サッカーという競技は、失敗の競技なのです。
何度も何度も失敗して、やっとゴールが生まれる。
そして必ず、成功するかどうかわからない競技でゴールが決まれば、それまでの失敗は、チャラつまりなかったことになります。
実に、狩猟民族的な競技と思いませんか?
先日、日本政府がこんなことを発表しました。
「ベンチャー企業を5年で20社創出 政府の成長戦略素案」
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今回の「日本のIT屋にひとこと」では、
この政府案を元に
「やる気のある技術者は、海外に出たほうがいいよ 政府の成長戦略素案について考える。」
について考えてみました。
目次
未来投資会議
未来投資会議
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/
コトバンクによると以下のように定義されています。
将来の経済成長に資する分野における投資を官民が連携して進め、未来への投資の拡大に向けた成長戦略と構造改革の加速化を図るための司令塔として開催される会議。内閣総理大臣を議長とし、関係する国務大臣や有識者が参加する。産業競争力会議と未来投資に向けた官民対話を統合し、平成28年(2016)9月に設置。
ハッキリ言おう
政治家が「政府は、やっている感」を出す会議です。
ここで発表されたものは、法案化さえるものや新しく予算がつけられるものもあるわけなので
「それなりに」効力はあると思いますが、所詮、「失敗を極端に恐れるお役人」と「はっきりしない有識者」の集まりですから、なんの意味もありません。
失礼! 凄く切れる意見を言う人もいると思います。
しかし、出てくるのは、切れ味のない曖昧な意見になるという意味です。
総額1000億円規模でベンチャー企業を成長させよう
こんなニュースがNHKで流れていました。
日本経済の成長に向け、政府の未来投資会議は、巨額の利益をもたらす可能性があるベンチャー企業などを、5年後までに20社創出する方針を盛り込んだ新たな成長戦略の素案を示しました。
それによりますと、アメリカのアマゾンやグーグルなどに代表される、国の経済をけん引するような巨大IT企業を日本でも生み出すため、時価総額1000億円規模で未上場のベンチャー企業などを、5年後の2023年までに20社創出するとしています。
こうした企業は、巨額の利益をもたらす可能性があるとして、空想上の動物になぞらえて、「ユニコーン企業」とも呼ばれ、日本版「ユニコーン企業」の創出に向けた整備方針などを検討し、ことし中に、基本原則を定めるとしています。また、素案には、転居の際などに必要となる行政手続きのデジタル化に向けた法案をことし秋の臨時国会に提出することや、自動運転やAI=人工知能などの最先端分野で取り組む施策を検討するため、政府と企業関係者が参加する「産官協議会」をことし夏にも設けることなどを盛り込んでいます。
安倍総理大臣は「デジタル革命が急速に進展する中、手をこまねいていてはならない。経済社会システムの大改革に挑戦する、野心的な成長戦略を取りまとめてほしい」と述べました。
政府は与党と調整したうえで、来週にも新たな成長戦略を閣議決定することにしています。
なぜか、ニュースサイトのリンクが消されているのですが、
要は、
「アメリカのアマゾンやグーグルなどに代表される、国の経済をけん引するような巨大IT企業を生み出そう」
そのために
「産官協議会」を夏までに設置する。
ということが目的でその先は、「産官協議会」に任せるのでしょうか?
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/venture_challenge2020/index.html
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/index.html#senryaku2018
施策を検討するために「産官協議会」をつくってなんて、なんて牧歌的な政治の世界
明日、世界がひっくり返るかどうかわからないテクノロジーやサービスが誕生するかも知れないIT業界で、「まず会議をつくって」なんて時代錯誤もいいところ
政治家もお役人もIT業界、デジタル産業について知らなさ過ぎる。
※詳しい人もいると思いますが、こういう意見書は無難なものしか出てこない
そもそも日本に世界的に出て行けるようなベンチャー企業があるのなら
孫正義氏がとっくに投資してるってことです。
失敗できない社会
この国のお役人は、失敗できません、いや 役人だけではありません。
日本全体が失敗できない民族思考になっています。
失敗したものを叩く、新聞もテレビもネットもすべて、失敗を叩く
そのくせに、成功したらやたら持ち上げる。
お役人や企業では、敗者復活は、まずないでしょう
一度、貼られたレッテルは、消えないのが現状です。
チャンスすらなかなか与えられません。
ならば、変なことを言わないでおとなしく「ありきたり」でまとめよう
そんな思考がある限り
巨額の利益をもたらす可能性があるベンチャー企業など絶対に出てこない。
プラットフォームは、決着がついている。
IT分野は、プラットフォームを握ったものが勝者です。
Windows+Officeでビジネス現場を掌握したMicrosoft
ネット広告を掌握したGoogle
スマートフォンを掌握したAppleとGoogle
Javaとデータベースを握ったオラクル社
これらの上でしかビジネスができない状況になっています。
どんなに優れたものでも一度握られてしまったプラットフォームをひっくり返すのは容易ではありません。
「巨大IT企業を日本でも生み出す」とか言っていますが、米国や中国のIT企業からすると
周回遅れどころか、予選すら勝ち抜けない状況です。
そのような現状がわかっていないのに「巨大IT企業を日本でも生み出す」とか言えるものだと素人ながら思います。
「巨大IT企業を日本でも生み出す」ならば、世界中から技術者と技術者の親分をカネで引き抜いて
ドリームチームでもつくらない限り無理でしょう。
それでも、失敗は免れません。
いや、規制と既得権益で横やりを入れてくる団体が多い日本では、実現は、不可能と思います。
もっともドリームチームをつくるカネも度胸もないし、そもそも、それは、日本企業ではないですね。
なにせ、失敗したら責任者を問い詰めるだけで、原因を調べようとしません。
そんな国で誰が、勝負するんでしょうか?
世界で勝負するためには、ギャンブルが必要
ダイソンが、高価な掃除機一本で世界で勝負してきました。
日本の家電業界は、「そんな高い掃除機売れるわけがない」と笑っていたでしょう。
DJIは、GoPro社に共同研究を持ちかけたのですが、GoPro社は、断りました
「そんな中国のわけわからん企業と組めない」
と言ったかどうかは、わかりませんが、DJIは、ハッセルブラッド社を買収し、カメラ技術+ソフトウェアで世界市場を独占するドローン企業になりました。
ファーウェイ(Huawei)は、モバイルルーターで日本に上陸、信頼を得た上でスマートフォンで再上陸
今や、日本市場でiPhoneの次に売れているAndroid端末になっています。
世界的にも第3位、Appleも抜くのではないかと言われています。
どの企業も投資家がお金を出しているはずです。
そうでなければ、掃除機だけで世界で勝負できるわけがありません。
投資家も100%儲かるわけではないのを承知の上で莫大な費用を投資しているのです。
ある意味、ギャンブルです。
しかも綿密に調査した上でのギャンブルを行っています。
投資とギャンブルを一緒にするなというアナタ
賭けたお金のリターンがあるかないか?
という点で同じだと思います。
優れた投資家ならば、どんなギャンブルでも勝ちそうですね。
そう遠くない未来のIT業界で生き残るために
現在、SIerという企業やその下請の企業で人月仕事をしている人は、そう遠くない未来に多くの人が職を失います。
特に下請+人月のIT企業は、SIerの生き残り戦略で確実に捨てられます。
この先、企業ビジネスは、ERP(統合基幹業務パッケージ)とクラウドそしてAIで置き換わることでしょう。
企業の業務のほとんどがERP(統合基幹業務パッケージ)に含まれているからです。
企業は、コストダウンのために現在の業務をERP(統合基幹業務パッケージ)に合わせるはずです。
つまり、業務と呼ばれる作業と業務作業を支えてきたIT企業の仕事がなくなります。
そのため、日本のIT企業は、ERP(統合基幹業務パッケージ)のインストール業者となるぐらいで発展する余地は、ありません。
ならば、やる気のある人は、プラットフォームを持っている企業や海外ベンチャー、AIの最先端で勝負をオススメします。
そのためにも語学を習得してください。
翻訳技術が発展しても会話ができないと、現時点では厳しいです。
通信教育でもいいので、ぜひ 英語の学習をオススメします。
海外は、ちょっと厳しいなとお考えの人月単価で仕事をしているIT技術者のみなさん
今の仕事がなくなる前に有望な企業でステップアップしましょう。
AIは、専門的な知識が要求されるので難しいですが、IoT、セキュリティ分野ならば、まだまだ仕事は続きます。
ステップアップは、複数のサイトで情報を集めるのが、重要です。
自己のステップアップのためには、今、働いている企業に未練を残してはいけません。
自分が売れるタイミングで転職しないと今の下請人月仕事で生き残れない時代が、そう遠くない未来にやってくると予想しています。
まとめ
IT業界は、企業がステータスになりません。
自分を高く買ってくれる企業で仕事をするべきです。
自分は、もう老年なのでこれから転職や海外は、遅すぎすぎます。
20代、30代のみなさんならまだ間に合うはず。
自ら動かなければ、チャンスは永遠にやってきません。
幸運を祈ります。