職人技というものは、凄いものである。
機械より正確な平面を手の感覚で削り出すとか、もはや人間業を超える特殊能力と言っていいでしょう。
その能力を取得するために何十年も研究と技を磨き修行の毎日、飽きやすい自分には到底無理なお話
しかし、世の中には、職人技を誰でも実現できるような道具を開発してしまう人たちがいます。
今回は、そのようなプログラム言語というより環境と言ったほうが近い
Microsoft Visual Basicに関してできるかぎり、専門用語を使わないでブログにしました。
※以後 Visual Basicと名称を統一させていただきます。
今回の小僧の教えてITは、
職人の手を離れたアプリ開発 プログラム言語夜話 第5話 Microsoft Visual Basic
と題して
Visual Basicという言語って こんなんだよ
と思っていただけたら幸いです。
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注意:このブログは、Visual Basicの解説ではありません。
Visual Basicこんな言語だよ!というお話です。
目次
プログラマーは、職人でした。
まだ、パソコンが普及していない1980年代
プログラマーは、諸君とも言うべき存在でした。
なにより、キーボードを自在に操れる。
今では、当たり前のように文字を入力しているキーボードですが、1980年代は、
キーボードを操れるのは、タイピスト、キーパンチャー、そしてプログラマーくらいしかいませんでした。
そもそもキーボード自体が、世の中に出回っていないのです。
そんな中、巨大な汎用機の前でプログラムを作成し、コンピュータを動かしている人たちは、限られたエリートだったのです。
自分が、この業界に入った、1984年は、ギリギリ 紙テープとカードリーダーが残っていました。
コンピューターの紙テープってご存知ですか?
ウルトラマン(初代)にコンピューターから穴の空いた紙テープがニョロニュロ出てくるのを科特隊(科学特捜隊)のメンバーが手に取り
「大変だ! 東京湾に怪獣が現れた」
なんてシーンが良く出てきますが、あの紙テープです。
はっきり言おう、あの紙テープを読める人は、神様レベルの天才エンジニアぐらいでしょう。
今から考えるとパソコンの何千分の一レベルのコンピュータで仕事をしていたわけですが、そんな機械でも全国をつないだオンラインシステムとか動いていたのですから、そんなもの操れるのは、職人技とも言えるでしょう。
これは、1990年代のパソコンが普及してきた時代も同じです。
ゲームなどのアプリは、機械語というもので記載されていました。
このブログで取り上げた C言語もありましたが、限られたメモリー内で高速に動かすためには、機械語しかなかったのです。
わずか、数百キロバイト~多くて数メガバイトの空間にどうやってアプリを詰め込むか?
天才プログラマーたちの腕の見せ所でした。
Windows95で世界が変わる。
MacintoshがGUI(コマンドではなく視覚的にコンピュータを操ること)で先行していましたが、所詮、趣味の世界にとどまっていました。
仕事で使っていたパソコンは、日本では、PC-9801シリース(NEC)、欧米では、IBM-PC(または、互換機)でMS-DOSでした。
ハードディスクは、高価で1メガバイト換算1万円という時代です。
データは、フロッピーディスクで動いていました。
そんななか、
1995年、Windows95がMicrosoft社から登場
パソコンとインターネットとが、爆発的に普及しはじめました。
パソコンは、オフィスに入りLANで接続され、業務で使用することが当たり前の時代
Microsoft社は、ここで Windows95に合わせてMicrosoft Officeを登場、ビジネスで決定的な主導権を握ります。
さらに、Microsoft Visual Basicという開発環境を発表、そのWindows版である、Visual Basic 4.0が登場すると、アプリケーションの開発に革命が起こります。
さらに1997年、Visual Basic 5.0の登場でアプリケーション作成の現場で決定的な勢力になりました。
Visual Basicの革命
Visual Basicが登場するまで Windowsの開発は、Visual C++などで書かれていました。
初期の頃は、画面のボタンを表示することをプログラムで表現しなければならず、素人はお手上げ状態
そこに登場してきた、Visual Basic
まるでパワーポイントでドキュメントを作成するような感じで
画面、ボタン、リストボックス、画像、文字などを配置をして、その部品をクリックしてプログラムを書くことができたのです。
つまり
1.ボタンを配置
2.ボタンをクリックしてエディターを開き
3.10秒間ブザーを鳴らす プログラムを書く
この3ステップだけで「ボタンを押すと10秒間ブザーが鳴る。」
というプリケーションが作成できたのです。
画面操作は、すべてVisual Basicにお任せ状態
これは、仕事の効率を重視する米国人にとってExcelのマクロと共に便利なツールとなりました。
特徴
Visual Basicは、言語というより開発環境とよんでいいでしょう。
画面は、こんな感じです
言語は、BASICでしたが、行番号などなく、GOTOで分岐をさせなくてもプログラムを書くことができます。
これを構造化されたと言います。
Visual Basic 5.0(1997年)からは、実行ファイル(EXEファイル)としてコンパイルすることでVisual Basicが導入されていなくても動かくことができるようになり、さらにOracle社のデータベースやMicrosoft社のデータベースに簡単に接続できたため世界でビジネス関連のアプリケーションが作成されました。
サンプル
これは、画面上にCommand1というボタンを貼り付けて、そのボタンが押されたときにプログラムです。
ボタンを押すと
Hello, Visual Basic
とポップアップする画面が表示されます。
Web時代に対応できなかった。
Webが普及すると同時にJavaという言語が普及、Visual Basicは、Microsoft社のIISというWebの環境上で動かすことになるのですが、IISというWebの環境は、Windows Serverというお値段の高いOSでしか動作しなかったため、LAMPと呼ばれるオープン系(無料で使えるとおぼえていてください)環境に押されてしましました。
LAMPとは、
Linux
Apache HTTP Server
MySQL
Perl/PHP(Python)
のセットもので、基本無料で使用することができて、Windows Serverより低コストで開発できたため、2000年以降、Web世界の標準になって発展します。
(そのうち ブログで書きますのでここは、さらっと流してください)
Windowsのアプリケーション開発は、Visual Basicより大規模かつマルチスレッド、オブジェクト指向を取り入れた、Visual C++(Microsoft社)の進化によってその存在は、小さくなります。
その後、Visual Basic.NET 略称 VB.NET(Microsoft社)というものが、出てきますが、それほど使われませんでした。
そして、これらの集大成としてMicrosoft社は、Visual Studioと開発環境を発表、その上でC/C++/VB.NET/C#などが動作するようになります。
現在では、Javaから発展した C# というものが、Windowsアプリケーション開発の主力になっています。
現在
Visual Basicは、滅んでしまったのか・・・
とお思いの貴方!
以前、どこかでBASICの回でお話しましたが、Microsoft社にとってBASICというものは、神聖ななもので消えることはありません。
Microsoft Officeに組み込まれている
Visual Basic for Applications 略して(VBA)
として今でも現役で世界中のビジネスをするひとの役に立っています。
使い方は、Visual Basicと同じように、Excelでボタンを置いて、そこにプログラムを書くというスタイルは、かわっていません。
プログラムに興味のある方でしたら
Excelでいろいろなことをプログラムで書くことができますので、まずはここからチャレンジするのもいいと思います。
Excelと互換がある他のアプリでは、VBAは、動作しません。
ここが互換アプリケーションと決定的に違うところです。
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プライベートならともかく、ビジネスで使うならば、Microsoft Officeを必ず使用してください。
互換アプリケーションは、本物を超えることは、絶対にありません。
Office365は、¥900 ユーザー/月相当 (年間契約)でExcel,Word,PowerPointなどを使うことができるのでビジネスで何かしたいという方は、手元に置いておくことをオススメします。
そしてOneDrive(Cloud)ストレージ 1 TBが使用できます。
まとめ
前回のBASICからの続きのような感じですが、Visual Basicは、間違いなくMicrosoft社を発展させた大きなプログラム言語です。
「プログラムが、モダンではない」
とか
「そんな BASICなんて 今どき」
とか言っている人たちは、職人(専門家)でしかできなかったことを、誰でも少し勉強すればアプリケーションを作れたという意味がどれだけ凄いことか知ってほしいと思います。
全盛期は、過ぎたとはいえ、Excelなどに引き継がれるVisual Basicは、これからもビジネス現場で活躍することでしょう。
では、また、次回 お楽しみに・・
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