AppleがAirPodsのライブ翻訳を発表
耳に装着したまま会話が始まると、相手の言葉が自分の言語で読み上げられ、iPhoneには相手向けの翻訳テキストが表示されます。
対応は最新のAirPods Pro 3に限らず、AirPods Pro 2やAirPods 4(ANC搭載モデル)にも拡張予定。
ただしEUでは当面使えないという注意点
ここでは米国のApple公式発表と有力テックメディアの情報を突き合わせ、どこまでリアルに実用化しているのか、何が条件なのか、日本ではいつ使えるのかを整理します。
目次
ライブ翻訳は“どこまでリアル”?——初期仕様と手触り
Appleは「ライブ翻訳」を対面会話の即時通訳を想定した機能として発表し、ノイズ抑制(ANC)やコンピュテーショナル・オーディオ、Apple Intelligenceを組み合わせて“聞き取り→翻訳→耳へ再生”を回すと説明しています。
現時点ではベータ提供で、対応言語は英・仏・独・葡(ブラジル)・西(スペイン)から開始、「年内に日本語・イタリア語・韓国語・中国語(簡体字)を追加予定」とされています。
操作は左右ステムの同時タップで翻訳モードに入る設計で、相手にはiPhone画面に翻訳テキストが出るため、片方だけがAirPodsを装着していても会話が成立します。
実機ハンズオンや解説では、会話のテンポは“ほぼリアルタイム寄り”で、周囲騒音の多い環境でもANCが翻訳精度を助けるという評価
とはいえまだベータ段階で、話し方・専門語・固有名詞では誤訳や言い直しが起き得ること、対応言語の拡充途中であることは織り込みが必要です。
専用機のTimekettleなどと比べると、Appleは“耳+iPhone画面”という二面提示や既存エコシステム連携で体験を磨く方向に強みがあります。
対応機種と要件(初期)
- 対応AirPods
AirPods Pro 3(新機能の旗艦) 加えてAirPods Pro 2、AirPods 4(ANC搭載)にも順次展開
AirPods 4(非ANC)やAirPods Maxは対象外見込み。 - 要件
最新ファームの対応AirPods+Apple Intelligence対応iPhone(iOS 26以降)
言語は当初英・仏・独・葡(ブラジル)・西(スペイン)、日本語は年内追加予定 - 使い方
左右ステム同時タップで翻訳モード→相手の発話を検知→翻訳音声をイヤフォンへ、テキストはiPhoneに表示
EUでは使えない?——DMA(デジタル市場法)への対応待ち
AppleはEU域内では当面ライブ翻訳を提供しないと明言
理由はDMA(デジタル市場法)の相互運用要件への適合作業で、プライバシー法(GDPR)そのものが直接原因ではないと説明しています。
つまり、規制対応の実装次第で解禁余地はあるという立て付けです。
加えて、米メディアや欧州報道でも「EUアカウント+EU居住」の両条件を満たすと機能が使えない旨が再三確認されています。
旅行者の一時利用や地域設定変更での挙動は、Appleの地域・言語ポリシーに依存するため、公式の機能提供状況ページの更新を随時確認するのが安全です。
日本ではいつ使える?——“地域”より“言語”の段階解禁に注目
Apple Intelligence自体は2025年前半に日本語を含む多言語に拡大しており、地域としての日本での基盤は整いつつあります。
ライブ翻訳については、AirPods+Phone/FaceTimeの対面翻訳に日本語を年内に追加とAppleが明記
したがって日本で「日本語↔他言語」のライブ翻訳が使えるのは“年内予定”というのが最新の公式見取り図です。
“リアルさ”を上げる実践Tips
- 静かな場所>騒がしい場所
ANCは有効だが、カフェ騒音・反響が強い場所では短文で切って話す。 - 固有名詞は綴り併用
固有名詞・住所・専門語はiPhone画面のテキストで共有すると誤訳を減らせる。 - 対応言語を事前DL
オンデバイス翻訳やオフライン運用の安定化に、対象言語のダウンロードを。
要点のまとめ
- 本当に使えるの?——ベータ段階ながら会話テンポは“ほぼリアルタイム寄り”。ANCと画面テキスト併用で使い勝手を底上げ。
- どのAirPodsで動く?——Pro 3が先行、Pro 2/4(ANC)にも展開予定。Max/非ANC 4は対象外見込み。
- EUはなぜ不可?——DMAの相互運用要件対応待ち。規制準拠後に解禁の可能性。
- 日本はいつ?——Apple Intelligenceの多言語展開は進展済み。ライブ翻訳の日本語は年内追加予定。
参考・一次情報
- Apple Newsroom:Introducing AirPods Pro 3(Live Translationはベータ、言語拡張の予告)
- 9to5Mac:AirPodsにライブ翻訳が到来(操作・画面表示の挙動)
- Tom’s Guide:Pro 2/AirPods 4(ANC)にも展開
- TechRadar:対応機種と初期言語の整理
- TechCrunch:EUでの提供見送り(DMA対応が理由)
- MacRumors:EUアカウント+居住で不可
- Apple公式サポート:Apple Intelligenceの入手(対応言語と地域・要件)
- Apple Newsroom(2025/3/31):Apple Intelligenceの日本語対応拡大
- 比較参照:The Verge:Timekettleの同時通訳イヤホン