「沈まぬ太陽」という映画ご存知ですか?
渡辺謙主演で3時間を超える超大作、途中でトイレ休憩がありました。
JALのお話をベースにした見ごたえのある映画です。
物語と同じようにJALは、放漫経営のツケで倒産することになったのですが、そのJALの再建計画が
今回のシステム移行によって事実上終了したということになります。
今回のIT小僧の時事放談は、
航空産業も基幹系のクラウドの時代 「JALCOM」「JALPAS/I」を「Altea」に完全移行
と題して、企業のシステムが次々とクラウドに移行しているというお話です。
小難しい話をわかりやすく解説しながらブログにまとめました。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
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目次
半世紀動いていたシステム
日本航空(JAL)のシステムの基幹システムは、大きく分けて2つあります。
- 予約・発券システム「JALCOM」
- 国際線のチェックインシステム「JALPAS/I」
このシステムは、IBMのメインフレーム上で50年間稼働していたという、ツワモノです。
システムは、今回、元のシステムのリニューアルではなく
アマデウスITグループ(スペイン)(Amadeus IT Group,S.A.,)のクラウドサービス「Altea」に切り替えということになりました。
半世紀近く前のシステムが、ここまで動いてきたことも驚くのですが、それを完全に捨て去り、クラウドサービスに業務を合わせうという判断は、システム屋からすれば、まっとうな判断だと思っています。
スケジュール
2010年
会社更生法申請後 旅客系基幹システムの刷新を決める。
2011年4月~
「SAKURAプロジェクト」と呼ぶシステム刷新プロジェクト開始
SAKURAプロジェクト参加企業
JAL
アマデウス
JALインフォテック(JIT)(JALのシステム子会社)
三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)
2017年11月
アマデウスITグループ(スペイン)のクラウドサービス「Altea」に切り替え
2019年2月5日、2月26日、3月5日
自社運航便が就航する国内55空港のうち羽田空港を除く54空港についてチェックインシステムの移行を完了
2019年3月11日夜から12日早朝
羽田空港のチェックインシステムの刷新作業を実施、これで完全切り替え完了になりました。
※この原稿を書いている(2019年3月12日)現在、問題なく動作しているようです。
約8年の歳月とかかった費用が約800億円と発表されています。
これだけのシステムを
「ほぼ問題なく切り替えができたのは、凄い」
とIT小僧は、拍手を送りたい。
切り替えの効果
- コストダウン
IBMのメインフレームの費用やシステムの保守費用は、半端ないと思われます。 - 海外の航空会社とのコードシェア提携がスムーズ
- 「インバウンド」がスムーズ
訪日外国人観光客が海外空港から羽田・成田を経由して国内地方空港へスムーズに乗り継げる。 - モバイル搭乗券や顔認証など最新のサービスを迅速に導入可能
クラウド化することによるコストダウンと4つめの「最新のサービスを迅速に導入可能」は、競争が激しい航空業界では、大きな武器となるでしょう。
競争が厳しい航空業界で生き残りるためにシステムの改変は、必然だったようです。
ANAは、どうなの?
全日本空輸(ANA)も2015~16年にアマデウスITグループ(スペイン)の「Altea」に切り替え済み
ただしこちらは、国際線のみの採用になっています。
Altea
アマデウスITグループ(スペイン)のクラウドサービスである「Altea」は、欧州、アジアなどで複数の航空会社が導入している旅客系クラウドサービスです。
アマデウスITグループ([æməˈdeɪʊs aɪ tiː ɡrʊp]: Amadeus IT Group S.A.)は、旅行会社・航空会社などの観光関連企業を顧客に、処理システムや各種ITソリューションを提供する多国籍企業
ウィキペディアより抜粋
Alteaは、正式には
Amadeus Altéa Customer Management System、CMS
主な機能は、4つ
- アルテア予約(Altéa Reservation)
予約、価格設定、チケット管理を単一のインターフェースを介してを提供 - アルテアインベントリ(Altéa Inventory)
フライト・バイ・フライト単位でスケジュールや座席容量管理を提供 - アルテア出発コントロール(Altéa Departure Control)
出発制御システムのソフトウェアパッケージ - アルテア電子商取引(Altéa e-commerce)
航空会社の電子商取引の販売とサポートのためのソフトウェアスイート
新たに開発するのではなく、パッケージ化されたサービスを使うことが主流となる時代、JALの判断は、正しいのではないでしょうか?
システムを自社で再構築しても、コストがかかるだけで、柔軟な対応も難しくなります。
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まとめ
半世紀前のシステムが、まだあちこちで動いているもでしょうか?
もしそうだとしたら
「かなり危険なサイン」
古いシステムのためにIoTやAIの導入ができないとすれば、企業とすれば死活問題になるでしょう。 2018年にブログに掲載した記事ですが、2025年は来年です。 最大で年間12兆円もの経済損失があると経済産業省は言っていますが、本当でしょうか? 日本のオフィスでは、 相変わらず EXCELでドキュ ...
これこそが、「2025年の崖」と呼ばれるものと思います。
経済産業省「DXレポート」で記載されている「2025年の崖」というキーワード 崖から落ちる会社多数でることは間違いない
「沈まぬ太陽」のエンディングでは、ケニアでみた「太陽」が象徴的です。
JALの再出発は、ここから本当にはじまりそうです。
今回のシステムに関するAltéaのプレリリースページ
JALがITトランスフォーメーションプログラムの加入者として
Altéaと契約する中、アマデウスはアジア太平洋地域で成長を続けています
Amadeus continues growth in Asia Pacific as JAL signs for Altéa as part of IT transformation programme
今回のブログで登場したもの
「沈まぬ太陽」は、映画版もドラマ版もノンフィクションのようでフィクションのような話をよく映像化できたものだと感心します。
映画版では、三浦友和が好演していて印象的
サラリーマン生活 何十年のお父さんならこの話は、心に沁みるはずです。
小説は、全5巻
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映画版は、円盤化されています。
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