「AI搭載PC」は昨年までPC業界の大きなトレンドとされてきました。しかし、2026年初頭のCESでDellが『消費者はAI搭載PCに興味がない』と率直に認めたことが大きな話題になっています。
本記事では、AI機能を売りにしたPCがなぜ消費者に響かないのか、その背景と今後のPC市場の動向を、欧米・日本のテックニュースをもとにわかりやすく解説します。
目次
消費者がAI搭載PCを重視しない理由
Dellの率直な認識
CES 2026においてDellは、これまでの「AI PC」中心のマーケティングから一転し、AIを前面に押し出さない姿勢を明らかにしました。
Kevin Terwilliger氏(Dell製品担当責任者)は「消費者はAI機能でPCを買っているわけではない」と率直に語っています。
実際、Dellの新製品でもAI対応機能(NPU搭載)はあるものの、販売訴求ポイントはAIそのものではなく、基本性能や利便性の向上に据えられています。
この発言が意味するのは、AIは機能としては搭載されるが、それ自体が購入動機になっていないという現実です。
多くの消費者はAIの技術的名称よりも、「バッテリー持続時間」「軽さ・携帯性」「価格」といった実際の使い勝手に価値を置いているのです。
PC購入で重視されるポイント
バッテリーとパフォーマンス
PCを選ぶ際に重視されるのは、AIではなく日常的な使い勝手です。
長時間駆動できるバッテリー、サクサク動くCPU・GPU、静音性といった性能が依然として購入判断の中心です。
Dell自身も展示会でこれらを強調し、AIより実用性に根ざした進化を優先していることが報じられています。
なぜAI PCブームは進まないのか?
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技術の価値が伝わりにくい
AI機能は確かに技術的に高度ですが、消費者にとってはその価値が分かりにくいという側面があります。
AIで何ができるのか、日常生活で具体的にどんなメリットがあるのかが曖昧なままでは、一般購買層には響きにくいのです。
メモリ不足と価格上昇
加えて、AI対応PCの多くは高性能なメモリやチップを必要とするため、製造コストと販売価格が上昇する傾向があります。
実際、AI需要の高まりでメモリ供給が逼迫し、消費者機器の価格に影響を及ぼしているとの報道もあります。
AI PCの可能性は消えたのか?
エンタープライズやプロ用途は別
一般消費者市場でAI搭載PCが売れにくい一方で、ビジネス用途やプロフェッショナル用途ではAIの恩恵が評価されつつあります。
例えば、AIによるリアルタイム分析や映像処理、クリエイティブ作業の支援など、専門的な用途ではAI機能が付加価値として働きます。
AI搭載の価値は進化中
DellがAI機能を完全に否定しているわけではありません。AIを誇示するマーケティング重視から実際のユーザー体験重視への転換と捉えるのが妥当で、AI機能は「見せるAI」ではなく、使って便利なAI機能へと進化していく可能性があります。
今後のPC市場動向
基本性能の再評価
2026年のPC市場は、AI云々よりも基本性能・ユーザー体験の改善が購入動機の中心になる見込みです。
バッテリー性能、ディスプレイの質、携帯性、価格といったポイントが消費者の選択を左右します。
エッジAI/オンデバイスAIの普及
将来的には、NPUのような**デバイス側AI処理(エッジAI)**の価値が自然と体験に織り込まれる可能性は残ります。
しかし、これは「AIが売りになる」というより「快適な体験を支える技術」として消費者に受け入れられる方向です。
まとめ
2026年に入り、Dellが率直に認めた「消費者はAI搭載PCを重視しない」という事実は、PC市場の現実を象徴しています。
AIという言葉自体は魅力的でも、具体的な価値や体験が伴わなければ消費者の購入動機にはなりません。
これからのPC市場は、AI技術の進化を背景にしつつも、実用性と体験価値を重視する流れが強まるでしょう。