中国では、2019年12月1日から 中国国内でSIMカードを新規購入するときに顔認証、つまり 顔写真を登録することになりました。
社会主義の中国は、監視社会ですから、テクノロジーが揃えば実行するのは、当然だと思います。
中国政府によると
「サイバースペースにおける市民の正当な権利と利益を保護するための措置」であり、SIMカードの転売などを防ぐことが目的」
とコメントを出しています。
古から権力者たちは、市民の行動を監視したがるものです。
権力を維持するためには、市民が行動を起こす前に「気配を察知」し「事前に叩き潰す」必要があったからです。
今回のIT小僧の時事放談は
私達は、AIに監視されている。「AI監視社会」が本格的にはじまったらしい。
と題して、「AI監視社会」について考えてみよう。
小難しい話をわかりやすく解説しながらブログにまとめました。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
スポンサーリンク
目次
ケンブリッジ・アナリティカ
以前、当ブログでは、ケンブリッジ・アナリティカの真相に迫るドキュメントについてとりあげました。
-
グレート・ハック:SNS史上最悪のスキャンダル(原題:#TheGreatHack) 大統領選が近くなってきました。今こそ見直そう
ニュースウオッチ9 - NHKで Yahoo!とLINEが経営統合するというニュースが流れている。 ITなど取り上げたこともないマスコミのいくつかは、 「これでGAFA(Google,Apple,Am ...
内容は、米大統領選挙、英国のEU離脱の影にケンブリッジ・アナリティカという1企業がなにをやっていたのか?
についてNetflixがドキュメンタリーにしたものです。
日本では、あまり詳しく報道されなかった事件ですが、内容はかなりショッキングで
ITの世界では、
「集められた個人情報によって歴史を動かす力を得てしまった」
「集められた個人情報データは、石油の価値を超えてカネを生み出す資源になった」
という内容でした。
そうです。個人情報は、カネになるのです。
別に個人情報を売ったりするだけではありません。それより価値のある手法があるとわかってしまったのです。
ただし、個人情報がカネになるのは、資本主義での世界
社会主義、独裁政治の世界では、市民を監視する有効な手段となりえるのです。
監視カメラ
監視カメラをみつけることは、容易である。
コンビニ、銀行などの金融機関、スーパーマーケットやデパート、遊園地、電車や駅、交差点、繁華街、オフィス
日本でもあらゆるところに「あなたを覗いている監視カメラ」が設置されています。
2020年の東京オリンピックを前にして、さらに監視カメラは増えることでしょう。
警備会社では、監視カメラの映像から不審者をAIが自動的に認識するシステムを開発しています。
また、警察の組織も行っていると思います。
携帯電話会社の情報と監視カメラから人物の特定もできているはずです。
犯罪防止、犯人逮捕、テロ防止 など理由はいくらでもあります。
もちろん、然るべき場所で然るべき人が対応するならば問題ありません。
むしろ、事前に犯罪を防ぐことができるなら歓迎したいところです。
しかしここで大きな問題点が
中国や米国、欧州の一部の国のように国民に番号をつけて管理しておけば、顔認証データと個人を簡単に結びつけることができる。
しかし、日本では、顔認証データと個人情報を結びつけるものが、ない(あるかもしれないけど統一されていない)
そこでマイナンバーはどうなの?
となるわけですが、
マイナンバーカードを登録するため、顔写真が必要になります。
顔データと個人番号がめでたく結びつくわけですが、肝心のカード登録が少ないまま
マイナンバーの携帯義務も作成も義務化さえていないため 普及するのは、まだまだ先になりそう。
中国では
中国では、現時点でも国民の大多数の個人情報を当局が監視していると思われます。
今回、携帯電話のSIM購入時の顔認証登録になると、さらに個人情報は、強固に結びつかられ、
極端に言うと
「いつでも どこに 誰が行って、誰と話していて、どこに電話して、何を話していたか」
なんてことが、リアルタイムに分かるはずです。
と言っても、これらの情報は、大量かつ複雑なわけですから、そこにAIが出てくるのは当然だと思います。
例えば、一人の犯罪をおかしそうな人物を自動でマークするなんて
AIなどで追跡できてしまうのではないでしょうか?
※今は、無理でも近い将来可能となるでしょう。
でも、顔認証を普及させることで 買い物などの決済を顔認証で行うなども始まっているので
スマートフォンやカードなしでも決済できるという 利便性はあります。
米国でも
米国の一部の都市では、監視カメラとAIを使って、犯罪の起こりそうな地域を特定したり、犯罪予備軍をマークしています。
人権侵害という反対運動も起きていますが、「犯罪防止」のほうが重要視されているようです。
この話は、以前 NHK特集で放映されていました。
AIが、過去の事件、天候などの様々な情報から、これから起こる犯罪地域を特定
警察は、その特定冴えている場所で待機することで 事前に犯罪を防止する。
なんて Netflixのドラマのような世界がすでに実現されています。
民間だって
民間企業も個人情報会社からデータを取得して犯罪になるニュースが増えてきました。
先日もデータセンターの廃棄ハードディスクを横流ししている廃棄業者が逮捕されています。
市民のデータが入っているハードディスクの闇取引とかドラマのようです。
ハードディスクに入っていた個人情報は、すでにハードディスクから離れ、誰かが持っているかも知れません。
そうなったとしたら、ハードディスクを盗み出した本人を逮捕しても、時既に遅し です。
個人情報のデジタルデータは、一度流失してしまったら、取り戻すことは現在できません。
好んで個人情報を渡していた。
もFacebookが登場したときに 自ら進んで 個人情報をアップしていました。
本名、職歴、交友関係、趣味、顔写真などのプライベートな写真などなど
LINEも当初、登録時に電話番号が必須でした。
さらにお友達紹介と言って、個人のアドレスデータをアップしていたわけです。
個人情報が、将来カネになると考えた人は、先見の明があったわけで、私達は、彼らの策略に乗っかってしまったわけです。
今更、個人情報を返せと言っても無理な話
「だって あなたは、喜んで 個人情報を教えてくれたではないですか・・・」
出てしまった情報は、コピーされ、更新され、いろいろなところに保管されていることでしょう。
[amazonjs asin="4794223528" locale="JP" title="操られる民主主義: デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか"]
AI監視資本主義
膨大な個人情報は、今後、AIが判断する材料となることは間違いありません。
人の能力では、情報が多すぎて対応できません。
今後は、AIによって
「この人は、これを買ってくれる」
「この人は、糖尿病になりやすい」
「この人は、毎週、何キロ走っているから健康は大丈夫?」
「この人の体重は、ここ数ヶ月で急激に増えているので危険」
なんてことを判断しているかも知れません。
この程度ならよいのですが、
「この人は、犯罪者になりそうだ」
「この人は、病気になりそうだ」
なんてAIに判定されたら、生活全般に影響が出てくる可能性があります。
こにようによってAIが判定するには、個人の監視データが必要です。
そしてそれは、すでに始まっていると想像できます。
私達は、AIに監視されている社会になってしまったかも知れません。
まとめ
今回、中国で義務付けられた、携帯電話のSIM購入時の顔登録は、どれぐらいの制度があるのかわかりません。
しかし、つい10年ほど前、中国製のロボット(先行者)を「バカすぎて笑っていた時代」があったのですが、今の中国は、そんな世界ではありません。
若者が世界中で勉強し、ノウハウを蓄積して、自国に帰ることで急激にテクノロジーが発展してきました。
未だに、中華製スマホをバカにしている人もいますが、国産どころかiPhoneも凌駕しているものが、安価で販売されています。
それぐらい、中国は、テクノロジーが進んでいると思っています。
共産党政府が進める「一帯一路」政策の下、パキスタン、カンボジア、ラオスといった国にAI監視システムが輸出されているぐらいですから、その能力は、かなりすすんでいるはずです。
日本では、運がよいことに先に述べたようにマイナンバーの普及率が低く、思ったように顔認証データを集められていないかも知れません。
しかし、今後、個人情報はさらに集められ、気がついたらAIにランク付けされている社会になるかも知れません。
いや、すでに民間企業ではなっていると思います。
「AI監視社会」に自分たちはどうなるのか?
SFのような社会が近そうです。
スポンサーリンク