲りないのか?」 検査も通過できず、競技にも参加できていないのに「 ...
火星移住は、イーロン・マスクがすでに発表しているし、それに呼応するかのようにNASAが、火星にご熱心になっています。
そして、ついに太陽に向かって出発しました。
パーカー・ソーラー・プローブ(Parker Solar Probe)
は、太陽に超接近、「太陽フレア」について調査をする予定になっています。
太陽は、熱いやつ
太陽は、熱いです。
「太陽の温度は、26℃」とか
「大陸や、海が広がっている」とか
「人が住んでいる」とか
世の中には、「都市伝説」っぽく語って中有目されたい人が多いのですが、みなさん、そんな「バカ話」には、お付き合いしないで下さい。
太陽表面付近は、約6000℃で、コロナが約180万℃であると推測されています。
コロナというのは、太陽の表面でギラギラしているもので皆既日食のときに
周りにみえる「モヤモヤ」したものです。
表面が、約6000℃で周りが約180万℃って? 矛盾してますよね
実は、このあたりもよくわかっていないのです。
鉄腕アトムですら近づいたら消滅してしまうぐらいですから
調査機器など持っていけるわけがないのです。
溶ける前に観測してしまえ
太陽探査衛星 パーカー・ソーラー・プローブ(Parker Solar Probe)は、
太陽の表面から約640万kmにあるコロナを通過させる計画ですが、先に述べたように約180万℃ってめちゃくちゃ熱いので溶けてしまいます。
そこで、厚さ約11.4cmの炭素繊維強化炭素複合材料でつくられた耐熱シールドで全体を覆います。
約1,371℃の高温に耐えられるはず!
太陽風の角度とプラズマエネルギーを測定する約20cmの観測機器は、シール ドの下だと観測できないため2,470℃まで溶けない「ニオブ」で造られています。
※ニオブは、主に鉄鋼に利用されますが価格は銅の7倍という希少金属
でも、2,470℃じゃ約180万℃の熱には耐えられないでしょ
そこでNASAが考えたのは、
溶ける前に観測してしまえ
と超高速でコロナを突っ切るという計画です。
この衛星、太陽の表面から約640万kmの地点を時速72万4,000kmというスピードで通過させる計画です。
72万4,000kmってどのぐらいかというと地球を一時間で18と1/2周できるスピードです。
? よくわからないな?
ここで計算タイム
724000Km=724000000m
724000000m / 3600秒
1秒間に約201Km進む計算です。
東京駅から200kmは。東海道線だと静岡県藤枝市の距離を1秒で進む。
あれ? 意外と遅い?かも
光のスピードが約30万Km/sとすると201Km/sは、光からすると止まって見える状態だと思いますが、人類が未だに体験していないスピードには、違いありません。
どうやって加速するの
パーカー・ソーラー・プローブ(Parker Solar Probe)を金星に向かって飛ばして金星の引力で加速、
1.衛星に紐を付けてぐるぐるとぶん回します。
2.スピードが付いたところで紐を離します。
3.放たれた石?(衛星)は、すごいスピードで太陽にまっしぐら・・・
宍戸梅軒が、宮本武蔵との決闘で使った鎖鎌わかりますか?
鎖鎌の分銅をぶん回して 武蔵に向かって投げるようなもの
といえば、おわかりでしょうか?
スーパーフレア
ここにきて、なぜ太陽観測を始めるのでしょうか?
映画、「ノウイング」ってご存知ですか?
予告編では、めちゃくちゃ面白そうで観に行ったのですが、途中までおもしろかったのですが、ラスト5分
「えええ それで解決!ですか?」
という映画でした。
人類滅亡の原因は、太陽フレアでした。
太陽フレアというのは、太陽表面での爆発現象です。
その太陽フレアによって発生する電磁波等の影響が地球に大規模な災害が起こるとか言われています。
太陽フレア自体は、毎日のように発生していますが、小規模ならば影響はほとんどありません。
問題は、「スーパーフレア」という超巨大爆発なのですが、太陽は、数千年に渡って一度も「スーパーフレア」を起こしていません。
「木星が、水星の内側にでも入らない限り、スーパーフレアーを起こすことはなさそうだ」
学者先生の話では、ものすごい磁場のねじれ現象がない限り、おこらないと推測しています。
なぁんだ! 大丈夫じゃないか?
なぜ 太陽観測
京都大学などの研究者らによる研究チームが、2014年3月19~22日に行われた日本天文学会2014年春期年会において、太陽型の恒星が、これまで人類が観測したことのある太陽における最大級の爆発現象である「フレア」の100~1000倍の超絶的なエネルギーを解放する「スーパーフレア」を起こす可能性があることを発見したと報告した。
https://news.mynavi.jp/article/20140407-a196/
おいおい! 話がちがうではないか?
人類は、ここ50年で驚異的な技術進歩を遂げました。
コンピュータの進歩とともにテクノロジーが加速度的に進歩してきました。
一方、高密度化したコンピュータのCPUと呼ばれる中央演算装置は、電磁波などの影響を受けやすいと言われています。
「旅客機でスマートフォンや電子機器使わないでね」
というやつです。
今の飛行機は、空飛ぶコンピュータとも言えるハイテク飛行機なのでスマートフォンのような電波を出すものに影響を受けやすいためです。
※今は、Wi-Fiなら使える飛行機が増えてきました。
高度に発達したコンピュータ社会、どこかのコンピュータにトラブルが発生した場合、大きな社会問題になる可能性もあります。
それらの対策のために「まだよくわかっていない、太陽フレア」の観測を始めようとしているのではないでしょうか?
まさか、「スーパーフレア」の予測をしている研究者がいるとは、思えないのですが。
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まとめ
探査衛星のスピードアップで衛星が熱による被害を最小限に留めるという発想は、誰が考えたのでしょうか?
溶け切る前に観測をしてしまえ!
米国的と言うか、日本では絶対に出てこない発想だと思います。
日本だと、厳重に熱対策をするためにテクノロジーを開発するはずです。
パーカー・ソーラー・プローブ(Parker Solar Probe)
無事に太陽の観測ができるのを楽しみにしております。
NASA:パーカー・ソーラー・プローブ(Parker Solar Probe)