政府は2019年12月5日、教育用ICT(情報通信技術)環境の整備拡充などを盛り込んだ総額26兆円規模の総合経済対策を閣議決定した。
この予算の中に「義務教育課程である小中学校への大規模なパソコン導入」が含まれている。
その台数、約1000万台 国内に新たに市場がつくられるほどの巨大利権が誕生する。
しかし、ここで大問題が・・・
今回のIT小僧の時事放談は。
小中学校に1人1台配る政策発表 PC1000万台特需の影に国産メーカー出遅れ
と題して、PC1000万台特需に乗れない国産メーカーについて考えてみよう。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
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目次
PC1000万台特需
政府は2019年12月5日、教育用ICT(情報通信技術)環境の整備拡充などを盛り込んだ総額26兆円規模の総合経済対策を閣議決定した。
最大の目的は、
「全学年の児童生徒1人ひとりがそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指す」
ということである。
その予算総額 26兆円(全部が教育用PCではありません)
この降って湧いたような特需であらたな利権が生まれそうですが、今回のブログでは、取り上げません。
※この利権については、別の機会でブログにまとめると思います。
国内のパソコンメーカーは、ここがチャンスとばかり 営業を仕掛けると思いますが、どうも そう簡単にはいかないようです。
限られた予算
総額26兆円規模の総合経済対策は、もちろん一年間で実施されるものではない。
また、1人1台の環境を整備する目標時期は2023年度とされています。
参考までに小中学生の数は
2019年3月時点の児童数は約930万人で現在のPC台数は160万台
文部科学省
PC整備の予算額は、2019年度補正予算と2020年度当初予算を合わせた「15カ月予算」で2000億円規模となると推測されている。
※正式決定ではなく あくまでも予測の範囲です。
つまりこの2000億円規模でPCで購入となると 中学校と小学校高学年を中心に400万台を導入となると
PCの単価は5万円程度となります。
また、文部科学省は
「導入するPCは1台5万円前後かそれ以下の価格を想定している」
(初等中等教育局情報教育・外国語教育課)
という意見もあり、5万円以下のパソコンとなりそうです。
国内メーカーのパソコンは、10万円
現在、国内の教育用PCの相場はWindowsを搭載した製品で10万円前後となり、明らかに予算オーバーとなります。
ここでいう教育用PCというのは、Windowsのタブレット型PCになっています。
政府の想定を満たすためのPCが、国内メーカーでは準備できていない。
というわけです。
iPadの安いやつでいいじゃない・・・
というご意見もありますが、
低学年のこどもが使うには、iPadは、落下したらガラスが割れてしまうという問題があります。
また、WindowsやiPodなども、アップデートやメンテナンスが必要ということもあるのです。
米国の教育現場
米国の教育現場では、Googleの「Chrome OS」を搭載したノートPC「Chromebook」が、教育現場で5割を超えるシェアを確保しています。
なにより丈夫、メンテンスがほとんど必要なく、教育アプリケーションもウェブで対応できる。
また、教師が成績などのクラス運営のためのシステムも多く使わえています。
この市場を狙ってMicrosoftやAppleが、攻勢を仕掛けていますが、やはりコストの問題でなかなか厳しい状況です。
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Chromebookで教育市場を狙う
NEC
文教市場に向けたChromebookの新製品を2019年11月に発売
Chromebook Y1
https://jpn.nec.com/products/bizpc/cb/y1/spec.html
日本HP
日本の文教市場に向けてChrome OSとWindowsを搭載した低価格のモデル2シリーズを2020年春に投入しようとしています。
https://jp.ext.hp.com/notebooks/personal/chromebook_x360_12b/
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価格:52,500円 |
レノボ・ジャパン
Lenovo 500e Chromebook
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ASUS
https://www.asus.com/jp/Laptops/Chromebook-Series-Products/
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このように各社からChromebookが発売されています。
現実的なのは、Chromebook
このように教育市場をターゲットに各社が動いています。
会社で仕事をするときは、パソコンが扱えないと仕事にならない場合が多いわけで学校での教育も必要になるでしょう。
そのためにもタブレットだけではだめで、キーボードは必須となるでしょう。
5万円以下という制限で現実的なのは、Chromebookになりそうです。
しかし初期費用度外視で5万円以下のWindowsで勝負してくるメーカーもあるかも知れません
※メンテナンスとソフトウェアで回収できるかどうか微妙ですが・・・
また、とにかくPCを一人一台と言っても、故障もあれば、トラブルもあるでしょう。
そのコストはどうするのか?
5年程度経過したら買い替えもあるだろうし、その予算も計算しているのか?
乗り越えるハードルは、メーカーだけではなく政府側、学校側も大きいと思います。
そして現場は、対応できるのでしょう?
いろいろと問題が起きそうです。
人材不足
2020年度から学校で小中学校でのプログラミング教育の必修化されます。
プログラムと言っても言語を習得するわけではなく、プログラムの概念を勉強することになりそうですが、きちんと教えられる教員がいるでしょうか?
また、PCの導入となると専門の知識も必要になります。
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まとめ
「日本の教育現場での一人一台のPC導入」
という方針が決まりそうです。
これに乗じて 新たな利権構造が生まれ、使い物にならない機材が導入、せっかく購入したパソコンが、教室の隅に追いやられないことを願っています。
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