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IT小僧の時事放談

「ネットに顔と証明書を出す日が来た」――身分証オンライン化が問い直す自由と監視

「このサイトを使うには、身分証をアップロードしてください」

そんなメッセージが当たり前になる日が、確実に近づいている。
ネットの匿名性が“信頼”という名のもとに再構築され、誰が何を閲覧し、どこから発言しているのか?

そのすべてがIDによって紐づけられる世界が、静かに始まっている。

アメリカではSNS利用に年齢確認を義務づける法案が進み、ヨーロッパではEU共通の「デジタルIDウォレット」が整備されつつある。
日本でもマイナンバーが行政や金融を超えて、オンラインサービスの“本人確認ツール”として広がりを見せている。


果たしてそれは、安心社会への一歩なのか、それとも監視社会への入口なのか?
やがてやってくるネット監視社会について現在世界で起きていることを中心に考察しました。

🌍 世界が動く「オンラインでの身分証明」

オンライン上での身分証明は、世界的な流れとなっている。
欧州連合(EU)は2024年、「eIDAS 2.0(電子識別・信頼サービス規則)」を採択。
加盟国は2026年までに「デジタルIDウォレット」を市民へ提供する義務を負い、
2027年には、公共・民間を問わずオンライン手続きでこのIDが利用可能になる予定だ。

アメリカではSNSプラットフォームや動画サイトで、未成年者への年齢確認が義務化される州法が相次ぎ、
多くのサービスが運転免許証やパスポートによる認証を導入している。
また、政府関連サービスではID.meなどの認証事業者が、顔写真と身分証を組み合わせた本人確認を採用。
「誰が利用しているか」を特定できるようにする動きが広がっている。

日本でも、マイナンバーカードの普及が国民の約7割を超え、
行政手続きだけでなく銀行・保険・医療など幅広い分野で本人確認の基盤になりつつある。
今後は民間サービスとの連携も進むと見られ、
オンライン上で「顔+番号+端末」で個人を特定する仕組みが整いつつある。


🧭 身分証明義務化の背景:信頼社会の構築か、監視社会の始まりか

各国政府や企業がこの仕組みを進める理由は明快だ。
それは「信頼の担保」である。
オンライン詐欺やなりすまし、児童保護や犯罪防止など、
匿名性を悪用した事件・誤情報の拡散に対処するため、
“身元を確認できるネット社会”が求められている。

欧州サイバーセキュリティ庁(ENISA)によると、
インターネット詐欺の約40%は身分のなりすましが関与しているという。
政府だけでなく、企業側も「信頼性」「責任の明確化」「取引安全性」などの観点から、
本人確認を強化する動機を持っている。

だが、この動きには常に“もう一つの顔”がある。
WIREDの記事が指摘するように、年齢確認や身分証提出が一般化すると、
匿名性の消失とプライバシーの侵食が現実化する。
「匿名だからこそ言えた意見」「身元を伏せていたからこそ助かった人々」が排除される危険もあるのだ。


🇯🇵 日本における現状と課題

日本ではマイナンバー制度が“デジタルIDの中核”に位置づけられている。
行政手続きや医療、金融サービスに加え、今後はSNSや電子商取引など民間領域でも「本人確認」の義務化が議論されている。

しかし、ここにはいくつかの課題が存在する。

まず、デジタルデバイドつまり、高齢者やネット環境を持たない人々が取り残される問題だ。

また、マイナンバー情報の管理・漏洩リスクは常に懸念されており、
「信頼を得るための制度が、逆に不信を生む」逆説も生まれている。


⚖ 反対意見と懸念の声

オンラインID義務化への批判は、「自由なインターネットを破壊する」との懸念に集約される。

特に人権団体やプライバシー保護の専門家たちは、
“デジタル身分証の常時提示”が監視社会の基盤になりかねないと警告する。

さらに、AI顔認証やバイオメトリクスの誤認識による不当なアカウント凍結やアクセス拒否のリスクも指摘されている。

これまで守られてきた“匿名の発言空間”が失われることで、権力への批判・社会運動・個人の表現が萎縮する懸念もある。


🔮 今後の展望――「信頼」か「監視」か

この流れが止まることはない。

むしろ今後は、デジタルIDを軸にした「国家間の相互認証」や、分散型ID(DID)、ゼロ知識証明(ZKP)といった“プライバシーを守りながら本人を証明する技術”が発展していく可能性が高い。

問題は技術ではなく、制度設計と使い方だ。

便利さの裏に潜む管理構造をどこまで透明化できるか?それが問われている。


🧩 まとめ

インターネットが「自由の象徴」だった時代は、終わりを迎えつつある。
いまや、アクセス権の裏側には“身分の提示”が求められる。
それは安全を守る手段でもあり、
同時に、個人の自由を縛る枷にもなり得る。

「身分証を出すこと」は、単なる本人確認ではなく、ネット社会の“信頼の通貨”となるのかもしれない。

だがその信頼が、誰の手で、どんな目的で使われるのか?

高市総理になって日本でも一気に変わる可能性が出てきました。
その問いを、私たちはこれから真剣に考えなければならない。


📚 参考リンク集

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