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IT小僧のブラック時事放談

楽天モバイルの憂鬱 「新規参入だから応援しよう」では、主回線として契約できない。

2020年3月7日

まんがでわかる 楽天と起業家三木谷浩史

楽天モバイル(MNO)が、4月から正式にサービスが開始されることが発表されました。

docomo、au、SoftBankに続く 4番目の携帯電話会社となるわけです。

「楽天会員が、1億アカウント以上あり、格安SIM(格安携帯)のユーザーが300万契約以上という数を考えれば、楽天モバイルの成功は約束されるだろう」

という経済評論家もいるらしいけど、それは、大きな間違いである。

非常に険しい状況だと思います。

今回のIT小僧のブラック時事放談は、
楽天モバイルの憂鬱 「新規参入だから応援しよう」では、主回線として契約できない
と題して 楽天モバイルについて勝手に考えてみよう。

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楽天モバイル

いろいろなところで楽天モバイルの料金体系が出ているので今更感があるのですが、おさらいです

Rakuten UN-LIMIT

楽天の回線を使うという条件
データ通信無制限で月2980円の1種類のプランでデータ通信を使い放題
電話に関しては、Rakuten Linkアプリを利用することで国内通話はかけ放題でSMSも利用し放題

Rakuten Linkアプリというのは、「携帯電話番号を使ったWiFi接続の音声通話ができる」とされています。
現在のところ、iPhoneでは、アプリが登録されていませんので使えません。

auローミングエリア

楽天の回線が使えないエリアは、au回線をかりて運用(auローミング)で月2GBの制限
データ容量を使いきると、通信速度が最大128kbpsと大幅に制限
データ容量を追加する場合は、1GBあたり500円で購入可能

海外通話

Rakuten UN-LIMITを使うことで月980円のかけ放題オプションを追加できる。
海外ローミングは世界66の国と地域が対象
対象外の国・地域ではその国に応じて異なる追加料金発生

事務手数料

3300円(税込)で楽天では同額相当のポイントを還元

5.300万人
300万人限定で1年無料対象

ざっくりというとこんな感じです。

菅官房長官も満足?

楽天モバイルの思い切った料金プランをうけて

「期待通り」

と昨年から推していた(と思える)菅官房長官のコメントでした。

ところで、彼は、自分で楽天もバイルを使ってみたのでしょうか?

おそらく使っていたら 別な意見をいったかも知れません。

楽天モバイルへの援護射撃として総務省は、「携帯電話料金と端末分離」「端末の値下げ制限」などを行い、docomo、au、SoftBankにプレッシャーをかけてきました。

つまり 「値下げしろ」の当て馬に「楽天モバイル」を利用しようとしたわけです。

しかし、楽天モバイルは、予定していた 2019年10月オープンは、「無料サポータープログラム」という限定 5000人で試験を開始
料金も発表されない状態で開始

しかも、10月にオープンできなかったことと予定していた基地局の工事が進まないということなどで
「3度の行政指導をうけていました」

特に2019年10月の消費税増税とセットで 「携帯電話が安くなる」と言いたかった政府とお役所は、メンツを潰されてたことでしょう。


一気に増えた基地局

3月3日の 楽天モバイルの発表では、当初予定していた基地局の数を超えるスピードで増えていった。

2020年3月末までに4400局を開設する見込みで2021年3月までに総務省に提出した計画書の8600局を「大幅に前倒しする形で動いている」
という 大躍進

先行して使用している「無料サポータープログラム」の声によると
施設などの室内は、auローミングが主体、地下鉄、地下街もauローミング、コーヒーショップも店内は、auローミング
という情報が流れています。

使用者は、まぁ 繋がればいいんだけど
auローミングは、月2GBの制限となっていて、決して使い放題ではないことを忘れずに

このあたりは、300万人が使い始めてどうなるのかがはじめてわかるので 現時点では、はっきりということはできない。

電波問題

楽天モバイルの使用電波帯は、1.7Ghzという 周波数になっている。
この電波は、直進性が強く、建物などの背後には届きづらいという特性があります。

SoftBankが、携帯電話事業を始めたときこのようなことを言われ続けました。

「iPhoneは使いたいけど 電波が切れる」
「繋がりづらい」

と酷評されたのは、使用していた電波帯の特性によるものです。

その後、SoftBankは、800Mhzという届きやすい電波帯を許可され、今では、日常で不便なく使えるレベルとなっています。

しかし、オープン当時の「繋がらねぇ」という印象は強く、今でも

「SoftBankの電波は、ダメだ」

という人が多いのも事実

携帯電話は、繋がって当たり前の日本でこの「繋がらねぇ」という印象が広がると厳しい。

ショップ問題

楽天モバイルは、ショップ展開をしています。
今は、格安SIMの販売とサービスになっていますが、現在の格安SIMは、4月に「新たな契約停止」となっています。

東京、名古屋、大阪といった楽天の回線があるところは、よいのですが、地方都市にあるショップは、
「楽天モバイルの回線が使えないので auの2Gまでしか使えない」という状態で商売しなければなりません。
つまり、地方では、使い放題には、ならない というわけです。

楽天モバイルでは、
「2021年3月末までに全都道府県に自営回線のエリアを広げる」(山田社長)
とコメントしているので1年間は、厳しい状況に置かれると考えられます。

 

機種限定問題

楽天モバイルの最大の懸念点は、携帯電話を選ぶということです。
発表会ではSIMフリーと言いつつ、つながる保証をしているスマートフォンは、少ない。

つまりAmazonなどで購入したスマートフォンに楽天のSIMカードを指して使えるかどうかは、

「神のみぞ知る」

と言っていいでしょう。

また、楽天モバイル側が、自社の回線のために「何かしらの細工」をしていたら、他社のスマートフォンは使えなくなります。
例えば、Pixel 4は、現在時点で楽天モバイルは、使えないと報告されています。
※Androidの総本山 Google製のスマートフォンが使えないというのは、微妙です。

さらに、重要なのは、iPhoneの対応ができていません。

iPhoneは、日本で一番使われているスマートフォンです。

iPhoneが使えないとなると
「iPhoneから楽天で販売されているスマートフォンを購入して乗り換えする人」は、限らます。

iPhoneがなぜ使えないかは、わかりませんが、Rakuten Linkアプリが、iPhoneに対応していないか、Appleが審査を通さないかは、わかりません。

顧客の流動性はおもったほどない。

顧客の流動性は、思ったほど多くないという情報が日経XTECHの記事に掲載されていました。

総務省は2019年10月施行の改正電気通信事業法で違約金の上限を1000円に設定し、期間拘束の有無による料金差を月170円までとした。長期利用割引も携帯電話料金の1カ月分(年間当たり)に制限し、携帯電話会社を乗り換えやすい環境を整備した。

だが蓋を開けてみれば、顧客の流動性はむしろ落ち込み、大手3社の2019年10~12月期の解約率は上がるどころか下がる結果となった。NTTドコモは前年同期比0.10ポイント減の0.47%、KDDI(au)は同0.11ポイント減の0.61%、ソフトバンクは同0.17ポイント減の0.86%といった具合だ。かつてない低水準となっている。

携帯大手3社の解約率の推移
解約率は算出対象が各社で異なる
NTTドコモ KDDI(au) ソフトバンク
2018年 10~12月期 0.57% 0.72% 1.03%
2019年 1~3月期 0.61% 0.98% 1.27%
4~6月期 0.58% 0.75% 1.03%
7~9月期 0.55% 0.77% 0.98%
10~12月期 0.47% 0.61% 0.86%

楽天モバイルの本格展開が遅れたとはいえ、携帯電話会社を乗り換えやすくなったので格安スマホへの移行がもっと進んでもよさそうである。でも、そうはならなかった。消費増税をはじめ、複合的な要因が考えられるため断言はできないが、やはり端末購入補助を封じた影響が大きいのではないか。結局、「消費者は端末の大幅な値引きというきっかけがない限り、なかなか乗り換えを検討しない」ということなのかもしれない。この仮説が正しければ、楽天モバイルも顧客の獲得に苦労することになる。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00687/030200027/?i_cid=nbpnxt_ranking

「消費者は端末の大幅な値引きというきっかけがない限り、なかなか乗り換えを検討しない」
つまり、よほどのことがない限り キャリアの乗り換えは、ないだろうという見方です。

SoftBankの場合は、iPhone独占販売という起爆剤があった。
一方、楽天モバイルの場合、起爆剤は見当たらない。
iPhoneも現時点で未対応というのが、問題になると思われます。
※iPhone未対応というのは、Rakuten UN-LIMITというアプリのiPhone版がないのか? それともアップル社から許可が出ていないのかについては、不明です。

通信スピードを言っていない。

docomoでは、機種によるものの、4Gでも最大で下り1576メガビット/秒、上り131.3メガビット/秒を確保
とWebサイトに公表しています。またau、SoftBankでも通信スピードについて公表しています。

しかし、

楽天モバイルの公式サイトには、通信速度の記述が見当たらない。

つまりは、
「安いけど、遅いかも知れないし速いかも知れない」

「使い放題」だから、そこは許してね

とも受け取れてしまう。

実際の通信スピードに関しては、やってみないとわからない
という状況です。

楽天モバイルの格安SIMは、終わるのか?

現在、楽天モバイルは、格安SIM(MVNO)をサービスしていますが、この格安SIMは、

新規受付は4月7日に終了することが発表されました。
そしてその先には、格安SIMの終了が予想されます。

「格安SIMの人は、新しい楽天モバイルの UN-LIMITに移行してね・・・」
という流れになりますが、docomo回線を使っていた人は、そのまま UN-LIMITに移れるかと言うと

「今の発表では、使えない機種が多い」
「iPhoneが使えない」

docomo回線は、au よりも通じるエリアが多いのも事実なので 格安SIMで使えているひとが、乗り換えて使えるかどうかは、神のみじ知る状況になります。

現在の楽天モバイルのユーザーに対してどのようにして新しい罫線契約をしてもらうことが最大の課題だと思います。

ここを失敗すると多くのユーザーが離れます。

まとめ

電話回線は、インフラです。

2台持ち、3台持ちの人ならば、予備回線として価値はあると思いますが、この回線だけで運用するのは危険だと思っています。

もし、電話とメールだけと限定して考えれば、格安SIMでも十分なので 乗り換える必要性もありません。
また、iPhoneのような魅力のある端末も見当たらないため、端末目当ということも難しそうです。

となると

現在使用している回線に不満がなければ 積極的に乗り換える理由がみつからないのです。

ヨイショする人が多いけど、電話に関しては、つながってこその電話です。

「新しい電話事業だから応援しよう」

とか

「新規参入だから不具合があっても仕方がない」

ということで主回線を変えることは、ありえない。

もっとも、300万人の無料テスターならば、参加することに意義があります。

そして、1年後にこの300万人が、どのぐらい残るのか? 楽天モバイルにとって厳しい1年が続くことでしょう。

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