IT業界が全速力で走っている。
AI,IoTをはじめ、Cloud、ブロックチェーン、スマートフォン、電子決済
これらの多くは、20世紀のような巨大なインフラや資源を元にした産業ではありません。
日本が最も得意とした「人の力」による産業のはずでした。
今回のIT小僧の時事放談では
IT人材不足という仮面の下で何が起きているのか? リストラが続くIT企業
について 小難しい話をわかりやすく解説しながらブログにしました。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
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目次
苦しむIT企業
今年は、IT企業の巨人たちに暗いニュースが続きました。
富士通
執行役員を半数以下に、富士通がリストラ断行
「サービス事業に集中して伸ばしていく。その大方針は変えていない。ただ、そのスピードは少し遅かったかもしれない」。2018年10月26日、富士通が開いた経営方針説明会で、就任4年目の田中達也社長に笑顔はなかった。冒頭のコメントは就任1年目に掲げた「営業利益率10%」「海外売上比率50%」という経営目標のうち海外売上比率50%を撤回するに至った誤算を問われての回答だ。
引用:日経 xTECH/日経コンピュータ
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/01178/
執行役員を半数以下にしても事業に何の影響も出ないでしょう。
さらにこんなニュースも
富士通が5千人を配転 転職提案も
富士通は26日、総務や人事など国内の事務部門をスリム化する方針を表明した。
約25%に当たる5千人を、営業やシステムエンジニアなどの職種に異動させる。難しい場合は、退職金を割り増す早期退職を活用する。海外事業の不振で収益が伸び悩んでいる中、事務部門の効率化で利益を生み出す考えだ。経営計画の見直し策の発表で明らかにした。これまでに半導体やパソコンなどの事業を売却し、ITシステム事業に注力してきたが、利益は目標を下回る水準。そこで、売り上げ増に直接つながる営業などに手厚く人材を配置することにした。早期退職で見込む人員削減の規模は、「人が足りない部門もあり、減らせばよいという発想ではない。構想を詰めている段階だ」(塚野英博副社長)として示さなかった。
以下略
引用:2018年10月26日 19時51分 朝日新聞デジタル
http://news.livedoor.com/article/detail/15504437/
はっきりいって、これは、配置転換ではない
リストラです。
約25%に当たる5千人の総務や人事など国内の事務部門をスリム化する方針を表明した。
そしてその人材を、営業やシステムエンジニアなどの職種に異動
こんなのできるわけがない!
(なかには、適応する人もいると思いますが、少数には違いない)
専門の知識を必要とするITの営業やシステムエンジニアなんて、未経験で対応するなど
「辞めて下さい」
と言っているようなものである。
「難しい場合は、退職金を割り増す早期退職」
こちらが、本音だと思います。
そもそも
「約25%に当たる5千人の総務や人事を削ってもやっていける]
という事実が判明してしまいました。
「余剰人員」だったということです。
富士通は、一般社員をリストラするために「執行役員を半数以下」にしてケジメをつけて
「約25%に当たる5千人の総務や人事」の人員のリストラを行う。
ということがニュースから読み取れます。
富士通はこれまで
半導体事業、パソコン事業、携帯電話事業
すべて売却
残ったのは、ITビジネス、でも思ったより利益が伸びない。
ということで今回のリストラを実行
原因
海外との競争に負けたのです。
得意としていた大型汎用機が、クラウドに敗退
半導体、パソコン、携帯電話は、米国、中国、韓国に敗退
通信部門も怪しくなってきた。
残ったのは、ITサービスという「不安定な部門」だけとなってしましました。
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NEC
こちらは、富士通より悲壮感が漂っています。
売上高
2000年度の5兆4097億円
2017年度は2兆8300億円 ピーク時の約半分
営業利益
2000年度の1852億円
2017年度は、3分の1を下回る予想
事業売却
2010年に携帯電話・半導体事業
2011年にPC事業
2014年にインターネットプロパイダ事業
2017年~2020年の間に車載電池・小型蓄電池事業を手放す予定
リストラ
2001年に4000人
2002年に2000人
2012年にに1万人
2018年国内での3000人の人員削減予定
稼ぎ頭だった
通信業者向けネットワークインフラ(テレコムキャリア事業)
3年連続で減収
2012年 「NECグループを支える新たな柱にする」と開始した
スマートエネルギー事業も赤字転落
NECに残されたのは、ITビジネスの以下の4事業が中心
パブリック事業(官公庁・公共機関向けITインフラ)
エンタープライズ事業(企業向けITソリューション)
テレコムキャリア事業(通信事業者向けネットワークインフラ)
システムプラットフォーム事業(サーバなどハードウェア)
このうち「サーバなどハードウェア」は、間違いなくAmazon、Microsoft、Googleのクラウドに負けることが確実なので縮小することでしょう。
原因
こちらも富士通と同じ、海外との競争に負けたのです。
得意としていた大型汎用機が、クラウドに敗退
半導体、パソコン、携帯電話は、米国、中国、韓国に敗退
通信部門も怪しくなってきた。
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東芝
東芝は2018年11月8日、今後5年間の構造改革策の一環として東芝本体や子会社で2019年3月末までの退職を前提として、合計1060人の早期退職優遇制度を実施すると発表した。
原因
粉飾決済問題が大きな原因に間違いないでしょう。
それと原発需要も影響あるかも知れません。
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大手IT企業の崩壊が始まっている。
富士通、NECとも2000年代までは、ものすごい収益を上げていた日本のトップ企業でした。
日本の経済をコンピュータや通信で支え続けてました。
自分もこの2社と仕事をしてきましたが、気概のあるエンジニアも多く、仕事としてプライドを持っている人も多かったです。
NECのパソコン PC9800シリーズは、どこの事務所でも活躍していたものです。
ところが、1995年 Windows95の登場と共に本格上陸してきたInternetをはじめとする米国、そして韓国と中国、インドの企業に負け始めました。
日本が得意としてきた「ものづくり」は、ソフトウェアには通用しなかったのです。
「目に見えない もの」に日本の経営者は、価値を認めなかったためです。
1円入札
かつて、富士通は、ある地方公共団体のシステムを1円で入札しました。
「数千万円単位のシステムを1円でつくっていいよ!」
おお赤字間違いなし!
でも ご安心、大型コンピュータをはじめパソコンなどを全部、富士通が面倒見ます。
という条件でした。
システムは、ハードウェアやインフラの「オマケ」だったのです。
これは、富士通だけではありません
NECも日立も似たようなことをやっていたのです。
どうです、「目に見えないシステム」をコンピューター企業が「ないがしろにした例」だと思いませんか?
現場のソフトウェアエンジニアは、この1円の仕事をどんな気持ちでやっていたのでしょう。
心が痛みます。
こんな状況の企業が、いきなりインターネットとかクラウドとか、対応できるわけがありません。
ハードウェアが、儲かっていいた記憶から脱出できるわけでもなく、真似事をするだけです。
一攫千金を狙って全精力をソフトウェアにかける天才たちと
ソフトウェアは「おまけ」で人月という決まったおカネで働いている秀才では、勝負は明らかです。
現在の日本のIT企業が、得意としていたハードウェア部門の優位性を失った今、
残されたのは、かつて1円で販売していた「おまけ」のソフトウェアだけだったのです。
皮肉なものですね。
原因
いろいろな原因があると思いますが、根本的には、エンジニアの待遇が悪かったことにあると思います。
かつて企業の稼ぎ頭だったハードウェアエンジニアも企業からしたらただの社員
報酬も会社の規定範囲内がせいぜい
数十億稼いだハードウェア技術者が、数千万のギャラを貰っていたという話は、聞いたことがありません。
数千万もらっていたのは、彼らの上司、取締役クラスのみ
戦国時代だって活躍した武将に城ぐらい与えていたでしょうに・・・
これが、日本企業です。
人材流失
日本を追い越せとばかり、中国、韓国が行ったことは、
家電、通信をはじめ、鉄鋼や原子力まで あらゆる優秀なエンジニアを超高待遇で釣り上げました。
年収 数百万で苦労していたエンジニアが、数千万の年収+高給住宅や高給乗用車などを目の前に出されたら、そりゃ、移りますよ。
今の会社で自分の技術で儲かっているのに せいぜい ボーナスで特別手当ぐらいしかもらえないのと大違い。
こうして、優秀なエンジニアは、日本企業から離れてしまいます。
その技術を吸い上げて 中国、韓国の産業が一気に日本を追い越し始めました。
技術を吸い上げられたエンジニアは、数年で用済みになってもかまわなかったのです。
天才たちには勝てない
デジタル産業では、今、この瞬間に世界を制する技術が生まれてくるかも知れません。
米国では、アイデアに対して投資をする人達が多く、成功すると莫大な利益をもたらします。
米国の天才的な人達は、こうした資金をもとに画期的なものを開発します。
日本の「ものづくり」のように多くの人間が何年もかけて作り上げるものは通用しません。
デジタル技術は、
たった 一人の天才と数人の秀才がいれば、世界を制することができる世界です。
そのような世界に人月で働いているエンジニアが勝てるわけがありません。
才能があるプログラマーがいても
日本では、プログラマーは最下層のエンジニアと位置づけられてしまいがち
そんな、構造を作り出したのが、日本の労働集約型産業、多重下請け、人月計算なのです。
元請けは、現場監督(プロジェクトマネージャー)を派遣あとは、全体の利益から手数料を引き抜いて、下請けに流す。
人月という、ひと一人一ヶ月で何十万という計算で人が集まれば、簡単に利益につながるという商売です。
「優秀な人材」が、この「労働集約型産業、多重下請け、人月労働」で仕事をさせられてきた弊害でどれだけ潰されてきたのでしょうか?
人材不足
今、国会で労働力不足なので海外労働者の受け入れで揉めています。
日本人の人手が足らないから、他の国から労働者を連れてこよう
でも、本当にそうなのでしょうか?
人手不足の仮面の下を覗いてみることにしましょう。
人手不足の仮面の下
少子化ということもあり労働人口が減っているのは、間違いありません。
しかし、テクノロジーを使って人手不足は解消できる分野があるはずです。
事務職は、AIとERPという「基幹系情報システム」を導入することでコストが下がるでしょう。
事実、富士通は、事務職を25%減らすわけです。
SoftBankも携帯電話事業の人員を4割減らして効率化と言っています。
人手不足の仮面の下には、
本当は、もっと人を減らせるのに、簡単に解雇できない日本の企業制度でなんとか理由をつけてコストを減らしたい企業の本音があるような気がします。
定年を引き上げる仮面の下
また、定年をあげようとする動きも強くなってきました。
理由なんて簡単です。
年金を払いたくないからです。
無駄遣いをしてきた年金制度が崩壊しつつあります。
人手不足で高年齢層の雇用促進の仮面の下には、
死ぬまで働いてもらって できるだけ 年金を払いたくないこの国の本音が見えるようです。
外国人労働者歓迎の仮面の下
サービス業、単純労働は、安く、まじめ、長時間使える人がほしいのです。
そんな、仕事 誰も望んでやるひとなど限られています。
だから 人手不足なのです。
外国人労働者歓迎の仮面の下には、
サービス業、建築業などで、外国人労働者を雇用しやすくしてより低賃金で働かせようというのが、今のこの国の企業や政治家たちの本音だと思います。
IT人材不足の仮面の下
IT業界は、どこも人手不足、長年続いた「安く、まじめ、長時間、壊れないメンタル」を望んだこれまでのIT企業のイメージが悪すぎます。
つまり、「若い人のなり手がいない」ということです。
あなたの働いているIT業界、年齢層が高くなっていませんか?
そう、若い人材が参入してこないのです。
ですから、IT企業は、高年齢化しています。
でも企業は、経験のあるスキルが高い40歳以上の採用を断っています。
IT人材不足の仮面の下には、
人月で働いてくれる若くて、安い、人材を大量雇用したいという
この国の人間集約型IT産業から抜け出せない企業の本音が隠れています。
エンジニアの働き方
デジタル産業は、まだまだ伸びてゆく産業です。
人手不足ではなく人材不足と言い換えましょう。
できる人間が、不遇な環境でくすぶっていて
才能があるのに「単純作業」や「できない上司の尻拭い」をしている人がいる人がたくさんいると思います。
少し環境を変えるだけでスキルを伸ばすことができるだろうし、才能が開花するかも知れません。
もし、これを読んでいるアナタが以下に該当していたら
- プログラマーで安いギャラで仕事していたり
- 下請け企業で深夜残業が続いていたり
- 他の企業に社内SEとかで派遣されていたり
- 派遣で働いていたり
- 年々売上が落ちているIT企業だったり
- 自社にほとんど出社しないで他社で働いていたり
- 会社の経営者がITの知識がなかったり
- 上司が、自分の手柄を横取りしたり
- 給与に不満があったり
- リストラの対象だったり
- 会社に不満あり
- 自分の才能を伸ばしたい
転職活動を開始しましょう。
「置かれた花が日陰になったら、日向に位置を変えてあげればよいのです。」
幸い、未来を見つめているデジタル・IT企業がたくさんあって
彼らは、優秀な人材を探しています。
しかし、その求人は、一般的な求人サービスには、掲載されません。
それは、専門分野のエージェントやIT専門の求人サービスでないと望んだエンジニアが見つからないからです。
IT専門の転職サービス
もし、自分のキャリアを伸ばすならば、IT専門の転職サービスを検討しましょう。
CMなどで有名で多くの求人を扱っているサービスがあります。
その対極にあるのが専門分野に限定された求人サービスです。
例えば 看護師さん、介護士さん、変わったところで競馬の厩務員募集など、通常の求人サイトでは取り扱っていない専門分野の求人サイトがあります。
専門分野の求人サイトは、業界と密接なつながりがあるためそこでしかない求人案件など
応募者に対してそれぞれのエキスパートが対応、個人に合った求人の紹介など多くのサポートを受けることができます。
IT業界も一般職とは、かなり特殊な専門的知識が必要な求人案件が多いため、サービス担当者も専門の知識が必要になります。
また、特別な求人案件を持っている場合があるというのも特徴です。
【レバテックキャリア】
というIT専門のサービスは、専門スタッフが、求人の提案から、面接、入社後のサポートを受けることができます。
あなたに合った仕事、企業、入社までの対策、入社後のサポートがある求人サービスは、そうあるものではありません。
これもIT業界に精通しているスタッフさんがいるという大きなアドバンテージになります。
まずは、以下のリンクからレ【レバテックキャリア】
とは、どのようなサービスなのか確認して下さい。
優良なサービスを使って自分のスキルを積み上げてIT業界で勝ち上がってほしいと願っています。
まとめ
自分が就職するころ(30年ほど前)は、NECとか富士通、銀行もそうですが、安定かつ高成長が約束されたと言われる企業で給与も高額でした。
もちろん、入社への門戸は狭く、入社できた同期に
「いいなぁ 一生安泰だわ」
などと言っていました。
まさか、NECとか富士通、銀行までも大量リストラをはじめるとは思いもしませんでした。
自分は、エンジニアとしてスキルアップするために何社も転職してきました。
そのおかげで激動の時代を生き抜くことができました。
まだ現役として仕事ができるのは、時代の先取りをみた転職と経験が財産です。
ここまで話してきたことは、自分が感じていることで確証はありません。
状況証拠での推測ですが、きっと可能性あるんじゃないのか?
と考えています。
これからエンジニアとして生きてゆくためにも積極的転職は、スキルアップの近道です。
ぜひ検討してみて下さい。
エンジニア人生で転職は、無駄にはならないはずです。