楽天モバイルが開業当初から頼ってきた KDDI(au)ネットワークへのローミング契約が、2026年9月30日をもって終了する見通しとなっています。
KDDIの松田浩路社長が「当初の役割は終えた」と公式に発言し、終了を前提とした協議が進行中です。
これは楽天モバイルのユーザー、特に地方・郊外に住む人々や地下鉄、地下街、トンネル、屋内施設で大きな問題となる可能性があります。
本記事では、ローミング終了(可能性)の経緯・影響・対策を詳しく解説します。
そもそも au ローミングとは何か?
ローミング(Roaming)とは、自社ネットワークが届かない地域において、他社の通信ネットワークを借りてサービスを提供する仕組みです。楽天モバイルは2020年春に第4のキャリアとして携帯電話事業に参入した際、全国的に自社基地局を整備するまでの「暫定措置」として、KDDIとローミング協定を締結しました。
この協定により、楽天モバイルのユーザーは楽天自社回線が届かないエリアでも、au の 4G LTE ネットワークを利用してスマートフォンを使うことができました。エリアの空白を埋めるうえで不可欠な仕組みであり、楽天モバイルの全国展開を強力に下支えしてきました。
ローミング終了に至る経緯
| 時期 | 主な出来事 |
| 2019年10月 | KDDI と楽天モバイルがローミング協定を締結、サービス開始 |
| 2020年春 | 楽天モバイル 第4のキャリアとして正式サービス開始 |
| 2021〜2022年 | 都市部・主要県でローミング順次終了、自社回線へ移行 |
| 2023年6月 | 協定を更新・延長。東名阪都市部の繁華街も対象に追加、期限を 2026年9月末まで延長 |
| 2025年4月 | KDDI 松田社長「ローミングを段階的に減らす」と発言 |
| 2026年5月(現在) | 松田社長「当初の役割は終えた。10月以降の協調を協議中」と終了前提を示唆 |
| 2026年9月30日 | ローミング契約 終了予定(現在交渉中) |
現在の au ローミングエリア状況
東京23区・名古屋圏・大阪圏の中心部はすでにローミング対象から外れており、楽天自社回線でカバーされています。しかし全国を見渡すと、まだ多くの地域で au ローミングに頼っているのが実情です。
✅ ローミング終了済み(自社回線に移行)
東京23区、名古屋市中心部、大阪市中心部、その他主要都市の繁華街エリア
⚠️ ローミング継続中(リスクあり)
福岡(博多・天神を含む)、地方都市の郊外・山間部、過疎エリア全般
地下鉄、地下街、トンネル、屋内施設
※2026年3月末まで順次ローミングエリアを縮小・終了する方針
🚨 終了後に圏外リスク大
山間部・農村部・離島など、楽天自社基地局の整備が進んでいないエリア
地下鉄、地下街、トンネル、屋内施設など
楽天モバイルが受ける影響
① サービスエリアの縮小リスク
ローミング終了までに自社基地局の整備が間に合わなかった地域では、2026年10月以降に実質的な圏外エリアが発生する可能性があります。KDDIが「au ネットワークへのトラフィックが想定以上」と認めているほど、楽天ユーザーの多くがいまだ au 網に依存しています。
② ユーザー離れ・解約増加の懸念
楽天モバイルの最大の武器は「低価格」と「どこでもつながる品質」のセットです。エリアが縮小すればユーザーの信頼は損なわれ、競合キャリアへの MNP(番号ポータビリティ)が加速するリスクがあります。せっかく増加してきた契約数が一気に減少する可能性も否定できません。
③ コスト削減と自立化の好機でもある
一方で、ローミングは楽天にとって巨額のコストでもあります。自社回線への完全移行が実現すれば、ローミング費用の削減により収益改善が期待できます。楽天モバイルはこれを「自立化の好機」と捉え、積極的な基地局投資を続けています。
楽天モバイルが打つ対策
📡 プラチナバンド(700MHz 帯)の活用拡大
2024年に取得したプラチナバンドは、障害物を回り込みやすい性質を持ち、地下鉄・屋内・山間部などでの通信品質改善に効果的です。楽天は「つながりやすさを飛躍的に高める鍵」と位置づけ、展開を急いでいます。
🗼 全国基地局の増設・高密度化
地方・郊外エリアを中心に自社 4G/5G 基地局の建設を加速。ローミング終了前にカバレッジを最大化する計画です。ただし、山間部や過疎地での整備スピードには課題が残っています。
🛰️ 衛星通信(Starlink など)との連携検討
基地局整備が困難な離島・山間地については、衛星通信との連携で補完する構想があります。ただし実用化には時間がかかるため、2026年9月末のローミング終了時点で間に合うかは不透明です。
🤝 KDDI との継続協議・新たな協定の可能性
松田社長も「10月以降の協調を協議中」と述べており、完全終了ではなく形を変えた協力関係が続く可能性も残ります。KDDI 側も「povo などで楽天ユーザーを支援したい」と柔軟な姿勢を示しています。
楽天モバイルユーザーが今すぐ取るべき対策
2026年9月末まで3ヶ月以上あります。今のうちに自分の利用エリアを確認し、備えておきましょう。
| STEP | 対策内容 | ポイント |
| 1 | 自分のエリアを確認する | 楽天モバイルの「パートナー回線エリアマップ」で現在 au ローミングに頼っているか確認 |
| 2 | 副回線(デュアル SIM)の準備 | povo(基本料 0 円)や格安 SIM をサブ回線として契約しておくと安心。緊急時の保険に |
| 3 | 2026年前半に再確認する | 楽天の基地局整備進捗を 2026年上半期に再確認し、圏外リスクがあれば早めに MNP を検討 |
| 4 | MNP(乗り換え)を視野に入れる | 地方在住で頻繁に農村・山間部を利用するなら、ドコモ・au・ソフトバンク系 MVNO も選択肢に |
📰 KDDI 松田社長のコメント(2026年5月12日 決算説明会)
「楽天のエリアも全国に広がってきており、当初の役割を終えたのではないか。現在、10月以降にどのような協調ができるか協議している」
「楽天モバイルのお客さんがお困りになるようなら、副回線の形や基本料 0 円の povo などで支援できないか検討している」
まとめ:楽天モバイルは正念場を迎えるか?
2026年9月末の au ローミング終了の可能性は、楽天モバイルにとって独立したキャリアとしての真価が問われる瞬間です。都市部はすでに自社回線でカバーされていますが、地方・郊外・山間部では依然としてローミングに依存しているエリアが多く残っています。
プラチナバンドの展開や基地局増設を急ピッチで進めているものの、ローミング終了までにすべてをカバーできるかは未知数です。ユーザーとしては、今のうちに自分の利用エリアを確認し、副回線の準備や乗り換え検討を早めに行うことが賢明です。
KDDI との交渉次第では何らかの形で協力関係が続く可能性もありますが、あくまで不確定要素です。
今後の動向を注視しながら、柔軟に対応できる体制を整えておきましょう。
📌 参考情報
KDDI 公式「楽天モバイル株式会社サービスへのローミング提供について」/ ITmedia Mobile/ ASCII.jp(各社公開情報をもとに作成)