Apple社は、自社でOS、ハードウェア、サービスを展開しています。
クローズドな世界ですが、中にいる限り
安定していて
使いやすく
安心
というものを提供しています。
進撃の巨人の壁の中にいるエルディア人(ユミルの民)のような感じで、外の世界に出なければ平和に暮らせます。
多少、税金(Apple税)はかかりますが、それに余りある安定な世界となっているのです。
今回のIT小僧の時事放談は
Apple包囲網が厳しくなっている。決済に続いてUSB Type-Cが標準規格
と題して、平和な世界を侵食しつつある壁の外側の世界がAppleに侵略しつつあるというお話です。
小難しい話をわかりやすく解説しながら記事にまとめました。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
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目次
壁の中の世界
Appleのデバイス、iPhone、iPad、macは、それぞれ世界で大多数を占めている、Windows、Androidというパソコン、スマートフォンの世界では、多数派とはいえません。
日本、米国、英国あたりでは、iPhoneは、約半数近いシェアを誇っていますが、世界市場からすると30%以下となっています。
一方、パソコンとなると圧倒的にWindowsが占めていてmac使いは、YouTuber、写真、映像関係者などを除いて少数派となります。
また、Apple製品は、iPhone、iPad、Apple Watch、AirPods、AirTagなどApple社の製品を使っている限りそれぞれのデバイスの連携はスムーズでこの世界に入ったら抜け出せないという人も多いでしょう。
さらに、ネットサービスも音楽(Apple Music)、動画(Apple TV+)、Apple Pay、他にもニュース、書籍など 日常生活で使用するネットサービスの多くがApple社でまかなうことができます。
※跡は、Amazonなどの通販サービスがあれば事足りると思います。
この図式は、まさに 進撃の巨人の 壁の中にいるエルディア人(ユミルの民)そのもので、壁の外の世界など気にする必要もありません。
しかし、この平和な壁の中も外部からの侵略が徐々に準備が整えられてエイル状況になりつつあります。
USB Type-Cをスマホの標準規格に
まずは、EUから攻撃が加えられそうです。
EUの域内市場・消費者保護委員会において、無線設備指令に関する改定の見解が賛成43票、反対2票で採択されました。これは「スマートフォンのコネクタを統一して共通充電器が使えるようにする」という、10年以上にわたるEUの主張を強く推し進めるもので、2022年5月に欧州議会にかけられ、承認されれば法案の最終形についてEU各国の政府との協議が始まることになります。
Common charger: MEPs agree on proposal to reduce electronic waste | News | European Parliament
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20220412IPR27115/common-charger-meps-agree-on-proposal-to-reduce-electronic-wasteEuropean politicians on the cusp of requiring USB-C in all smartphones | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/22/04/20/european-politicians-on-the-cusp-of-requiring-usb-c-in-all-smartphonesEU plan for common worldwide phone charger port a step closer - Hardware - iTnews
https://www.itnews.com.au/news/eu-plan-for-common-worldwide-phone-charger-port-a-step-closer-579002EUは10年以上前から「電子機器の無駄をなくして廃棄物を削減する」ことを提唱しており、その一環として、スマートフォン・携帯電話の充電器を共通化することを主張してきました。
携帯電話業界もこの意見を無視していたわけではなく、2009年にApple・Samsung・Huawei・Nokiaなど14社は自主的に充電器の規格を「調和させる」覚書に署名。覚書の失効後も一部メーカーは同内容の意向書に署名をしていますが、実際には統一はなされませんでした。
業界の自主的な動きに任せていては充電器の共通化はなされないとみたEUは法制化に動き、2022年4月20日、域内市場・消費者保護委員会において、「無線設備指令の改定に関する見解」を賛成43票、反対2票で採択しました。改定内容は、有線ケーブルで充電する携帯電話、スマートフォン、タブレット、デジタルカメラ、ヘッドホン、ヘッドセット、携帯ゲーム機、ポータブルスピーカーなどに対して、メーカーを問わずにUSB Type-Cポートの搭載を義務づけるもので、消費者は新たな機器を購入したときでも手持ちの充電器やケーブルをそのまま活用できるようになります。なお、スマートウォッチやヘルストラッカー、一部のスポーツ用品など、USB Type-Cポートを搭載できない大きさの機器は義務が免除されます。
この案は2022年5月に欧州議会の本会議にかけられ、承認されると法案の最終形について、EU各国政府と欧州議会議員が協議を行う準備が整うことになります。
USB Type-Cポート搭載の義務化に対しては、Lightning端子を利用しているAppleが「何億もの端末やアクセサリーが廃棄対象となることで、前例のない量の電子廃棄物が発生する」と強く反発しています。
AppleがEUの「スマートフォン向け共通充電器」要求への反論声明を発表 - GIGAZINE
なお、無線給電に関しても、2026年までに技術の相互運用性を求めるという提言がつけられています。USB Type-Cと違って具体的な技術は名指しされていませんが、無線給電では「Qi」が広く普及しているため、こちらは大きな反発は出ないものとみられます。
「USB Type-Cをスマホの標準規格に」という案がEU消費者保護委員会を通過し法制化に大きく前進 - GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20220421-phone-charger-port-usb-c/
「スマートフォンのコネクタを統一して共通充電器が使えるようにする」
なんでも法制化して米国の巨大IT企業からカネを引っ張ろうとしているいかにもEUらしい攻撃です。
EUは、かつで
GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)
という法律を立ち上げ、主にGoogleをターゲットにして裁判を起こしまくり制裁金を取ろうと画策しました。
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DECODEプロジェクトってなんだろう! GDPR施行は、2018年5月25日です。
日本は、平和だなぁ 今日も国会でモリだのカケだの同じことの繰り返し もう一年もやってるよこの話題 野党もいい加減ネタ切れなのをわかっていながらズルズルと引き伸ばしています。 マスコミ、特にテレビは、こ ...
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これに味をしめて「スマートフォン向け共通充電器」= USB Type-Cの義務化と法律を作成しようとしています。
ターゲットは、もちろん AppleのiPhoneです。
Apple社は、mac、iPadなどは、USB Type-Cになっていますが、なぜかiPhone、AirPodsは、Lightningケーブルを頑なに使っています。
理由は、ケーブル利権とか言われていますが、Apple側も正式に反論しています。
「何億もの端末やアクセサリーが廃棄対象となることで、前例のない量の電子廃棄物が発生する」
すでに大量に普及しているものを
「今さら変えるのは、エコじゃねぇし」
もっともなご意見です。
一方、Android端末の多くは、USB Type-Cに移行し充電器、ケーブルも選び放題状態です。
しかし、macからiPhoneを充電する時に別にケーブルを用意するなんてことも起きているので
すべてをシームレスで快適に というApple製品としては、少し面倒なことには変わりありません。
決済の扉が開く
iPhone、iPadなどで使用するアプリは、App Store以外からインストールできません。
App Storeのアプリは、Appleが厳しい審査に合格しなければ掲載されないのです。
ですから、安心、安全、セキュリティもバッチリ! というわけでiPhoneは、安全だ という神話が成立しています。
一方、Android端末は、最近のデバイスは、基本 Google Playからのアプリダウンロードになっています。
設定を変えることで、審査のない ヤバいアプリも入手できるのです。
審査も、Appleのように厳重ではなく 漏れもある ため時にヤバいアプリが流通します。
※最近は、GooglPlayのセキュリティ(GooglePlayセキュリティ)も進化しているので かなり安心に近づいていることになっています。
さて 問題は、ここからです。
App Storeのアプリで課金されるものは、Appleの決済システムを通さないとアプリの審査が通らない
という締め付けがありました。
そのため、AmazonのKindleなんてアプリから課金できないのでWebから本を買う
なんてことがまかり通っていたのです。
※これは、GooglePlayも同じでしたが、抜け道が多かったのでAppleが目立つ結果となってしまいました。
さらに App Storeの課金は、30%(15%)上乗せ(俗に言うApple税)があったため、NetflixやSpotifyもアプリで課金すると高価な金額を支払うことになっていました。
※最近は、少し緩和されたようでWebで課金すれば問題ないサービスも増えているので、iPhoneでサブスクリプションで支払うときは、Webでクレジットカードが使えるかどうか調べてください。
たかが、30%といえどもバカになりません。
ところが、こんなニュースが流れました。
Google Playでスポティファイの独自決済を容認、強硬姿勢のアップルに逆風か
強硬姿勢を崩さないアップルに逆風となるか
独自の決済システムを導入して安定的に運用するには多くのハードルがあるだけに、今後グーグル以外の決済システムを導入する動きがアプリ開発者にどこまで広がるかは未知数な部分もある。だが今回のスポティファイとグーグルの契約を機として、特に規模が大きく独自の決済システム導入に前向きな大手のアプリ開発会社が、同様の契約へと動く可能性は非常に高いと考えられる。
一方で、気になるのはもう1つのアプリストア運営者であるアップルの動きだ。アップルも韓国では法律に従って、App Store以外の決済システム導入を認めたとの報道がなされているが、それ以外の国や地域ではグーグルのような動きを見せているわけではない。
もちろん既に発表されている、App Store外での決済手段を実現する取り組みは着実に進められているようだ。実際2022年3月30日には開発者に対し、電子書籍や動画などを視聴する「リーダーアプリ」で外部のWebサイトにリンクを設置することを認めるアップデートを実施した。これは2021年に日本の公正取引員会と合意に至った内容を実現するための施策である。
アップルは2022年3月30日、日本の公正取引委員会との合意に従う形で、リーダーアプリ開発者に対して外部Webサイトへのリンクを設置できる仕組みを提供、その受け付けも開始している
(出所:アップル)ただ現在もなお、アップルは決済システムの開放には消極的とみられている。それゆえもし同社がこの問題に関して何らかの動きを起こすとすれば、韓国と同様の法改正をする国や地域が出てくる場合、あるいは現在進められている、アプリの決済システムや配信などを巡るエピックゲームズとの訴訟の結果、アップル以外の決済システム導入を求められた場合に限られるだろう。
ただグーグルが決済システムに対して柔軟な姿勢を取るようになった現在、アップルが強硬な姿勢を取り続ければ各国の行政がより警戒感を強め、決済システムの開放だけでなく、アップルが最も恐れているであろうApp Store外でのアプリ配信を認めるよう求めてくる可能性も出てくるかもしれない。それだけに今後も、アプリストアを巡ってアップルがどのような判断を見せるのかは関心を呼ぶこととなりそうだ。
日経XTECH
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00086/00208/?P=3
GooglePlayもApp Storeと同じように課金縛りがあったのですが、ここにきて、
「Spotifyさん、課金は、どこでやってもええよ」
とGooglePが柔軟姿勢を打ち出しました。
「せっかくアプリ課金で儲かっているのに Googleさん それはないよ」
というAppleの心の声が聞こえてきそうです。
事実、世界中でApp Storeの課金に対して法律で開放しようとしています。
App Storeが儲ける金額は、かなりのがくで
Appleは米国時間1月10日、「App Store」がスタートした2008年からこれまでに、開発者がストアで累計2600億ドル(約30兆円)を超える収益を上げていることを明らかにした
こんなに儲かる仕組みを手放すのは、Appleとしては、絶対に守りたい
はずである。
そのため こんなこともニュースになっています。
Appleのロビー活動費が過去最高額を記録、Googleなども活動費を増額させロビー活動が過熱中
2022年04月22日 16時00分
Appleが2022年の第1四半期に議会で展開したロビー活動の費用が250万ドル(3億2000万円)に達し過去最高だったことが分かりました。Appleと同様に独占禁止法違反との疑いがかけられているGoogleなどの大手IT企業も、軒並みロビー活動を活発化させていることも判明しています。
Apple (AAPL) Spends Record High of $2.5 Million on Lobbying - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-04-21/apple-spends-record-high-on-lobbying-amid-pressure-from-congressApple spent more than ever on lobbying as antitrust threats loom
https://www.cnbc.com/2022/04/21/apple-spent-more-than-ever-on-lobbying-as-antitrust-threats-loom.htmlアメリカ議会が2022年4月20日に開示したロビー活動レポートにより、Appleのロビー活動費用が前四半期から34%増の250万ドルになったことが明らかになりました。ロビー活動費用の増加は、Appleがアメリカ内外で規制強化に直面していることを反映したものだとされています。
アメリカ議会上院の司法委員会は2022年に入り、IT企業がプラットフォーム上で自社製品を優遇することを禁じる「アメリカのイノベーションと選択のためのオンライン法(American Innovation and Choice Online Act)」と、プラットフォームそのものを強く規制する「アプリストア規制法(Open App Markets Act)」を矢継ぎ早に通過させました。
さらにヨーロッパでも、大手IT企業を狙い撃ちにした「デジタル市場法」制定に向けた議論が大詰めに入っています。
「アメリカのイノベーションと選択のためのオンライン法(American Innovation and Choice Online Act)」
「アプリストア規制法(Open App Markets Act)」
大手IT企業にとってこの法案は、あまり好ましくない法案かも知れません。
Apple以外の大手IT企業も、ロビー活動に多額の費用を投入しています。Googleの2022年第1四半期のロビー活動費用は、前四半期比34%増の296万ドル(約3億8000万円)で、Appleを上回りました。ただし、同社は2017年に3カ月間で600万ドル(約7億7000万円)ものロビー活動費を支出したことがあるため、最高記録には遠く及びませんでした。
Microsoftの今期のロビー活動費はAppleと同水準の250万ドルで、前四半期から2.8%増加しましたが、前年同期比では1.9%減となっています。また、Amazonのロビー活動費は前四半期比1%増、前年同期比3.5%増の497万ドル(約6億3900万円)でした。さらに、InstagramやWhatsAppの売却を迫られているMetaは、前四半期よりわずかに少ないものの前年同期比では12%増の539万ドル(約6億9300万円)をロビー活動に費やしました。
今回開示された資料ではこのほか、アメリカ以外のIT企業もロビー活動を本格化させつつあることが示されました。安全保障をめぐり事実上アメリカから追放されているHuaweiは90万6000ドル(約1億1650万円)で前年の4倍、児童ポルノを拡散しているとして当局から厳しい追及を受けているTikTokのByteDanceは前年同期比33%増の93万ドル(約1億1900万円)をロビー活動に投じています。
Appleのロビー活動費が過去最高額を記録、Googleなども活動費を増額させロビー活動が過熱中 - GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20220422-apple-lobbying-record/
ロビー活動 いわゆる 政治家への献金と何が違うの?
ということはさておき 自社へ有利な法案作成、不利益になる法案をつぶすために多額の賄賂(失礼 ロビー活動)を高額な資金をつかっています。
Appleだけではなく、他の企業もバンバンやっているのですが、どの企業も必死です。
※ロビー活動とは?
ロビー活動(ロビーかつどう、lobbying)とは、特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動である。 ロビイング、ロビーイングともいう。 議会の議員、政府の構成員、公務員などが対象となる。 ロビー活動を行う私的人物・集団はロビイスト(lobbyist)と称される。
こんなことにカネをつぎ込むならば 製品開発や価格に反映してくれと思うのは自分だけでしょうか?
まとめ
Apple社は、自社ですべて囲って収益を独り占めしているのでその収益を引き剥がそうと EUをはじめ いろいろなところが暗躍しています。
一方、自社でこれまで資金を投入し壁の中に快適な環境を構築してきたApple社
外部からの侵略は、巨大な壁を壊して楽園を押しつぶしてしまうのか?
それとも 巨大な壁(ロビー活動yなど)によって防ぎ切ることができるのか
特に大儲けしているAppleにとって目をつけられたことで厳しい戦いが続きそうです。