先日、NHKのニュースである野球スタジアムでスマートフォンのアプリと試合を連動させて盛り上げよう!
という報道がありました。
スタジアムのアナウンスに超音波を紛れ込ませてスマートフォンアプリと連動させているようです。
超音波、この人の聞こえない領域を使っていろいろなことをやろうとしています。
今回の「IT小僧の時事放談」では、
「超音波通信 規格なき無法地帯」
と題して
「超音波通信の行方」
について考えてみました。
今回も小難しい話をできるだけ簡単に解説しながらブログにしました。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
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目次
Mアプリ
「千葉ロッテマリーンズ 球団公式アプリ『C』に新機能が登場!!『SoundFlash(サウンドフラッシュ)』機能」
2018年3月30日(金)から利用可能と発表されました。
内容を見るとこのように書かれています。
スタジアム空間のさらなるエンターテイメント性向上と新たな演出、観戦体験の提供を目指し、音声透かし技術を活用した取り組みの実証をパナソニックグループ(パナソニック株式会社 コネクテッドソリューションズ社、パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社:以下パナソニック)と共同で実施します。今回の音声透かし技術は、エヴィクサー株式会社製の音響通信Another Track(R)です。
音声透かしでは既設の音響設備を用いて一斉同報通信を実現。『Mアプリ』をインストールしたスマートフォンに対して、スタジアムの音響設備から動作トリガー(可聴域もしくは外の透かし入り音)を送ることで、手元のスマートフォンにインタラクティブな演出や様々な情報提供が可能になります。スタメン発表や勝利後の演出などの様々なシーンで利用予定です。
野球とスマートフォンを連動して盛り上げるということが目的です。
外野席の上の方だと、試合の細かい所見えませんからね。
でもこれがあれば、観客全員が共通のアプリで盛り上がることができます。
パ・リーグの
「観客を楽しませよう」という姿勢と
「ITを積極的に取り入れた戦略」にセ・リーグ各球団は、置いていかれています。
(スワローズは、すでに実践しているので除きます)
TVやラジオなどの媒体で放送すれば、観客が来る時代は、とうに終わっています。
「スタジアムに行ったらなにかが起こる」
という空間演出がこれからのスポーツには欠かせないことでしょう。
さて野球の話は、さておいて今回の主題は、「音声透かし技術」と言われるものです。
音声透かし技術
音声透かしとは、英語でAudio Watermarkと言います。
簡単に言えば、通常のスピーカーから人間の耳には聞こえない周波数帯の音をデータ通信として利用してアプリなどで受信、イベントを発生させたり、情報を表示させることに使われています。
音声透かしは、時別な機器が必要なく、通常のスピーカーで対応できます。
スタジアムの館内放送に使っているスピーカーを使えば、余計な投資は必要ないのです。
千葉ロッテマリーンズでSoundFlash(サウンドフラッシュ)機能を担当した
エヴィクサー(社Evixar Inc.)では、このように記載されたいます。
要素技術 Audio Watermark(音響透かし・音声透かし)とは
日本語では「音響透かし(音声透かし)」と訳され、音声信号に暗号化を施した文字情報などを埋め込む技術です。エヴィクサーの技術では、メディア耐性、秘匿性、残響および雑音耐性に優れ、音質劣化性能も検証済みであるため、様々な用途に応じたソリューションを提供しています。
なるほどいろいろなところに応用できそうですね。
問題は、ここです
「人間の耳には聞こえない周波数帯の音」
もう少し具体的にみてみましょう。
読者の方からご指摘を受けたので訂正いたします。
エヴィクサー社の技術では、超音波を使っていないとのことです。
誤解を招く招くような記事で大変申し訳ありませんでした。
エヴィクサー社の技術は、人間に聞こえない周波数帯ではないのですが、超音波を使った通信方法は、結構出回っていました。
(過去形)
2020年の時点では、Bluetoothがその代わりに使われています。
※この記事は、2018年の記事ですのでご注意下さい。
人間の耳には聞こえない周波数帯を利用
要は、超音波ともよばれる周波数帯です。
超音波(ちょうおんぱ、英語: ultrasound または ultrasonic)とは人間の耳には聞こえない高い振動数をもつ弾性振動波(音波)である。超音波は可聴域の音と物理的特徴は変わらず、人が聴くことができないというだけである。
Wikipedia
医療分野では、既に使われている技術で超音波画像診断装置(エコー)と呼ばれています。
また、鉄道の車軸検査、建築で使われる鉄骨の検査などにも応用されています。
鉄道は、職人さんがハンマーで叩いて調べていましたがそれを超音波でやってしまおうというわけです。
さらに美顔器、歯ブラシなどにも応用されて商品化さえています。
というように、そんなに珍しい技術では、ありません。
医療用とか、車軸検査は、超音波を使った通信技術では、ないので問題はないとは、思われますが、
「超音波を使った通信」には、いろいろな意見があるようです。
野放し状態の超音波通信
お店、イベントなどで超音波を発信しているところに近づくと
アプリがそれを受信して動作を開始
ガイド、コンテンツの表示などができます。
博物館などでは、すでに導入されているところもあります。
アプリさえ立ち上げていれば、動作する。
Wi-FiやBluetoothのように接続の手間や機能を切断していると使えない。などの心配がありません。
IoTの利用方法としてもっと使われることとなると思います。
しかし、標準規格が、まだありません。
野放し状態なのです。
暗号化などの技術もそれぞれに任されていて、独自規格が蔓延しています。
今は、利用が限定されていますが、人間は、お金になると思ったら、いろいろなことを考えます。
サブリミナル効果ではありませんが、広告会社やマスコミが、必ずこれを利用するはずです。
そのとき、規格や規制がなかったら、プライバシーなどダダ漏れの可能性もあります。
規制と規格
2018年4月17日(米国時間)
サンフランシスコでRSAのセキュリティーカンファレンスでが開かれました。
その中で超音波通信の支持できる部分と懸念すべき点について、研究者が発表をしています。
- 超音波技術には、現状の技術が未成熟なため問題がある。
- プライバシーとセキュリティーの基本的な保護を提供しているかどうかを確かめる方法がない
- 超音波が完全に野放しだと、混乱の原因
- 標準がなければリスクは悪化
主に上のようなことを発表しています。
Google Nearby
Googleは、この超音波通信において「Google Nearby」というAPIでプラットフォーム化しようとしています。
Google Nearbyは、セキュリティが強固で柔軟性のあるプラットフォームとして構築されていてAndroidとiOSのAPIとして提供されています。
さすが、Google先を見据えて標準化しようと考えています。
しかし、この先は、不透明でGoogle Nearbyが標準化される可能性は、わかりません。
しかし、これからの指標を出したことは、評価されるのではないでしょうか?
まとめ
Bluetoothや、Wi-Fiも業界標準で規格化されているにもかかわらず「脆弱性」が見つかっています。
無線通信は、セキュリティーの問題が、常に問いただされています。
これまでこのブログで何度か書いてきましたが、
「スマートフォンを手にした瞬間から個人情報が売買」
されています。
無料サービスの変わりに個人情報で代金を払っていると言っていいでしょう。
ここに新たに超音波通信というBluetoothや、Wi-Fiよりも敷居の低い通信方法が増えてきます。
今のところは、悪用されていないだろうと研究者も言っていますが、この先は、わかりません。
と言って、超音波通信の可能性を否定するわけではありません。
無法地帯に無法者が、暴れ出さないうちに対処しないと問題が大きくなりそうです。
弱小ブロガーが心配しても何の解決にならないと思いますが、業界が今後どうするのかチェックしようと思っています。
この記事を書いた当時(2018年)は、超音波通信が問題になって来た状況でした。
現在は、近接通信の主流は、Bluetoothが主流になっています。
ただし、届く距離はかなり違いますが・・・
ところで「コウモリさん」は、超音波が飛び交う世界になって大丈夫なのでしょうか?
余計な心配が続きます。
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参考資料
千葉ロッテマリーンズ
https://www.marines.co.jp/news/detail/00002015.html
Mアプリは、以下のリンク先からインストールできます。
エヴィクサー株式会社(Evixar Inc.)
https://www.evixar.com/evixaracr
Google Nearby
https://blog.google/products/android/introducing-nearby-new-way-to-discover/
WIRED
https://www.wired.com/story/ultrasonic-signals-wild-west-of-wireless-tech/