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日本のIT屋に一言

地方自治体の決断 神戸市の挑戦 Urban Innovation KOBEとは?

2018年5月9日


かつて、地方自治体のシステム開発の入札が「1円受注」などという「バカな時代」がありました。
数百万単位のシステム開発の金額が1円ですよ
自分がプロジェクトマネージャーだったら
「俺たちのつくるシステムは、1円の価値しかないのか!」
とちゃぶ台をひっくり返しそうな案件です。

そうです

システムは。「オマケ」でしかありませんでした。

今回の日本のIT屋にひとことでは、
地域で育てるスタートアップ企業 神戸市の挑戦 Urban Innovation KOBEとは?
と題して
地方自治体の決断 神戸市の挑戦 Urban Innovation KOBEとは?
と題して
新しい考え方をする行政組織が出てきた
ことについて考えてみました。

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1円落札

1987~1990年あたりに富士通、NECなどの大手コンピュータ企業が、地方自治体のシステム導入で
1円入札を実施したことがありました。
システムを1円で導入してもハードウェアやその後の保守で儲けが出るのでシステムは、ただでも良かったわけです。
さすがにこれは、「やりすぎ」で独占禁止法に抵触するんじゃないのか?
とか問題になりました。
一説によると海外企業から貿易摩擦を持ち出して外圧がかかったとかどうとか?
こんな1円入札ですが、今ほど情報開示がない時代だったので表に出ていないだけで結構あったのではないか?
と考えている人もいます。

Urban Innovation KOBE

神戸市が起業家やスタートアップ企業と共同で地域課題を解決するプロジェクト「Urban Innovation KOBE」を開始しました。

これは、神戸市が抱えている課題をスタートアップ企業が開発したシステム、サービスを神戸市が買い取るという取り組みです。
ここで注目したいのが、地方自治体が実施するIT関連システムを「実績がまだない」
「スタートアップ企業」を募っていると言うことです。

今までだったら、実績のあるSierさんに頼んでつくらせるのが通常で、
実績のない「スタートアップ企業」は、お役所が一番嫌うはずなのですが、
「なにがあった神戸市」
と思います。

8つの課題

神戸市は、8つの課題解決を発表しました。

そのうち6つの課題に対して7社を選定しました。

地域コミュニティ交通の予約システム
自家用車を使った相乗りサービス「公共交通空白地有償運送」の予約手続きを効率化。現在は事務員が人手で実施
選定企業
コガソフトウェア(東京・台東)

地域統合バスロケの整備実証実験
市営バスや複数ある民間バス会社が個別に提供している運行中のバスの位置情報を市民に統合して提供
選定企業
トラフィックブレイン(東京・千代田)

毎月手作業で行っているレセプトチェックの自動化実証
神戸市で年間250万件あるレセプト(診療報酬明細書)の確認作業を効率化。現在は人手で作業
選定企業
FlyData(米サンフランシスコ市)/モンスター・ラボ(東京・渋谷)

行政窓口をスムーズに案内できるツール
区役所に来た市民に適した窓口を案内できる仕組みや案内係を支援するツールなどを開発
選定企業
ACALL(神戸市

子育てイベント参加アプリの実証開発
認知度が低い地域の子育てイベントの広報力を強化する仕組みやサービスを開発
選定企業
ためま(広島市)

三宮再整備 革新的プロモーションツール実証実験
三宮地区の再開発に対する市民の関心を高める、市民参加型広報の仕組み作り
選定企業
ディグランド(東京・中野)

神戸都心部における約8万4千世帯のソーシャルネットワークの構築
集合住宅が9割を占める市中央区で、地域コミュニティを強化するサービス作り
選定企業 なし

子宮頸がん検診 無料クーポン実証実験
20歳女性などに届けている無料クーポンの利用率を高める仕組み作り。現在は12%にとどまる。
選定企業 なし

以上8つの課題を専用のホームページを開設して公募して
課題には、ITを活用するとか記載はありませんが、課題内容を考えるとIT前提と考えられます。
2018年11月をメドにプロトタイプを実証実験で評価する予定になっています。

レセプトチェックの自動化実証

注目しているのは、毎月手作業で行っているレセプトチェックの自動化実証の項目で

日本人が米シリコンバレーで起業した人工知能(AI)開発のFlyData(米サンフランシスコ市)
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)製品を手がけるモンスター・ラボ(東京・渋谷)の2社を選定しています。

神戸市は健康保険の支払いのため、年間250万枚のレセプトを処理していますが、すべて手作業になっています。
2社ではそれぞれ違うアプローチで解決しようとしています。

  • FlyDataが提案したのは、AIを使って手打ちデータからミスを含む可能性が高いものを探し出し、自動でミスを修正する技術
  • モンスター・ラボに対しては、レセプトの原票を参照して正確にデータを再入力するRPAの技術

神戸市は、2社の技術を組み合わせれば、膨大な人手をかけていたレセプトの事務処理を大幅に省力化できる可能性があると判断しています。

プロトタイプ開発支援金

11月までのプロトタイプ開発の期間、神戸市は選定企業に対して1社当たり50万円の開発支援金を払うことになっています。
しかし、1社当たり50万円の支援金だと会社の持ち出しは、必須になっていて、プロトタイプで失敗すると損失が発生するリスクが伴います。

試行錯誤

このような試みは、はじめったばかりなので試行錯誤が必ず発生します。
失敗を恐れては、何もできないし、失敗を極端に嫌うお役所としては、画期的な試みだと思うし、成功してほしいと思っています。

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地域活性化

神戸市は、地域活性化のために起業家の育成、スタートアップ企業の誘致などを行っています。
今回の8つの課題解決は、その地域活性化のひとつなのですが、従来の実績のあるIT企業ではなくスタートアップ企業対象というのは、画期的なことです。
おそらく他に例がありません。

もちろん、課題解決ができなければ、買い取りはしない方針なので、市としてもリスクが低いと思われます。

と言っても
「お役所がこんなことを考えつくとは、時代も変わったものだ」
「できる人とそれを理解する上の人がいるんですね」

以前ブログで紹介した

Shimane in Ruby 島根県とRubyの関係について

以前、鳥取のシステムについてブログに書きましたが、 今回は、島根県のお話です。 2017/12/14 東京帝国ホテルで「Ruby biz Grand prix 2017」が開催されました。 Rubyと ...

こういうことが、本当の「地域活性化」であって

「くまモンがヒットしたから、うちでもキャラクターをつくろう」
などと広告屋さんに高い金を払って「変なキャラ」をつくるだけというものは、「地域活性化」でもなんでもなくただの「税金の無駄遣い」です。

まとめ

「絶対失敗する」とか「リスクが高い」などと言って企画やアイデアを握りつぶす「上の人」が居座るお役所や企業は、下降線をたどってやがて消滅してしまうでしょう。

ITサービスは、やってみないと成功するかどうかわからないことも多く、数年かけないと結果が出てこないこともあります。
「あのとき あれをやっておけば・・・」
なんてこと 実生活でも多いですよね。

それをやってしまうのが、成功する人たちなんだろうな

と最近思っています。

参照サイト
Urban Innovation KOBE
http://urban-innovation-kobe.com/

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