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IT小僧の時事放談

インドがリアルマネーゲームを全面禁止へ? 日本の現状と今後の展望

「宝くじ感覚で楽しんでいたら、気づけば毎週何千円も使っていた」

そんなリアルマネーゲームが、インドでは“国家による全面禁止”の対象になろうとしています。
罪深い誘惑として認定されたゲーム群。依存や金銭被害を防ぐため、政府が強い規制に踏み切った背景に迫ります。

インド政府の狙い:中毒と財産的被害を封じ込めるため

ロイターによると、インド政府は「Promotion and Regulation of Online Gaming Bill, 2025」により、課金で報酬が得られるゲームを全面禁止する方向で動いています。
Gammalaw+15Reuters+15TechCrunch+15

違反した個人やプラットフォームには、最高3年の懲役または多額の罰金が科されることになります。

経済への打撃は避けがたい

この禁令の影響はゲーム業界にとって深刻です。リアルマネーゲームは2023–24年度に2.4Bドル(約3.6Bドル市場と見込まれる)の収益を生み、Dream11は時価80億ドル、MPLは25億ドルと評価されています。
Reuters+1

業界団体は、年間で約2兆ルピー(約30億ドル)におよぶ税収が消えると警告し、さらに利用者が管理されていない海外サイトへ移るリスクも指摘していますThe Economic Times

規制機関の設置とエスポーツ振興の狙い

新法案には、国家オンラインゲーム委員会(NOGC)の設置も盛り込まれています。

これによって広告や入金を管理し、スキルゲームやeスポーツを健全に育てる構想です。
ウィキペディア

国際比較──広告規制と自己規制の潮流

FacebookやInstagramを運営するMetaは、インドでリアルマネーゲーム広告を出稿する際、事前の書面承認と18歳未満への規制強化を導入しました。
Gammalaw+6SigmaPlay+6SigmaPlay+6

また、広告業界では「ギャンブルを収入手段として見せない」という責任ある広告ガイドラインが議論されています。
SigmaPlay

歴史に見るインドでのゲーム文化と法規制

インドの『Public Gambling Act 1867』では、ギャンブルの基本を規制していますが、現代では「スキルゲームは合法」と見なされていました。
ウィキペディア+2ゲームインディア+2

政府は2025年の法案で、この曖昧さを整理しようとしているのです。
また、州ごとの個別規制や過去のオンライン賭博 bans(例:タミル・ナードゥ州)とも整合性をとりつつ、中央集権的な枠組みを整備しようとしています。
SigmaPlay

日本の「賭博」原則は“禁止”、例外は公営+一部娯楽

日本の刑法は原則として賭博を禁じています(185条・186条)。

例外として、公営競技(競馬・競輪・ボート・オートレース)や宝くじなど、特別法にもとづく公的スキームのみが合法です。
オンライン賭博(オンラインカジノを含む)は違法で、利用者側も処罰対象になり得ると警察庁が明確に周知しています。
ICLGビジネスレポート
警察庁

  • オンライン賭博の最新強化:2025年の改正で、違法オンラインギャンブル等の広告・誘導行為の禁止が追加。国・自治体による周知徹底も義務化され、9月25日施行予定。
    神奈川県公式サイト

  • 併せて、外資系オンラインカジノを対象に削除要請や広告締め出しなどの執行強化が報じられています。
    World Casino News

「リアルマネーゲーム」はどう見られる?

日本法で賭博にあたるかは、概ね「①対価(エントリーフィー等)+②偶然性(運)+③財産上の利益(現金・金券等)」の三要素で判断されます。オンラインでの「現金や換金可能リワード」を伴うゲームは原則アウト。法務・実務の解説でも、スキルゲームやファンタジースポーツでも構成次第で賭博該当リスクがあるため実装は極めて慎重に、が通説です。
NoAndT

参考:米国ではDFS(日次ファンタジー)をめぐり「スキルか偶然か」で州ごとに判断が割れる状況。日本はオンライン賭博自体を広く禁じており、エントリーフィー+賞金などの設計は特に注意が必要です。sgp.fas.orglexisnexis.com

 eスポーツ賞金:賭博罪/景表法クリアのための運用

日本のeスポーツは当初、高額賞金が賭博罪や景品表示法(景表法)の規制に触れるのではという懸念から「賞金は10万円上限」等の“自粛”が広がりました。
その後、事業者・有識者の整理やガイド資料が整備され、現在は主催者・資金の出所・参加条件などを丁寧に組むことで高額賞金大会も運用可能に。日本eスポーツ連合(JeSU)も啓発資料で、どのような場合に景表法の対象になり得るかを示しています。
モノリス法律事務所eSports World(eスポーツワールド)J-STAGEjesu.or.jp

  • ポイント

    • ゲーム販売企業が自社商品の販促として大会を開き、購入を事実上の参加条件にすると景表法(不当景品類及び不当表示防止法)の景品規制が問題化しやすい。

    • 第三者主催/選手の労務対価(出演・競技の報酬)としての賞金など、位置づけの整理でリスクを避ける運用が定着。jesu.or.jp

ガチャ(ルートボックス):違法ではないが「コンプガチャ」はNG、確率表示は業界標準

日本ではガチャ自体は違法ではありません

ただし2012年、特定カードを“セットで揃えると激レアがもらえる”類型(コンプリートガチャ)は、景表法の「カード合わせ」解釈により違法な手法と明確化され、以降は各社が撤廃しました。
WIREDlawjournal.digital消費者庁

その後は業界団体(JOGA/CESA)が確率表示や上限設定のガイドラインを整備。「有料ガチャで得られる全アイテムと提供割合(確率)の表示を原則」とする方針が定着し、現在の国内モバイルゲームはほぼ徹底しています。cesa.or.jp+14GamerITmediaインサイド

パチンコ等:合法な「遊技」だが依存症対策は強化の流れ

パチンコ・パチスロは「風営法」の枠で遊技として許容され、特殊景品→景品交換所→卸業者という三店方式で実質換金が運用されています(ここは慣行上のグレーさが議論になりやすい)。
依存症対策は政府の**「ギャンブル等依存症対策推進基本法」および基本計画で強化が続き、2025年3月に新たな基本計画**が閣議決定。
自治体計画も順次アップデートされています。
首相官邸ホームページ神奈川県公式サイト

広告・誘導・決済:オンライン賭博の「入口」封じにシフト

2025年改正では、違法オンラインギャンブルの広告・誘導行為の禁止が明文化。SNSや検索広告、アフィリエイト経由の流入を封じる狙いで、警察庁も「海外で合法でも、日本からの利用は犯罪」と周知を強化しています。

今後は決済代行・送金経路の遮断**など、水際対策も一段と厳しくなる見通しです。
神奈川県公式サイト警察庁

日本のRMGは「原則×、例外△、設計次第」

  • リアルマネーを賭けるオンラインゲーム原則違法(オンラインカジノ含む)。広告・誘導も禁止へ
    警察庁神奈川県公式サイト

  • eスポーツ賞金設計と位置づけ次第で可。主催・資金・参加条件の整理が鍵
    jesu.or.jp

  • ガチャ違法ではないコンプガチャは禁止確率表示ガイドラインが実務標準
    消費者庁cesa.or.jp

インドの「全面禁止」案に比べ、日本はピンポイント規制+自主規制+依存症対策強化”の合わせ技で実質的な締め付けを進めている、というのが最新トレンドです。
「課金」と「換金」「偶然性」「参加費」の線引きを正しく行えば、健全な競技・娯楽は育てつつ、違法賭博の芽は摘む――これがいまの日本の立ち位置です。
ICLGビジネスレポート


まとめ

インド政府が目をつけたのは“人間を中毒に誘う仕組み”そのものでした。
全面禁止は業界の衝撃となりつつも、責任あるゲーム産業とユーザーの保護を求めた一歩です。しかし、税収の消失や違法プラットフォームへの流出など、課題も多く含んでいます。

日本でも同様のリアルマネーゲーム規制導入の議論が浮上していますが、インドの動きは「どこまでユーザー保護と産業育成を両立するか」の一つの答えとして重要です。ゆっくり整えていく法制度の在り方を、私たちも注視していきたいですね。

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