2025年12月、オーストラリアが世界初の「16歳未満SNS全面禁止法」を施行して以来、欧州・アジア・中東など世界14カ国以上で子供のSNS禁止・規制が急速に広がっています。子供のメンタルヘルス悪化、ネットいじめ、依存問題を背景に、各国政府が動き出しています。日本政府の動向も含めて最新情報をまとめました。
1. なぜ今、子供のSNS禁止が世界で広がるのか
子供や10代のSNS利用をめぐる懸念は、以前から世界的に議論されてきましたが、2024〜2026年にかけてその流れが一気に加速しました。各国政府が規制に踏み切っている主な理由は以下の通りです。
😰 メンタルヘルスへの悪影響
不安・うつ・睡眠障害など精神的健康への深刻な影響が各国の研究で報告されています。
🎯 依存性の高い設計
無限スクロールなど、子供が抜け出しにくい「依存を誘う設計」がプラットフォームに組み込まれています。
🚨 ネットいじめ・性犯罪被害
SNSを介したいじめや性的搾取、危険な人物との接触リスクが子供に直接及んでいます。
📰 有害コンテンツへの接触
アダルト広告・過激な暴力表現・偽情報など、子供に不適切なコンテンツへの無防備な露出が問題化しています。
オーストラリアの法律成立が「先例」となり、欧州各国が追随。アジアでも動きが広がり、2026年春の時点で規制検討・実施国は14カ国以上に達しています。
2. 世界各国の規制・禁止状況一覧
以下は2026年4月時点での主要国の子供向けSNS規制・禁止状況をまとめた一覧です。
| 国・地域 | 制限年齢 | 状況 | 備考 |
| 🇦🇺 オーストラリア | 16歳未満 | 施行済 | 2025年12月 世界初の全面禁止法 |
| 🇫🇷 フランス | 15歳未満 | 議会通過 | 2026年1月 下院通過・上院審議中 |
| 🇩🇰 デンマーク | 15歳未満 | 立法化予定 | 2026年中の法制化を目指す |
| 🇮🇩 インドネシア | 16歳未満 | 施行済 | 2026年3月 実施開始 |
| 🇲🇾 マレーシア | 16歳未満 | 実施予定 | 2025年11月発表・2026年内実施予定 |
| 🇬🇧 イギリス | 16歳未満 | 検討中 | 市民・団体の意見募集中 |
| 🇪🇸 スペイン | 16歳未満 | 議会審議中 | 首相発表・議会承認待ち |
| 🇦🇹 オーストリア | 14歳未満 | 草案準備中 | 2026年6月までに草案確定予定 |
| 🇩🇪 ドイツ | 16歳未満 | 検討中 | 保守党提案・連立与党内で調整中 |
| 🇬🇷 ギリシャ | 15歳未満 | 実施予定 | 2027年1月から施行予定 |
| 🇵🇱 ポーランド | 15歳未満 | 立法準備中 | 与党が禁止法案を起草中 |
| 🇸🇮 スロベニア | 15歳未満 | 立法準備中 | 副首相が法案準備を発表 |
| 🇹🇷 トルコ | 15歳未満 | 議会通過 | 2026年4月 議会通過・大統領署名待ち |
| 🇯🇵 日本 | 検討中 | 議論開始 | 令和8年(2026年)中に具体案取りまとめ予定 |
3. 主要国の規制内容を詳しく解説
🇦🇺 オーストラリア:世界初の全面禁止モデル
2025年12月10日、オーストラリアは世界で初めて16歳未満のSNS利用を国家レベルで全面禁止する法律を施行しました。対象プラットフォームはFacebook・Instagram・Snapchat・Threads・TikTok・X・Reddit・Twitch・Kickなど10サービス。特筆すべきは保護者の同意があっても利用を認めないという極めて厳格な内容です。規制を怠った事業者には最大4,950万豪ドル(約50億円)の罰金が科されます。WhatsAppとYouTube Kidsは対象外とされています。
🇮🇩 インドネシア:アジアで先行実施
インドネシアは2026年3月から、16歳未満のSNSおよびオンラインプラットフォーム利用を禁止しました。YouTube・TikTok・Facebook・Instagram・Threads・X・Bigo Live・Robloxなどが対象です。アジア地域における先進事例として、周辺国への影響も注目されています。
🇫🇷 フランス:マクロン大統領が旗振り役
フランスでは2026年1月に15歳未満のSNS禁止法案が下院を通過しました。マクロン大統領が「子供の過度なスクリーンタイムを守る」として強く支持。上院での審議を経て最終投票へ進む見通しです。
🇩🇰 デンマーク:デジタル年齢確認アプリも導入
デンマーク政府は15歳未満のSNS利用禁止を2025年11月に発表し、与野党5党の賛成を得ています。2026年中の法制化を目指すほか、デジタル証明による年齢確認アプリの整備も並行して進めています。
🇹🇷 トルコ:2026年4月に議会通過
トルコ議会は2026年4月、15歳未満のSNSアクセスを制限する法案を可決しました。エルドアン大統領の署名を経て正式に法律として施行される見込みです。
🇬🇧 イギリス:「依存を誘う機能」の撤廃も議論
イギリス政府は16歳未満のSNS禁止を検討中で、保護者・若者・市民社会への意見募集を実施しています。単純な年齢制限にとどまらず、無限スクロールなど「依存を誘う設計」の制限・廃止も議論の俎上に上がっています。
4. 日本政府の動き:令和8年に具体案へ
世界的な規制の波を受けて、日本でも議論が動き始めています。
📌 2026年2月26日 参議院本会議での答弁
自民党・上野通子参院副幹事長の質問に対し、高市早苗首相が答弁:
「青少年および保護者のインターネットリテラシーの向上に向けた広報啓発を含め、必要な検討や取り組みを進めるとともに、中長期的な検討を要するものについては、令和8年を目途に具体的な内容を取りまとめてまいります」
高市首相は「青少年を有害情報や依存から守る環境整備は重要」とも強調しました。ただし、山田太郎参院議員らは「SNS規制に総理が意欲」とした一部報道について「趣旨を超えた見出し」と指摘しており、現時点では直接的な禁止措置ではなく包括的な環境整備の検討という段階です。
日本の現行の取り組み
青少年インターネット環境整備法
携帯事業者や保護者に子供の有害情報フィルタリングを義務付ける現行法。ただし時代の変化への対応が課題とされています。
こども家庭庁の有識者会議
2025年8月に設置。自画撮り被害、青少年有害情報、アダルト広告などへの対応について論点を整理し、2025年9月に工程表を取りまとめました。
令和8年を目途に具体案
中長期的検討事項については2026年(令和8年)中に具体的な内容を取りまとめる方針。SNS事業者規制・年齢制限の導入可否・保護者責任の明確化などが論点です。
⚠️ 日本の現状の課題
日経新聞の報道によると、日本の現行法は責任が携帯事業者や保護者に偏っており、スマートフォン時代の多様なリスクに十分対応できていないと専門家は指摘しています。また年齢による一律禁止は権利侵害の懸念もあるとされ、慎重な議論が続いています。
5. まとめ:日本はどうなる?
世界14カ国以上で子供のSNS規制が進む中、日本は欧米・アジア各国と比べると後発の状況です。欧米では「禁止」という強硬策が進む一方、アメリカでは「年齢確認+保護者同意」モデルも広がるなど、各国でアプローチは多様化しています。
ポイントまとめ
- オーストラリアが2025年12月に世界初の全面禁止法を施行
- インドネシア・フランス・デンマーク・トルコなど欧アジア14カ国以上が規制へ
- 制限年齢は14〜16歳が主流、違反事業者には高額罰金
- 日本は令和8年(2026年)中に具体案取りまとめを目指す段階
- 禁止の有効性に疑問の声もあり、リテラシー教育との組み合わせが重要
子供をSNSのリスクから守ることは重要ですが、一律禁止がすべての解決策とは限りません。年齢確認技術の整備・リテラシー教育・事業者責任の明確化など、複合的なアプローチが求められています。日本政府が2026年末に向けてどのような具体案を打ち出すか、引き続き注目が必要です。
参考:TechCrunch – These are the countries moving to ban social media for children / ANN News / ITmedia NEWS / 日本経済新聞