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IT小僧の時事放談

選挙はSNSが勝敗を左右する時代へ:政党別デジタル戦略と“強い党・弱い党”の違い

選挙の景色が、ここ数年で一気に変わりました。街頭演説やポスターだけではなく、スマホの中のタイムラインが「投票のきっかけ」になる時代です。実際、参院選では複数の政党がTikTokの公式アカウントを開設し、短尺動画で存在感を競いました。

一方で、SNSは便利な反面、誹謗中傷や偽・誤情報の拡散、そして「業者にどこまで頼めるのか」といった法的な境界線も、選挙のたびに問題になります。
この記事では、各党がどんなSNS戦略を取り、どんな党が“得意”で、どこが“苦手”になりやすいのか。

さらに、費用感(お金のかけ方)と、SNS選挙が抱える課題まで、できるだけやさしく整理します。

「SNS選挙」は何が変えたのか

インターネット選挙運動が解禁されて以降、政党や候補者の発信は当たり前になりました。いま起きている本当の変化は、単に“ネットでも宣伝できる”ことではありません。
スマホのおすすめ表示やフォロー関係が、私たちが触れる政治情報を大きく左右し、「テレビや新聞で見ない政党」がSNSで急に身近になる現象が増えました。さらに動画の時代になり、候補者本人のキャラクター、話し方、切り抜きのされ方が、政策と同じくらい影響を持ち始めています。


こうした状況は、国会の調査資料でも、誹謗中傷や偽情報、収益化を目的とした行為など“新しい問題”として整理され、制度対応の議論が続いています。

プラットフォーム別に「向いている戦い方」が違う

SNSと言っても性格はバラバラです。Xは速報性が強く、政治記者・支持者・批判者が交差しやすい場所です。炎上も起きやすい反面、議題設定(アジェンダ)を取りやすい。
YouTubeは説明に強く、長尺で「世界観」や「論理」を積み上げられます。支持者の“濃度”が上がり、ボランティアや寄付にもつながりやすい。


TikTokは短尺で、まず“知られる”ことに強い。参院選でも多党がTikTokに本腰を入れ、短い動画で存在感を競いました。
LINEは拡散よりも「すでにつながっている人に確実に届く」性格が強く、支持基盤がある組織型の運動と相性が良いとされます。

政党別SNS戦略:得意な型、苦手になりやすい型

ここからは“党の良し悪し”ではなく、戦い方の「型」の違いとして見ていきます。

自民党:総合力はあるが、SNSでは“伝え方”が難しくなる

与党は政策や実績の説明材料が多い反面、SNSでは短い言葉で要点をつかむ編集が求められます。YouTubeなどに力を入れても「伸び悩み」を分析する記事も出ており、運用の難しさが指摘されています。
またTikTokの活用も進み、他党と同じ土俵で“短尺の勝負”に入り始めました。


得意なのは、地域組織や現場活動とSNSを連動させて「確実に票へつなぐ」運用。苦手になりやすいのは、炎上リスクを恐れて発信が無難になり、熱量の差で埋もれてしまう展開です。

日本維新の会:発信量は武器、ただし“飽き”と逆風のリスク

維新はSNSでの投稿量や話題作りが注目されがちで、選挙でもネット広告・動画制作などに支出していることが報じられています。
しかしSNSは、強い言葉が届きやすい反面、反発も集めやすい。支持拡大の局面では勢いになりますが、情勢が変わると同じ拡散力が“逆風”にもなります。


得意なのは、争点をシンプルに打ち出して拡げる戦い。苦手になりやすいのは、説明の丁寧さが求められる局面での誤解や炎上コストです。

国民民主党:動画・配信で“新規層”に刺さりやすい

国民民主党は、ライブ配信費などネット活用の支出が報じられ、動画・配信の文脈で語られることが増えています。
SNSでは「テレビや新聞より先に、YouTubeやSNSで政治に触れる層」が確実に存在し、そこに届く設計ができる党は強い。調査でも、支持政党によって情報接触(動画やSNS)の傾向が違うことが示されています。


得意なのは、等身大の語りで距離を縮めること。苦手になりやすいのは、熱量が上がった支持者コミュニティが外部と衝突する場面の火消しです。

立憲民主党:政策説明は強いが、動画時代の“切り取り”に課題

立憲は政策や批判の論理構成が強い一方、短尺動画や拡散の設計では、相手の土俵に乗りやすい側面があります。
一方で、政治資金の記載からもネット発信費を相当額計上していることが報じられ、運用の重要性は明確に認識されています。


得意なのは、論点を整理して説明する発信。苦手になりやすいのは、感情の熱量勝負の場で誤解されやすいこと、そして支持層外への“新規開拓”で壁に当たりやすいことです。

中道改革連については、情報不足

公明党:LINEや組織戦とSNSを“接続”できる強さ

公明党はLINEなどの活用を含め、SNSを“支持者の行動につなげる”形で整理した発信を続けています。
また、候補者レベルでのSNS整備が進んでいるという調査系記事もあり、現場運動とデジタルを連動させやすいのが特徴です。


得意なのは、告知・共有・動員の導線づくり。苦手になりやすいのは、拡散勝負の“バズの競争”そのものでは不利になりやすい点です。

中道改革連については、情報不足

参政党:SNSで勢いを見せた新興勢力の戦略と特徴

拡散力と波及効果

参政党は2019 年設立と比較的新しい政党ながら、2025 年の参院選で議席を大幅に伸ばし、多くの注目を集めました。SNS での発信はその重要な一因とされています。X(旧 Twitter) や動画投稿サイトでの支持拡大は際立っており、公示後の支持・不支持の投稿比でも支持が大きく上回るなどのデータ分析が出ています。

SNS では、党の基本理念として掲げる「日本人ファースト」「国益重視」といった主張が短いメッセージとして広がりやすく、特に無党派層や若年層の関心を引きました。

得意な局面と課題

参政党の強みは情報の拡散力と、フォロワー間のエンゲージメントの高さです。短文・短尺動画の中で政策を簡潔に提示し、支持者がシェアしやすい形にしている点はSNS 時代の勝ちパターンとも言えます。

ただし一方で、党内外で物議を醸す発言(医療・福祉政策や社会的に敏感なテーマ)がSNS 上で批判を呼び、誤解や反発を生むリスクもありました。これはSNS の「炎上の広がりやすさ」と直結する問題です。また、支持拡大が進む一方で、支持基盤との対話がデジタル中心になりすぎて「実際の接触機会」の不足を指摘する声もあります。


れいわ新選組:政策重視の訴求と支持者の熱量

既存政治へのアンチテーゼとして

れいわ新選組は、社会的な不平等や経済的な格差を強調する姿勢で若年層や中間層から支持を集めてきました。SNS では政策説明と支持者の声を丁寧につなぐ戦略が目立ち、特に YouTube のライブ配信や対話形式の動画が有権者との直接的な関係づくりに寄与しました。結果として、比例代表でも一定の支持率を維持しています。

熱量を味方につける一方で

れいわ新選組の戦略は政策詳説の丁寧さと支持者の共感を重視する傾向にあり、SNS でも詳細な説明や討論動画が多く見られました。これにより、熱のこもった支持者コミュニティが形成されやすい反面、短い情報や断片的なメッセージで有権者全体に届きにくい場面もありました。しかもSNS 上のコメント欄などでは、支持者間の感情的な対立や誤解が起きることもあり、炎上リスクに対する注意が必要です。

 

費用はどれくらいかかるのか:SNSは「無料」ではない

SNSは投稿自体は無料でも、勝負を決めるのは運用体制です。撮影、編集、配信管理、広告運用、炎上対応、そして法務チェック。これらを“人件費”として積み上げると、現場は一気に重くなります。
実際、政治資金収支報告書の記載から、立憲民主党のネット発信費や、維新のSNS広告費・Web広告掲載料、公明党のYouTube広告代、国民民主党のライブ配信費など、ネット関連の支出が具体的に報じられています。ただし、記載方法に統一基準がなく、単純比較が難しい点も同時に指摘されています。


つまり「SNSが強い党」は、センスだけで勝っているわけではなく、チームと予算の置き方が違う可能性が高い、というのが現実です。

SNS選挙の問題点:便利さの裏で起きていること

ここがいちばん大事です。SNSが選挙を面白くしたのは事実ですが、同時にリスクも増えています。

まず、偽・誤情報です。参院選ではファクトチェックが注目され、発信元としてSNSが多いことも報じられました。
次に誹謗中傷です。候補者本人だけでなく、家族や支援者まで標的になり、萎縮が起きれば民主主義の土台が崩れます。こうした問題意識は、選挙関連の論考でも強く語られています。
さらに、選挙運動を外部の業者にどこまで依頼できるのか、という線引きも争点です。報酬の扱い次第で公選法違反(買収)に問われうる、という論点は、具体事例をもとに報じられています。


そして制度面では、2025年5月施行の改正公選法がポスターの品位保持などを盛り込み、選挙の公正を守る動きが進みました。ただSNSに関する課題は残り、総合的な見直し議論が続いています。

SNS 選挙運動の課題:炎上・偽情報・法的境界

SNS による選挙運動は大きな可能性を秘める反面、複数の課題も表面化しています。例えばSNS 上での誹謗中傷や偽情報の拡散は有権者の投票行動に悪影響を及ぼす可能性があるとして、メディアや選挙制度側でも注目課題です。また、SNS を利用した広告支出や外部業者への委託といった運用コストの増加は、政党ごとの資金力の違いを反映する一面もあります。

さらにSNS のアルゴリズムによって有権者が受け取る情報が偏る「情報の泡」の問題は、同じような価値観を持つ層同士のコミュニケーションを強化する反面、異なる政治的視点への接触を阻害するとの研究もあります。こうしたニュースフィードの偏りは、民主主義の健全な情報流通にとって注意すべき点です。

これからの焦点:各党が“次に投資する場所”

今後、各党の投資先は大きく3つに分かれていくはずです。
ひとつは、TikTokなど短尺で新規に届く導線。次に、YouTubeでの理解と信頼の積み上げ。最後に、LINE等で確実に行動につなげる動員の設計です。
ここで差がつくのは「発信の回数」よりも、「誰に、何を、どの順番で届けるか」という編集力と、トラブルが起きた時の統制です。SNS時代の選挙は、広報というより“運用の総力戦”になっています。

まとめ

SNSは魔法の道具ではありません。拡散できる分だけ、誤情報も燃え広がり、炎上も起きます。だからこそ、強い党は「勝てる投稿」だけでなく、「負けない運用」までセットで持っています。
一方で有権者側も、アルゴリズムが作る心地よい情報の泡の中で、いつの間にか視野が狭くなる危険があります。


選挙のデジタル化は止まりません。私たちにできるのは、SNSを“使われる側”ではなく、“使いこなす側”に回ること。これが、いまの選挙でいちばん現実的な自己防衛かもしれません。

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