Cookieをすべて削除したのに、なぜあの広告が私を追ってくるのか?
そんな疑問を持ったことはありませんか?
近年、Webサイトや広告ネットワーク、アプリなどが密かに行っている追跡技術のひとつに、デバイス・フィンガープリンティング(Device Fingerprinting)があります。これは、あなたのスマホやパソコンが持つハードウェア構成やOS、ブラウザ設定、画面解像度など様々なデータを組み合わせて“デバイス固有の指紋”を作り、Cookieに依存せずに追跡・識別を行う技術です。
一度この“指紋”が記録されると、Cookieを消したりシークレットモードを使ったりしても、同じデバイスとして認識され続ける可能性があります。しかもその対象は、Android や iPhone を含む、私たちが日常的に使うスマホにも及びます。
この記事では、デバイス・フィンガープリンティングの基本、問題点、そして私たちが取るべき防御策を、できるだけ平易に解説します。
目次
デバイス・フィンガープリンティングとは何か
私たちがスマホやPCでネットを使うとき、ブラウザは正しくページを表示するために、OS情報や画面サイズ、言語設定、タイムゾーン、フォント、インストールされているプラグインや拡張機能といった情報をサイト側に提供している。通常はこれらは「機能を正しく動かすための情報」に過ぎない。しかし、複数の情報を掛け合わせることで、その組み合わせが“ほとんど唯一”になることがある。これを使って、「これは前にも見たあのユーザーだ」と判別するのがデバイス・フィンガープリンティングだ。ウィキペディア+2CDNetworks+2
たとえば、ブラウザの種類とバージョン、OS、画面サイズ、インストール済みフォント、タイムゾーン、言語設定、画面解像度、プラグインの有無などを合わせただけで、数百、数千とある組み合わせの中でかなり固有性の高い“指紋”ができあがる。Bureau+2SEON+2
Cookieとは違い、ユーザー側で「Cookieを拒否」「Cookieを削除」しても、この指紋を使った識別は可能だ。つまり、Cookieやブラウザ履歴を消しても、追跡を回避できるとは限らない――これがフィンガープリンティングの怖さである。ウィキペディア+2web.dev+2
また、単に「どのデバイスか」を特定するだけでなく、複数のウェブサイトやアプリをまたいだ追跡、つまりユーザーのオンライン行動を広く追いかけることも可能になる。たとえば広告配信会社は、その人の興味や行動履歴を長期にわたって追うことで、非常に細かくターゲティング広告を出せるようになる。SEON+2Arkose Labs+2
では、この技術は常に悪なのか?
フィンガープリンティングが役立つ場面:セキュリティと不正防止
一方で、デバイス・フィンガープリンティングは悪用だけではなく、セキュリティや不正防止のために使われる重要な手段としても機能している。
オンラインバンキング、不正ログイン防止、アカウントの乗っ取り対策、複数アカウント・ボット対策──こうした場面では、単なるID/パスワード管理では防ぎきれないリスクを減らせる。たとえば、いつも使っているデバイスとは別の見慣れないデバイスからアクセスがあった場合、それを“別人”と判定して追加認証を促すことができる。Stytch+2SEON+2
さらに、SDLC(ソフトウェア開発ライフサイクル)における不正行為の検出や、不正取引、アカウント詐欺などの抑止につながる。Cookieのように簡単に消されたり、ブロックされたりしないため、より確実な識別手段として注目されている。SEON+2タマ大学工学部+2
つまり、利便性と安全性の両面で、デバイス・フィンガープリンティングは重要な技術である。
プライバシーの観点から見た問題点 — iPhone・スマホユーザーも要注意
とはいえ、フィンガープリンティングには大きなプライバシーの懸念がある。まず、ユーザーが知らないうちに“識別子”が作られ、追跡されている可能性がある。Cookieと異なり、削除や拒否が難しく、ブラウザ履歴を消しても無意味になる。
また、iPhone をはじめとしたスマホにもその影響は及ぶ。たとえSafari やChrome を使っていても、画面の解像度、OS バージョン、フォント、言語設定、タイムゾーン、デバイスモデルなど、多くの情報が“指紋データ”として取得される可能性がある。つまり「PCだけの問題」「Cookieだけの問題」ではなく、スマホ・タブレットすべてが対象になる。サイバーセキュリティ.com+2ZenRows+2
また、一度記録された“指紋”は、VPN を使ったり IP アドレスを変えたりしても消えにくい。これは、位置情報や通信回線ではなく、「デバイス固有の情報そのもの」で個人またはデバイスを識別しているからだ。ウィキペディア+2Bureau+2
こうした仕組みが広がると、私たちのオンライン上の行動や趣味、嗜好、行動パターン、さらには匿名であるはずだった行動までも、企業や広告主、場合によっては悪意ある第三者に解析されるリスクがある。これは、現代の「匿名が当たり前だったインターネット」の前提を根本から揺るがす問題だ。
防御策 ― “できるだけ追跡されにくくする”ためにできること
それでは、デバイス・フィンガープリンティングに対して私たちは何ができるだろうか。完全な匿名化は難しいが、追跡されにくくするための手段はいくつかある。
まず有効なのは、フィンガープリントの手がかりをできるだけ少なくすること。具体的には、プライバシー重視のブラウザや設定を使うことだ。たとえば、ブラウザ拡張や設定で「フォントや言語、タイムゾーンを標準化」「プラグインを使わない」「不要な拡張機能を削除」「ブラウザのアップデートや設定を極力デフォルトに近づける」などが挙げられる。こうすることで、特徴がぼやけ、指紋の固有性を弱められる可能性がある。Cover Your Tracks+2w3.org+2
また、JavaScript を無効化するという方法もある。ただし多くのサイトで正常に動作しなくなったり、機能が制限されるため、実用性には限界がある。Cover Your Tracks+1
VPN を併用しても、IP アドレスや地理情報は隠せても、内部のデバイス情報は隠せないため、完全な防御にはならない。あくまで「一要素の匿名化」に過ぎない。ウィキペディア+1
最近では、プライバシーを重視するブラウザやサービスが登場しており、それらを使うことで追跡を抑える試みもある。たとえば、ブラウザ側で情報をあえて平準化(同じ画面解像度、フォント、時間帯など)することで、「ありふれたデバイス」に偽装するアプローチがある。これにより“固有の指紋”を作らせないようにする方法だ。w3.org+2ExpressVPN+2
もちろん、これで追跡が完全に防げるわけではないが、「追跡されにくくする」「識別されにくくする」という“防御的な姿勢”そのものが、いまのネット社会では重要になってきている。
“匿名”がもはや当たり前ではない世界で、私たちにできること
デバイス・フィンガープリンティングは、私たちのスマホやPCから収集される、ごく当たり前の“環境情報”を使って、私たちを識別し、追跡する技術である。CookieやIPアドレスよりも強力で、消すことが難しく、知らぬ間にあなたの行動が記録され、分析され、広告やサービス、あるいは不正アクセス対策に使われているかもしれない。
この技術が悪用されれば、匿名性やプライバシーを守るというインターネットの基本原則が侵されかねない。だからこそ、私たちは「ちょっとした対策」を取り入れること ― たとえば使うブラウザを見直す、不要なプラグインを外す、設定を初期化に近づける、プライバシーモードや拡張機能を活用する ― を考えるべきだ。
もちろん、100% 安全な方法は今の時点で存在しない。しかし、「追跡されやすい状態」を放置せず、「追跡されにくい状態」にできるかどうかは、自分の選択と行動にかかっていると言えよう。
ひとりごと
どんなことをしても スマホを使っている限り 個人情報を守ることは100%できない
ネットワークに接続している限り 何をしても無駄である。
私たちにできることは、積極的に個人情報を渡さない ぐらいしか、方法はないのです
すでにあなたの情報は、世界のどこかにデータベースとして保管され、何かある毎に情報が更新+追加されているはず
中国が監視社会というけど スマホを持っていること自体 監視されているのと同じ意味を持つ
無料で多くの情報を得られるという代償にあなたの個人情報がカネを生む価値として売り買いされているのです。
それが、嫌だったら ネットの繋がらない世界に行くか? スマホを捨てなさい。
真実かどうかは? あなた次第 というところでしょうか?