飛行機に乗ったとき、音楽を聴いていたはずなのに――突然「ピーーーッ！」という高音が耳元に鋭く響いた。
ランニング中でも、足の着地ごとに「ドンッ」「ビリビリッ」
そんな報告が、Appleの最新完全ワイヤレスイヤホン、AirPods Pro 3を使っている一部のユーザーから上がっている。
ノイズキャンセリング（ANC）や気密設計を大幅に強化したモデルだけに、異音の出る状況は意図せざる“仕様の裏返し”とも言える。
この記事では、最新レビュー、ユーザー掲示板の書き込み、装着・気密性能解説をもとに「何が起きているのか」「どう対処すべきか」を読み解っていきたい。
目次
異音報告：飛行機・ランニング中に多数のユーザーが経験
海外のユーザー掲示板やレビューでは、AirPods Pro 3で以下のような異音報告が相次いでいます。
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飛行機の客室内で、離陸・上昇時に数分後「高音のホイッスル音」「金属的なピーピー音」がイヤホンから発生
録音も上がっており、前モデルでは再現しなかったという声もあります。
Hacker News+3Basic Apple Guy+3reddit.com+3 -
ランニング中、特に足の着地衝撃がある場面で「低い振動ノイズ」や「ドンッというバス音」「呼吸と同期してくる異音」が出るという報告
ある投稿では「走り始めて数分で左耳だけが ‘キーン！’ と叫びだした」とも
reddit.com+1 -
異音の傾向として
「ANC（ノイズキャンセリング）モードで起きやすい」
「耳へのフィットが甘い（気密が取れていない）と出やすい」
「機内・高揚・急な気圧変化と関連している可能性」
などが指摘されています。例えばApple公式フォーラムでは「飛行中・高度3000メートルで発生」「通常の地下鉄では起きない」というユーザーもいます。
Apple Support Community
これらの報告は全ユーザーに起きているわけではありませんが、飛行機・ランニングなど“外部条件が変化／振動あり／気圧変化あり”の場面で起きやすいという一定の傾向が見えます。
原因と思われること：構造・気密・ANCフィードバックの可能性
なぜこのような異音が起きるのか、複数のレビューやユーザー分析から“可能性”として挙げられている要因を整理します。
● 気圧・機内/高高度環境との関連
機内や高高度で気圧が低下・変化することで、イヤーピースの気密（耳穴とイヤホンの隙間）が変化し、密閉が緩むまたは過度に密閉されることで耳内外の圧が変動
その結果イヤホン内部／マイク部に異常な圧力差が生じ、ANC用マイクが自分の耳からの音・振動を“フィードバック”してしまう可能性があります。
ユーザーの「飛行中に起きた」「地下鉄では起きない」という指摘はこの仮説を支持しています。
reddit.com+1
● 足の着地や頭の動きによる振動の影響
ランニング中や歩行中の衝撃・振動が、イヤーピースと耳内のフィットを一瞬でもずらし、マイク・回路・振動素子間で異振動が発生する。
レビュー掲示板では「足の着地に同期してバス音が出た」「ANCモードをオフにしたら収まった」という声も多く、物理的な振動／フィット変化が異音のトリガーになっている可能性が高いです。
Hacker News+1
● 新イヤーチップ＋気密設計の落とし穴
AirPods Pro 3では新たに「フォーム入りイヤーチップ」「より深く・密に挿入できるハウジング設計」が採用されており、レビュー記事ではフィット改善・ノイズキャンセリング強化が評価されています。
TechRadar+1
しかし、新設計ゆえに「装着が浅め／密閉が緩め／動きで気密が崩れる」ユーザーもおり、結果として“気密が変化しやすい”構造になっている可能性があります。
気密が崩れると音の反響・隙間ノイズ・マイク検知エラーが増えやすく、これが異音の一因とも推測されます。
● ANC回路・マイクの誤検知フィードバック
異音の多くは「ホイッスル（高音ピー）」「バス／振動ノイズ」「振動→マイク検知→反転／増幅」というフィードバック構造をユーザーが分析しています。
特に飛行機のエンジンノイズやランニング中の振動など“連続した低周ノイズ”の中で、ANCマイクが “音としてではなく振動／圧として”認識してしまい、それを打ち消そうと回路が大きく動いた結果、逆に可聴ノイズを生んでしまうという説があります。
Basic Apple Guy+1
気密／フィット性能の紹介と評価
異音問題とは別に、AirPods Pro 3は「気密／フィット／装着安定性」について大きく進化しています。
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イヤーチップがフォーム（発泡素材）注入タイプや複数サイズに拡張され、耳穴形状に対する適合性が高まりました。レビューでは“揺れても落ちにくい”“頭を振っても外れない”という評価が出ています。
TechRadar -
封じ込められた気密のおかげで、航空機のエンジン音や地下鉄の轟音をしっかり低減するというラボテスト結果も出ています。米Rtingsでは「エンジン・キャビン騒音を除去する能力が優秀」と評価
RTINGS.com -
また、「Acoustic Seal Test」という装着テスト機能が導入され、iOS 26対応機器で、ユーザー自らイヤーチップの最適サイズを測定・装着できるようになっています。これにより、適切な気密・密閉をユーザー自身で追求できる環境が整っています。
Cinco Días
総括すると、気密／フィット性能は確かに強化されており、適切なイヤーチップ選定と正しい装着方法ができれば、飛行機・外部ノイズ環境でも非常に高性能なパフォーマンスを発揮できます。
どう使うべきか：異音発生を避けるための実践ヒント
まず、装着バランスを見直すことが出発点です。
新モデルのイヤーチップは硬め・密度高めという声があり、普段Ｍサイズを使っていたユーザーがＳサイズまたはＸＳに切り替えたことで異音が消えたという報告もあります。
特に飛行機やランニングのように、気圧変化・振動が加わる状況では「耳への挿入深さ」「ひねり方」「チップの選定」が異音有無に直結します。
次に、飛行機利用時は離陸・上昇時に発生しやすいという報告から、可能であれば離陸直前にイヤーチップがしっかり密閉されているか確認し、ANCモード／通話モード切り替えなどを試しておくと安心です。
また、ランニング中は足の着地衝撃がイヤホンに伝わることで気密が乱れがちですので、イヤホンを装着した状態で軽くジャンプして「ずれないか・異音が出ないか」を事前確認することが有効です。
最後に、異音が出たときは
「一度ANCをオフ／透明モードに切り替える」
「イヤーチップを一旦外して再装着／別のサイズに変える」
「ファームウェアを最新に更新する」
などのトラブルシューティングを試みる価値があります。報告によれば、この異音はソフトウェア修正で対応可能かもしれないというユーザーも存在します。
Apple Support Community+1
AirPods Pro 3は“優秀だが、飛行機／ランニングでは装着に差が出る”
AirPods Pro 3は、音質・ノイズキャンセリング・フィット・機能（心拍／翻訳）など、多くの面で前モデルを大きく上回る仕上がりとなっています。
多くのメディアレビューでも高評価を得ています。
SoundGuys+1
しかし、飛行機内やランニングといった“気圧変化／振動条件下”では、装着・気密・ANC構造の微小なズレが“異音”という形で顕在化しており、それが購入検討者にとって留意すべき点です。
適切なイヤーチップ選択と装着確認を行えば、多くのユーザーは通常使用で強い満足を得られるでしょう。とはいえ、飛行機や激しい運動利用を主目的とするなら、「装着フィットの再確認」あるいは「保証・交換対応の確認」も視野に入れた上での購入をおすすめします。