「なぜLINEのようなサービスを生み出せなかったのか」
NTTの研究部門トップの常務執行役員、川添雄彦は今も自問自答
「NTTを変えるきっかけはないか」
社長の澤田純が目をつけたのは在宅勤務だった。
2020年8月14日 日経新聞にこのような記事が掲載された。
そりゃそうだろう!
あんたたちは、既得権益を守ろうとして、新しいアイデアをどれだけ潰してきたんだ。
と容易に想像できる。
今回のIT小僧の部屋では、
NTT 「なぜLINEのようなサービスを生み出せなかったのか」について考えてみた
「在宅勤務」が自社を変えるきっかけなんて言っているようでは、落ちぶれるだけだと思うIT小僧が、物申します。
最後まで軽い気持ちで読んでやってください。
目次
時価総額世界一位 だった
NTTは1987年の上場直後、時価総額で世界一だったが今では50位以内にも入らない。
1987年、バブル景気の象徴だった119万円で売り出されたNTT株
コンピュータ屋(ITエンジニア)の道を歩み始めたIT小僧は、会社の専務に
「絶対に儲かるから 借金してでもNTT株を買え」
と言われた。
そのNTT株 2ヶ月後に318万円まで値上がりしました。
「さすが、相場の世界で命をかけてきた男」
と素直に思っていた。
もっとも、2020年8月14日現在 2,643円という株価になっているとは、思いもしなかったであろう。
i-mode
携帯電話会社のNTT docomoは、NTTの子会社である。
携帯電話にインターネットを持ち込んだ docomoは、大成功した。
と言っても、それは、国内市場のみ
海外にライセンスビジネスを展開し、十数ヵ国のキャリアで動き始めていました。
フランスのBouygues Telecom(ブイゴテレコム)もその一つ
ロードレース(自転車レース)ファンならば、ツール・ド・フランスで有名になったチームにスポンサーをしていて i-modoのマークが世界中に放送されていました。
2004年には、85万人のユーザーを抱えるなど成功すると思われたのですが、
フランス版出会い系サイトともいえそうな「Skychat」が人気で位置情報などもリンクしたり、レストラン情報、イベントなどを展開していた。
そうです、スマートフォンと携帯電話という違いこそあれ、かなり進んでいたサービスであった。
しかし、それを発展させることができなかった。
快進撃
2000年代にネットバブルが発生、Web2.0とか IT業界では、HTMLを書けるエンジニアが急増
ページを作って表示させるだけで莫大な利益を得ることができたIT企業は、虚業としてやがてバブルと共に消滅
同じ頃、NTTは、インターネットの接続としてISDNを展開
サービス総合ディジタル網
Integrated Services Digital Network
すべての通信をデジタル化し、一つの回線網で音声通話やFAX、各種のデータ通信などの通信サービスを統合的に取り扱う
としてNTTが、全面的に売り込みをかける。
それまで電話回線にモデムを接続して電話代を気にしていたネットユーザーは、夢のようなインフラであった。
「INSネット64」という名前で契約していた人 多いと思います。
1995年に開始されたサービスは、電話通信が定額となる「テレホーダイ」とともに普及した。
ADSLに負けた
2001年になって強烈なサービスが登場
Yahoo!BBと組み合わせて使うIP電話のBBフォンがサービス開始
ADSLモデムを街角で無料で配布して契約するなど、強引なやり方でしたが、ISDNより高速で安価な回線に多くの人が流れていった。
iPhone
iPhoneの登場に関する書籍や資料は、いくらでもあるので省きますが、いち早くiPhoneの販売権を手に入れたSoftBankは、一気に契約数を増やしていった。
一方、docomo、auは、自社の高機能携帯電話(フィーチャー フォン)に勝てるわけがないと 無視していたわけですが、数年後に一気にシェアをSoftBankに持っていかれてしまった。
docomoは、自社のサービスを設定させないApple社と調整がつかないうちにたち遅れ、渋々、Apple社の条件を飲んで販売を開始
iPhoneの可能性を認めないのは、自社の携帯電話の販売に影響が出るという既得権益を守ったためであろうか?
時価総額で世界一だったが今では50位以内にも入らない
NTTは、今や時価総額で50位以内にも入らない状況となっている。
そのNTTは、今年の2月に在宅勤務を検討していた。
しかし、結局、NTT東日本やNTT西日本はそれぞれ1割程度となっている。
もともと、地域に密着しているNTTは、インフラを守るために在宅勤務が難しい。
NTT東日本は、17都道県で567万本の電柱、約74万キロメートルの光ケーブルを管理している。365日のサービス義務のある指定公共機関なので在宅勤務はもとから難しいはずである。
そのNTTは、新戦略としてNeWork(ニュワーク)というWeb会議システムを商用化している。
セキュリティを気にする企業なら売れると考えたのか?
IT小僧もこの原稿を書くまで 不勉強でNeWork(ニュワーク)などというWeb会議システムは知らなかった。
開発裏話では、米Googleで活躍した社外のソフトウエア開発者の及川卓也氏が参画し、2カ月ほどで商品化したという。
Zoomと競うとか言っているが、所詮 国内向けのみで世界に売れるサービスではない。
もっとも Zoom、Terms、WebExなど 群雄割拠な世界に入り込むことなど無理だろう。
そこで冒頭のコメントが出てくる
なぜLINEのようなサービスを生み出せなかったのか
なぜLINEのようなサービスを生み出せなかったのか?
先のNeWork(ニュワーク)も社外のエンジニアがいたからできたことで社内のエンジニアにはできなかったであろう。
NTTには、優秀なエンジニアもいると思います。
でも残念ながら彼らの意見が、上層部にいたであろうか?
なぜLINEのようなサービスを生み出せなかったのか
と研究部門のトップが言っているような企業だから
新しいものなど絶対に生まれない。
LINEに対抗した+メッセージも、大手3キャリアだけしか使えないなど
くだらない縛り で沈没している。
そんなことは、自社のスマートフォンを見れば成功しないことが明らかである。
dなんとか というアプリを満載、docomoでしか動作しないものを大量に埋め込んだスマートフォンを見てみろよ!
そこが原因だと気が付かない限り、永遠にLINEなどのようなサービスは生まれない。
在宅に活路を見出す?
新型コロナウィルスの影響でテレワークが、実験的に行われました。
多くの経営者は、
仕方なく テレワークに踏み切っている
その証拠に再び会社に出勤させようとしている経営者が多い。
テレワークなど効率が落ちる。
仕方がないから やってやっている。
なぜ効率が落ちるのか?
などと検証も改善もしないで 社員に対して
やってやっている
な状況では、そこから何も生まれない。
最近では、「雑談がアイデアを生む」とか「コミュニケーションが大事」と盛んに経済誌で
「テレワークをやらない(やりやくない)言い訳」
を盛んにマスコミを通じて宣伝している気もします。
そもそも「雑談がアイデアを生む」ならば、日本企業で世界で勝負できるネットサービスなどもっと夜に出ているはずである。
「雑談がアイデアを生む」なんてGoogleなどのような企業風土でなければ絶対に生まれない。
在宅に活路を見出すならば
在宅に活路を見出した企業は、表にはでていないけど結構あると思います。
IT企業を中心に テレワークに切り替えたことでコストダウンだけではなく大きな利益を生み出そうとしている。
テレワークが悪いのではなく、やり方が悪いのであって
今までの仕事をやり方をそのまま テレワークでやろうとするのが間違っている。
そこに気がついた企業は、次のステップを歩み始めた。
以前書いたのですが、ここがポイントだと思っている。
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テレワーク待ったなし 「オフィスなんて飾りですよ」なんていう経営者が勝ち残る
テレワーク待ったなし 「オフィスなんて飾りですよ」なんていう経営者が勝ち残るかも知れない。
続きを見る
富士通は、積極的にテレワークを自社で実験を行い、そのノウハウを他社に売ろうとしている。
アイデアを潰すのは誰だ
以前、ある企業で、一般社員からネットサービスのアイデアをプレゼン、新サービスを模索していた。
残念ながら、昔の成功例から出られない経営者の一言でボツになってしまった。
あれから、5年、世界規模で使われているアイデアもその中にあったのです。
DynaBook、WALKMAN かつて世界でトップを取っていた製品
それらは、成功体験や権利関連を打ち破れなかったため萎んでしまいました。
DellやHPの後すらも追えなくなった DynaBook
既得権益を守るため iPodにやられてしまったWALKMAN
こんなプロジェクトや製品は数しれないほど多い。
なぜLINEのようなサービスを生み出せなかったのか
NTTという枠を超える「とんでもないヤツ」が出てこない限り、世界的なサービスは生まれない。
失敗を許さない日本の企業体質が一掃されない限り 浮上することはないだろう。
それには、老害と呼ばれる人をすべて退治するしか道がない。
多くの企業は、起業したひとが引退して「社内政治に長けた人」が、経営者になっている。
そんな人が、新しいことなど絶対に生み出すことができない。
なぜなら、成功体験を打ち破ることができないし、既得権益から逃れられないからである。
まとめ
NTTのお偉いさんが、この弱小ブロガーの記事など読んでいないと思いますが、もし読んでいたら考えてみてほしい。
自分も含めて老害は、おとなしく去るべきだろう。
サポートはするが、好きなようにやらせるしかない。
そして、100失敗しても 101度目に成功すれば良いということを覚えていてほしい。
世界規模なサービスは、そんな、100の失敗の中から出てきた101のものだと思っています。
なぜLINEのようなサービスを生み出せなかったのか
101度目にかける寛容さと余計な邪魔をしないことをオススメする。
もっと若い人の話を聞いてみましょう
年寄りにできることは、若者の邪魔をすることではなく 見守り、応援して、責任(頭を下げる)である。
残念ながら多くの経営者は、自己保身しかできないのが現状である。