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IT小僧の時事放談

iOS版Firefoxに広告ブロック搭載|ChromeとEdgeが絞る中、Mozillaが選んだ逆張り

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iOS版Firefoxに「広告ブロック」がついに搭載

2026年9月2日、Mozilla(モジラ)がiPhone・iPad向けブラウザ「Firefox」に、内蔵型の広告ブロック機能「Ad Blocker(アドブロッカー)」を正式リリースした。多くの第三者広告と広告トラッカー(追跡)を、ページの読み込み前にブロックする機能だ。

面白いのはタイミングである。その前日、Googleは定番の広告ブロック拡張機能をChromeのストアから締め出したばかり。「ブロックを絞る側」と「標準で載せる側」が、同じ週に真逆へ動いた。

今回のニュースの要点

まず、確定している事実から整理する。
項目 内容
対象ブラウザ Firefox for iOS
対応端末(iPhone) iOS 15以降
対応端末(iPad) iPadOS 15以降
初期状態 オフ(利用者が自分で有効化)
提供方法 段階的な配信(すぐ使えない場合あり)

ブロックの土台は、有志が運営するフィルターリスト「EasyList(イージーリスト)」だ。定番の広告配信パターンをまとめた一覧で、これを参照して不要な要素を弾く。

さらにAppleが用意する「WebKit(ウェブキット)」の遮断の仕組みと併用し、端末上で効率よく広告を止める。拡張機能ではなくブラウザ本体に組み込む形になっているのがポイントだ。

そもそもFirefoxって何?

名前は聞くけれど使ったことはない。そんな人向けに、この老舗ブラウザの立ち位置を短くまとめておく。

  • 開発元は非営利色の強いMozilla(モジラ)。登場は2004年という古株だ
  • 最大の特徴は独自エンジン「Gecko(ゲッコー)」。世の多くのブラウザが使う「Chromium(クロミウム)」系とは別系統である
  • 中身が公開されたオープンソース。透明性が高い
  • プライバシー保護が売り。強化型トラッキング防止(Enhanced Tracking Protection)を標準装備
  • 拡張機能(アドオン)が豊富で、uBlock Origin(ユーブロックオリジン)など強力な広告ブロックも使える
  • 見た目や動きのカスタマイズ性が高い

Ad Blockerの「できる・できない」

ここが誤解されやすい。Ad Blockerは、あらゆる広告を消し去る魔法ではない。線引きを押さえておこう。

できること
  • 第三者(サードパーティ)が配信する広告を、読み込み前にブロック
  • 広告トラッカーや解析トラッカーを検出して遮断
  • 既存の強化型トラッキング防止機能と連携して動く
できないこと(残る広告)
  • 閲覧中のサイトが自前で配信している広告
  • 検索結果の中に出てくる広告
  • 新規タブに出るブラウザ自身のスポンサー枠(おすすめ枠など)

使い方:3ステップで有効化

初期状態はオフだ。オンにする手順はいたってシンプルである。

  1. Firefoxの「設定」を開く
  2. 「ブラウジング」を選ぶ
  3. 「Ad Blocker」をオンにする

表示が崩れる、消えるはずの広告が残る。そんな時は「Mozilla Connect(モジラ・コネクト)」のページから不具合を報告できる。

なぜ今、Firefoxなのか

ここからは事実に基づく私見。ニュースの背景を、少し引いて眺めてみる。
ブラウザ エンジン 広告ブロックの扱い
Firefox Gecko 標準機能とアドオンで強力
Chrome Chromium系 拡張機能を絞る方向
Edge Chromium系 同じ土台を共有

2026年9月1日、Googleは定番の広告ブロック拡張機能を含む旧世代(Manifest V2=マニフェスト・ブイツー)の拡張を、自社ストアから削除した。ブロックの自由度を絞る動きだ。

影響はChrome単体の話ではない。同じChromium系を土台にするブラウザは、まとめて同じ制約を受けやすい構図だ。

たとえばEdgeも、同じ土台を共有している。だから広告ブロックの自由度は、土台側の判断に引きずられやすい。

一方、独自エンジンを持つFirefoxは「広告ブロッカーを制限する変更はしない」と以前から明言してきた。今回のiOS対応も、その姿勢の延長線上にある。

これは技術というより「制御権(コントロール)を誰が握るか」の問題だ。土台を握る側が拡張の権限を絞れば、利用者側の裁量はそのぶん減る。障害の切り分けで言えば、権限の集中は「単一障害点」を生みやすい。

最小権限(さいしょうけんげん=必要な分だけ権限を渡す考え方)で言えば、本当は逆であってほしい。何を許可し何を弾くかを、利用者自身が選べる状態こそ健全だ。iPhoneやiPadでは拡張機能そのものが使えないため、Firefoxは機能を本体に組み込むという別ルートで「選べる状態」を確保した。ここは素直に評価したい。

IT小僧のコラム:それでも私はFirefoxを推す

筆者は日常的にFirefoxを使っている。そして今回の件で、その選択にますます納得している。

ブラウザが一社の都合だけで仕様を変えられる状態は、システムで言えば「単一障害点(シングル・ポイント・オブ・フェイラー)」に近い。土台が一つに寄るほど、その一社の判断が全体を左右してしまう。

エンジンの多様性が残っていること自体が、ウェブ全体の保険なのだ。Firefoxを使うことは、派手ではないが「一強への静かな一票」になる。

正直、シェアは小さいし万能でもない。それでも「使い方を利用者が選べる」という一線を守り続ける姿勢に、私は張る価値があると思っている。広告に埋もれて疲れているなら、iPhoneに一つFirefoxを入れて、設定を一つオンにしてみてほしい。画面はずいぶん静かになる。

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情報は2026年9月2日時点。段階的配信のため、表示や項目名は環境により異なる場合がある。

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