国内IT大手4社の2020年4~6月期の連結決算(国際会計基準)が2020年8月7日出揃いました。
各社(NEC、NTTデータ、日立製作所、富士通)は、富士通を覗いて減益となっている。
増益となった富士通も2.8%にとどまり 新型コロナウィルスの影響が出てきたことがわかる。
今回のIT小僧の時事放談は
ぬるま湯に浸かっていた日本のIT業界 大手 SIer 4~6月期決算発表をみて考えた。
と題して、IT企業のこの先について考えてみよう。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
スポンサーリンク
目次
国内 大手SIer 4~6月期決算
国内IT大手4社の2020年4~6月期の連結決算(国際会計基準)が2020年8月7日、出そろった。各社とも新型コロナウイルスの影響を色濃く受けており、3社が減益だった。唯一増益を確保した富士通も営業利益率は2.8%にとどまる。国内外で新型コロナの収束時期は見通せず、各社の業績にも先行きの不透明感が高まっている。
日経XTECH 2020年8月11日記事
結果は?
あまり芳しいものではなかった。
テレワークの需要が高まり、IT企業のいくつかは、対応に追われていたと聞いていたのですが、SIerにとっては、必ずしも恩恵を受けたわけではなかったらしい。
先行きの不透明
「依然として予断を許さない状況だが、経済・企業活動は下期以降に徐々に回復していくと仮定している」
NTTデータの本間洋社長(2020年8月7日に開いたオンライン決算説明会)
NTTデータの2020年4~6月期実績は、売上高が前年同期比0.7%増の5309億円、営業利益は同10.6%減の266億円だった。新型コロナは同期間で160億円の減収要因で、北米やEMEA(欧州、中東、アフリカ)・中南米、国内では法人・ソリューションを中心にマイナスの影響が発生したという。
日経XTECH 2020年8月11日記事
ITは、金食い虫だ
以前、なんどか 当ブログでも書いたのですが、IT予算は、景気に左右されやすく、特に日本の経営者の多くは、最初にIT予算を削ってゆく傾向がある。
IT小僧は、取引先の会長からこんなことを言われた。
「ITは、金食い虫だ」
「カネばっかりかかって儲かっているのかよくわからない」
要は、予算に対しての利益がはっきりしない ITにかけるカネは、無駄であると言いたいらしい。
さすがに今どきの経営者は、ITかけるカネが、会社の命運を握る可能性もあるということを理解していると思いますが、もし、あなたの勤めている企業のトップがこのような事を言っていたら
「会社を見限るときかも知れません」
さて 話を戻そう
ただの風邪とかインフルエンザなのか?
日本では、感染者数で一喜一憂しているが、新型コロナウィルスの決定的な治療薬やワクチンが開発、そして全員が接種できるようにならなければ、この厄災は、いつまで続くかわからない。
ただの風邪とかインフルエンザの方が死者が多いと言っていますが、風邪やインフルエンザならば、正体がわかっているので対処できるが、新型コロナウィルスは、未だによくわからないことが多い。
そもそも 夏になっても感染者が増えるというのは、ただの風邪やインフルエンザではないということである。
経済を回してゆけと言っても、ここまで規制が多くては、ズルズルと先に伸ばし
そのうち秋になり冬になれば、風邪、インフルエンザも増えてこよう、そこに新型コロナウィルスが蔓延すればどうなるのか?
経営者側とすれば、ここで無駄な出費は抑えようと考えるのも当たり前の世界である。
国内外の一般法人向けビジネスでIT投資が抑制傾向という経済評論家の人もいる。
ITで新しいビジネスを生み出す時代となれるか?
NTTデータは2020年8月7日、2021年3月期の連結業績見通しを発表した。(国際会計基準)
売上高は前期比4.3%減の2兆1700億円 このままの状態が続けば、設立以来の増収が32期目にして途切れることになる。
「リーマン・ショックのときとはITの役割が異なり、ITで新しいビジネスを生み出す時代となった。企業もITやデジタルを生かして事業を回復させていくと考えており、当社のノウハウを生かして社会に貢献したい」
NTTデータの本間洋社長は現状認識の厳しさを踏まえ、意気込みを語る。日経XTECH 2020年8月11日記事
税金ありきの予算
日本の大手SIerは、主に公共事業、地方自治体などの予算で仕事をしてきた場合が、多い
民間企業よりも規模が大きいというのも案件として魅力的であろう。
しかし、新型コロナウィルスのために大きな出費を強いられた今日、公共事業や自治体の予算がIT事業に振り分けられるかどうか微妙である。
ましてや、噂される消費税を含む増税となれば、景気は更に冷え込み、ITどころではなくなってしまいます。
そうなった場合、SIerは、どうやって生き残るのであろうか?
ましてや、その下請け企業は死活問題になる可能性も大きい。
全部海外
今後、国内の企業は、海外のサービスを積極的に取り入れることになると思います。
JALもスペインのパッケージを使ってシステムを一気に変更してコスト削減を行いました。
新型コロナウィルスの影響でZoomを使って会議をしたりMicrosoft Termsを導入したところも多いでしょう。
でもそれらの殆どが、日本のサービスでは、ありません。
それらのほとんどが、海外の企業のサービスなのである。
IT企業なのに在宅なし
一方、日本のIT企業の事情はと言うと、相変わらずの人月作業という 人的集約産業にとどまっている。
自分が勤めている同じビル内に某SIerの企業が2フロワー入っていますが、その多くは、社員ではなく、派遣または、下請け企業である。
他の企業がテレワークで在宅勤務に切り替えても 彼らは、出勤していたようである。
日本は、IT後進国
日本は、ITというデジタルな仕事を30年以上も人的集約産業(人月ビジネス)と多重下請け構造を繰り返してきました。
多重下請け構造は、中ヌキを行い、ただの仲介屋が一番儲かるという構造から抜けきれていません。
日本は、IT後進国に落ちぶれた
ということが、よくわかる。
国内のビジネスだけでメシが食える日本で、目先の利益を追い求めた結果、将来につながるテクノロジーを生み出せなかったわけです。
誰が悪いというわけではない、誰も世界に目を向けなかったからである。
ぬるま湯に浸かっていた日本のIT業界
国内のビジネスだけでメシが食えなかった、インド、中国は、積極的に海外に目を向けて若い人を特に米国に人を送り込んできました。
その結果、中国は問題を起こしていますが、インドも含めて デジタルの世界でトップクラスになっています。
インド系の人が、GoogleやMicrosoftのトップにいることもその結果と思います。
中国は、米国で学んできた人が自国で事業を起こし、世界的な企業に発展しました。
ドローンのDJI、Wi-FiのTP-Link、携帯電話のファーウェイやOppOやXiaomi、Zommだって中国系米国人が起業したわけです。
残念ながら日本では、そういう人が出てこなかった いや、出てきたけど跡が続かなかった というべきでしょうか?
あえて言うならば
ぬるま湯に使って慌てていた日本のIT業界
に直面しているような気がします。
責任は、シニア層
IT小僧も含めて こうなってしまった責任は、50代、60代のエンジニアにあると思います。
彼らが、経営層になったとき、海外に目を向けず、国内でしかも人を集めるだけで多くの収益を生み出すという構造を作り上げてしまったのです。
そのため、実際に作業をするエンジニアの収入が著しく少なく、きつく長時間労働を含めて3Kというレッテルを貼ってしまいました。
そんな仕事 誰が好き好んでやるでしょうか?
まとめ
英語などできなくても 国内で仕事ができるという幸運な日本のエンジニアは、何も苦労して海外に出る必要などなかったのです。
しかし、これからは、海外に出ようと思っても新型コロナウィルスの影響で海外に出るチャンスは減ります。
海外で最新技術を得るにも現地にゆくことができないかも知れません。
もう遅いかも知れない
ですが、今後、国内に仕事がなくなって海外の下請けをするのにも 外国語、特に英語は、絶対に必要です。
若いエンジニアは、語学力は、最低限必要なものとお考えください。
スポンサーリンク