2026年7月31日公開予定の映画「スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ」のトレーラーが公開されると、世界中のファンがある"異変"に気づいて騒然となった。スパイダーマンことピーター・パーカーが、Sony Xperiaではなく Samsung Galaxy Z Flip 7を使っていたのだ。ソニー・ピクチャーズが権利を持つ映画でライバルのSamsungスマホを使う──その意味と背景、そして映画とスマホをめぐるあれやこれやを徹底解説する。
📋 この記事の内容
問題のシーン:スパイダーマンとGalaxy Z Flip 7
2026年3月18日に公開されたトレーラーの冒頭。スーツを脱いだピーター・パーカーが高層ビルの鉄骨に逆さ吊りになりながら、スマートフォンをいじっているシーンが登場する。その手に握られていたのは、明らかに折りたたみスマホだった。
📱 トレーラーで確認された内容
- ピーターが鉄骨で逆さ吊りになりながらスマホをスクロール
- 折りたたみ型の端末で、Galaxy Z Flipシリーズと特定される
- カメラリングのデザインからGalaxy Z Flip 6またはFlip 7と推測
- インスタグラムのリールで友人ネッドとMJの動画を閲覧
- 端末を金属面に伏せて置く(推奨されない行為と話題に)
端末の最小価格は約1,100ドル(約16万円)。ファンの間で即座に「ピーターが貧乏な理由はこれだ」と笑いが広がった。
ソニー映画とXperia:長い蜜月の歴史
そもそも、なぜスパイダーマン映画でXperiaが使われてきたのか。それはソニーがスパイダーマンの映画化権を保有しているという事情と深く結びついている。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが1990年代末にマーベルからスパイダーマンの映画化権を取得して以来、同社は自社のスマートフォンブランドを積極的に映画内で起用してきた。
| 作品 | 公開年 | 登場端末 | 備考 |
| スパイダーマン:ホームカミング | 2017年 | Sony Xperia | Sony機器が随所に登場 |
| スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム | 2019年 | Sony Xperia | Sony製品の扱いが顕著 |
| スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム | 2021年 | Sony Xperia | 世界興収19億ドルの大ヒット |
| スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ | 2026年 | Samsung Galaxy Z Flip 7 | ⚡ 初のライバル端末起用 |
ソニーがスパイダーマン映画でXperiaを使ってきた慣習は、映画版「007」シリーズでのSony Ericsson C902(「スカイフォール」でも登場)の事例と同様、ソニーが映画を宣伝媒体として活用してきた長年の戦略の延長線上にある。
なぜXperiaが消えたのか?ソニーモバイルの現在
Xperiaが選ばれなかった最大の理由は、Xperiaシリーズが米国市場でほぼ入手不可能な状況にあることだ。ソニーは米国でのXperia販売を事実上撤退しており、主要市場で視聴者が「あ、あのスマホだ!」と認識できなければ、プロダクトプレイスメントの宣伝効果がない。
⚠️ Xperiaが選ばれなかった背景
- Xperia 10 VII・5 VIIが米国市場で未販売(5G対応の問題も指摘)
- ソニーのモバイル事業は世界シェアで苦戦が続く
- 映画の舞台はニューヨーク──米国での認知度が低い端末では宣伝効果が薄い
一方でSamsungは大規模なプロダクトプレイスメント投資でMCU映画への登場機会を獲得した。「ソニーが映画事業では自社ブランドを守りながら、スマートフォン事業では明け渡した」という皮肉な構図が、世界中のファンの間で話題となっている。
ネットの反応:「貧乏なのに1,100ドル!?」
Reddit(r/shittymoviedetails)に投稿されたネタ考察が大きな反響を呼んだ。Galaxy Z Flip 7は最安値でも約1,100ドル(約16万円)。「ノー・ウェイ・ホーム」以降、極貧生活を強いられているはずのピーターが高額折りたたみスマホを使っているという矛盾が笑いを誘った。
💬 海外ファンのコメント(意訳)
「ピーターが貧乏な理由はこれだ。1,100ドルのスマホに全財産を注ぎ込んだんだ」
— Redditユーザー ESPRMusic
「折りたためるから、ポケットのないスパイダースーツのお尻に収まるんだよ」
— Redditユーザー Flecca
「Samsungを使ってるってことは、ピーターが実は悪役なのでは?(Appleルール的に)」
— Redditユーザー mcgriff4hall
AppleのiPhone「悪役禁止ルール」とは
上記のコメントにもあった「Appleルール」について詳しく解説しよう。映画監督ライアン・ジョンソンが2020年に明かした衝撃の事実だ。
🍎 Appleの「ビランクローズ」(villain clause)
Appleは映画制作会社にiPhoneの使用を許可しているが、悪役キャラクターがiPhoneを使うことを禁止している。ミステリー映画でiPhoneを持っていないキャラクターが犯人だとわかるため、「ネタバレになる」とジョンソン監督は苦笑交じりに語った。
出典:ライアン・ジョンソン監督(Knives Out)がVanity Fairのインタビューで発言(2020年)
| 作品 | iPhoneを持たないキャラ | その正体 |
| ナイブズ・アウト(2019) | ランサム(クリス・エヴァンス) | 犯人 |
| グラス・オニオン(2022) | 全登場人物 | ルール公開後のため全員Apple非使用 |
| SUCCESSION(HBO) | 悪役キャラクター複数 | ルールが適用されていると指摘 |
Appleの商標使用ガイドラインには「Appleの製品はAppleとApple製品にとって好ましい文脈でのみ使用できる」と記されており、法的根拠としてこのルールが運用されている。映画を観る際にキャラクターのスマホに注目するだけで、犯人がわかるという"副作用"が生まれている。
映画×スマホ:プロダクトプレイスメントの世界
映画の中にスマホが登場するのは、偶然でも小道具担当のセンスでもない。数百万ドル~数千万ドル規模の広告取引が背景にある。
📊 スパイダーマン×ソニーの場合
ソニーは映画の権利を持つ"内輪"のため、ライセンス費用なしにXperiaを登場させることができた。自社映画に自社製品を入れる、最もコスト効率のよい宣伝手法だった。
💰 サムスンの場合
Samsungは多額のプレイスメント費用を支払ってMCU映画への登場権を獲得。Galaxy Z Flip 7が映画の冒頭シーンに登場することで、世界規模のマーケティング効果を得ている。
🕵️ James Bondシリーズの場合
2015年にはSonyとSamsungがボンド映画の宣伝権をめぐって競合したことも報じられた。ソニーは映画「スカイフォール」でSony Ericssonのボンドフォン(C902)を採用するなど、映画×スマホの歴史は長い。
まとめ
🕷️ この記事のポイント
- スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイのトレーラーで、ピーターがSamsung Galaxy Z Flip 7を使用しているのが判明
- Sony映画なのにXperiaが選ばれなかった理由は、Xperiaの米国市場撤退による宣伝効果の低下
- Appleは映画内で悪役がiPhoneを持つことを禁止する「ビランクローズ」を設けている
- 映画のスマホ登場は偶然ではなく、数百万ドル規模のプロダクトプレイスメント契約によるもの
「スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ」は2026年7月31日、日米同時公開予定だ。本編ではGalaxy Z Flip 7がどのように活躍(?)するか、そしてXperiaが完全に消えるのかどうかも、映画ファン兼スマホファンには見どころの一つになりそうだ。
次に映画を観るときは、ぜひキャラクターの手元に注目してみてほしい。そこには知られざるビジネスの物語が隠れている。
情報出典:Android Authority / SamMobile / Sammyfans / Lowyat.NET / CNBC / Vanity Fair(2026年3月〜4月)
