自分が、まだ、Apple信者だった頃!
熱に浮かされたようにアップル製品を書い続けました。
Apple QuickTake(アップル・クイックテイク)
1994年2月 一見、望遠鏡のようなスタイルのこの製品
実は、世界で最初のデジタルカメラだったのです。
もちろん、購入しました。
親友の結婚式に持っていって写真を撮ったものです。
翌年、カシオからカシオQV-10というデジタルカメラが登場して
「世界初のデジタルカメラ」
と宣伝していました。
おいおい! それは、違うだろ
とツッコミを入れていたのが懐かしい思い出です。
今回の「IT小僧の時事放談」は
「スマートフォンのカメラに敗北 成功体験から脱出できなかったデジタルカメラ」
と題して
「成功体験から脱出できないために衰退すること」
について考えてみました。
今回も小難しい話をよりわかりやすく解説ししながらブログにしました。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
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目次
急激な発展
1994年に発表されたApple QuickTake
「記録画像は640x480(VGA)のPICT形式で、内蔵のEPROM(1MB)」
内蔵のEPROM(1MB)ですよ 1M このスペックで24枚ほど撮影できました。
残念ながら、このApple QuickTakeは、あまり注目されず消え去ってゆくのですが、その後のデジタルカメラの性能は、ものすごいものでした。
今では、数百ギガのメモリーカードに数百枚以上の写真を撮ることができます。
Wi-Fi機能を搭載してスマートフォンに転送したり、SNSにアップしたり、
顔認証
美顔モード
スロー撮影
動画
もうなんでもありです。
デジタルカメラの登場してくる前、日本のカメラは世界一でした。
1990年には、年間2000万台のフィルムカメラを出荷
その後、いち早くデジタル機能を取り込んで
2007年には、出荷台数 1億台を突破しました。
さらに携帯電話にデジタルカメラを搭載するというアイデアを生み出し、驚異的な発展を遂げたフューチャーフォン
いわゆる「ガラ携」は、進化を続けます。
Appleの逆襲
1990年代、潰れる寸前だったAppleに救世主 スティーブ・ジョブズが凱旋
iMac、iPodで息を吹き返し、2007年にiPhone登場
このiPhone いろいろ画期的なのですが、カメラが優秀だったのです。
「誰でも」「いつでも」「簡単に」「美しく」
iPhoneとiPhone3Gのカメラはわずか200万画素でした。
「そんないまさら低解像度のカメラなんて」
多機能化した日本のデジタルカメラと違い
iPhoneのカメラには、設定項目が少なく、最初は、デジタルの望遠ズームぐらいしかありませんでした。
「なんの機能もついてないカメラなんて」
と日本の経営者や技術者は、思ったかも知れません。
携帯電話の会社も
「そんなボタンのついてないもの売れるわけがない」
と思っていたかも知れません。
これまで自分たちが誇ってきた「技術」に自信があったからです。
「優れた技術は、売れる」と思っていたわけです。
薀蓄ではなく新しい使い方の提案
Appleは、優れた技術をあえて宣伝しないで
「ほら 簡単に撮れるでしょ」
とだけ紹介していました。
そこには、何万画素だとか、オートフォーカスだとか、美顔モードとかありません。
「CMOSがどうのこうの」なんて「薀蓄」のかけらもありません。
すごい技術が結集された
ガラ携は、「カメラ」、「音楽」、「携帯」、「インターネット」が一緒になっただけの製品でした。
一方
iPhoneは、「カメラ」、「音楽」、「携帯」、「インターネット」を融合させ連携させることに成功したのです。
「このiPhoneのカメラを使うとこんなことが簡単にできますよ」
という提案は、当時、爆発的に普及し始めたTwitterなどのSNSと相性がよく
「世界で一番ネットにアップされているカメラ」
として評判となりました。
iPhone後の世界
オリンパス
・コンパクト型デジタルカメラを生産していた中国の工場(従業員1700名)の操業停止
カシオ
・コンパクト型デジタルカメラ事業から全面的に撤退
ニコン
・2017年秋に、中国工場でのコンパクト型デジタルカメラの生産を停止
三洋電機
・すでに会社がありません。
日本の技術は、優れている 確かに凄いと思います。
スペックで比べたら、iPhoneのカメラなど勝てないでしょう。
しかし、多機能と性能は世界一なのに、
日本のデジタルカメラは、写真をどうするかという提案ができないまま消え去ろうとしています。
それは、
「技術で成功した体験」
から脱することができなかったのからです。
日本のデジタル産業は、中国の下請けと化しています。
液晶、カメラセンサー、バッテリーなど日本の技術は、今でも凄いと思いますが、それも海外に移ろうとしています。
このあたりのカメラもいつなくなるかわかりません。
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ソフトウェアの見直しが急務
日本のハードウェアの品質は、素晴らしいと思います。
センサー技術とかものすごいものをもっているのではないでしょうか?
しかし、残念ながら、それを活かすソフトウェアが、軽んじられてきました。
スマートフォンの高級機のカメラは、SONY製が多いのですが、肝心のSony MobileのXperiaは、その性能を使い切れていません。
GalaxyやHuaweiのほうが、AIを中心にカメラを進化させてきたのですが、Xperiaは、相変わらず専門用語を羅列しているだけです。
「そんなものオタク以外に売れるわけがない」
誰もそんな薀蓄を必要としていないのです。
「誰でも」「いつでも」「簡単に」「美しく」
そして「インスタ映え」する写真がいいのです。
Xperiaの復活については、別のブログで書いているのでそれを見てください。
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Xperia救済大作戦
ソニーの2017年度決算が発表されました。 売上高 前年比 12.4%増 約8兆5440億円 営業利益 前年比 154.5%増 約7349億円 大幅な増収増益となっています。 復活、ソニーを象徴する ...
iPhoneの正体
Apple QuickTakeは、押し入れのどこかに転がっていると思います。
あのころのAppleは、面白かったなぁ
Apple MessagePadという製品がありました。
Personal Assistantという名目で、手書きで文字入力(しかも 画面のどこにでも書ける)ができる製品を出していました。
スケジュール、メールも自由自在
もうおわかりですね。
QuickTake+MessagePad+iPod+電話
そう、これがiPhoneです。
ジョブズがそこまで考えていたかわかりませんが、iPhoneの下地は、Appleはすでにもっていたのです。
と勝手に予想しています。
まとめ
「過去の成功体験」から、離れるのは、経営として難しいと思います。
「ガラ携」が売れているのにiPhoneのような製品を出すこともないでしょう。
デジタルカメラが、凄い性能をもっているのに、敢えて低解像度のカメラを搭載した電話など出すことなど考えもしなかったでしょう。
いや! 考えていた人は、いたはずです。
「そんなの売れるかどうかわからない!」
と経営判断があったかも知れません。
デジタル社会は、「過去の成功体験」は、足枷になります。
どこか「突き抜けた、クレイジーと呼ばれる」人が、会社のトップにならない限り
日本の技術は、活かせないまま、埃を被ることになるでしょう。
「過去の成功体験」を追えば、製品はヒットする。
そんなの過去の遺物です。
これからは、そんなことをいつまでも追っている企業は、間違いなく消滅します。
このブログは、スティーブ・ジョブズが、復帰した直後のAppleのCMを見て書こうと思いました。
このCMを見て「突き抜けた、クレイジーと呼ばれる人」が登場してくるのを楽しみにしています。
そして「突き抜けた、クレイジーと呼ばれる人」を認める大人が増えるように願っています。
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あとがき
昨日のWWDCを見て、Google I/Oの方が、面白いと思ったのは、私だけでしょうか?
「突き抜けた、クレイジーと呼ばれる」人がいなくなったためか
最近のAppleは、退屈だ!