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IT小僧の時事放談

中国がNVIDIA「H200」を実質遮断へ:輸出規制の新局面と“レアアース報復”の現実

2026年1月16日

中国をめぐる貿易・技術摩擦は「関税」だけでなく、半導体や素材の**輸出規制(輸出管理)**として毎日のように形を変えています。

象徴的なのが、米国がNVIDIAの高性能AIチップ「H200」を“条件付きで輸出承認”した直後に、中国側で税関当局が「H200は通さない」と指示したと報じられた件です。

本記事では、米国・欧州・日本の最新の対中規制と、中国側の対抗(レアアース等の輸出管理強化)を整理し、電子機器サプライチェーンが今後どう揺れるのかを深掘りします。

対中輸出規制の最新:チップをめぐる“承認”と“遮断”が同時に進む

いま何が起きたのか:H200「条件付きOK」→中国税関「入れない」

2026年1月、中国税関当局が現場の税関職員に対し「NVIDIA H200は中国に入れてはならない」と指示し、さらに国内テック企業に「不要不急の購入を避けるよう」求めた――と Reuters が報じました。
重要なのは、この動きが米国側の“条件付き輸出承認”とほぼ同時に出ている点です。米国はH200の対中輸出を完全に解禁したわけではなく、第三者機関での検証など安全条件を付けた上で、一定範囲の輸出に道を残す形をとりました。

つまり、現場で起きているのは「米国は条件付きで出す、中国は入れない」というねじれです。ここに、2026年の“輸出規制戦争”の特徴が凝縮されています。

米国の最新スタンス:輸出管理+“関税”で二重に締める

今回のH200をめぐる米国の対応は、単に輸出管理(BIS)だけではありません。Reutersは同じ1月14日に、米国が一定の高性能AIチップに対して25%の関税を課す動きを報じています。
ここで見えるのは、「中国に渡す・渡さない」だけでなく、グローバルに流通する高性能チップの流れそのものを“米国側の管理下”に置く発想です。輸出許可に条件を付け、さらに関税で経路やコストを変える。結果として企業は、設計・製造・検査・出荷の各工程で“政治コスト”を織り込まざるを得なくなります。

そして当然、中国側も“次の一手”を持っています。チップは止められても、中国は素材・部材で影響力を持つからです。


中国側の反撃:レアアース・デュアルユース輸出管理が「日本にも飛び火」

中国の輸出管理が示す“カード”:デュアルユース規制とレアアース

2026年1月上旬、中国は日本向けに「軍事目的のデュアルユース(軍民両用)品輸出を禁止する」と発表し、実務上の影響が出始めていると報じられました。
さらに Reuters は、日本企業向けにレアアースやレアアース磁石の輸出が絞られ始めたとの報道(WSJ報道を引用する形)も伝えています。

ここが大事で、レアアース磁石は「軍事」だけでなく、民生の電子機器やEVモーター、産業用ロボットなどに広く使われます。名目上は軍事用途を狙った規制でも、許認可(輸出ライセンス)の審査が止まるだけで、民生サプライチェーンまで巻き添えになり得ます。

中国国内への影響:輸入規制は“自国産育成”と“交渉材料”の両面

中国がH200を入れない理由は公式には明確でないものの、Reutersは「国内半導体の育成」「交渉上のレバー(譲歩を引き出す材料)」といった見方を紹介しています。
短期的には、中国のAI開発企業は高性能GPUの調達が一段と不安定になり、研究開発やデータセンター投資の計画が立てづらくなります。一方で中国政府の視点では、輸入を絞ることは「国内GPU・国産サプライチェーンへの需要を強制的に作る」政策にもなります。

ただし、ここにはジレンマもあります。最先端AIの学習・推論は計算資源の差が成果の差に直結しやすく、GPU不足は産業競争力に跳ね返ります。だからこそ、報道では「例外(研究開発用途など)を認める余地」も示唆されています。


欧州・日本はどう動く?:表に出にくい“輸出管理の現実”

欧州:デュアルユース規制を“経済安全保障”の道具に

欧州は米国ほど派手に「中国を名指し」しないことも多いですが、輸出管理(デュアルユース規制)を経済安全保障の中核ツールとして位置付ける流れが強まっています。欧州議会調査サービスのブリーフィングも、デュアルユース輸出管理をEUの経済安全保障の一部として整理しています。
半導体製造装置、先端材料、EDA(設計)関連、計測・検査機器などは“民生にも軍事にも転用可能”になりやすく、EUはこの領域で、許認可の運用強化や加盟国間の調整を進める方向にあります。

日本:対中規制は「半導体装置」だけで終わらない

日本は半導体製造装置の重要プレイヤーです。報道でも「中国が日本に対しデュアルユース規制を強化し、レアアース面でも圧力をかけ始めた」ことが示されています。
ここから先、日本の製造業が直面する現実は2つあります。

1つは、装置・部材・ソフト更新(保守)まで含めた“サービス面”が輸出管理の焦点になりやすいこと。モノを売るだけでなく、運用保守や部品供給の可否が生産性に直撃します。
もう1つは、レアアースや磁石など「中国依存が高い部材」の不確実性が、EV・電子機器・産業機械に連鎖することです。


これからどうなる?:電子機器・レアアースをめぐる3つのシナリオ

シナリオA:チップは“条件付きで細く”、素材は“許認可で揺さぶる”

米国は「完全遮断」ではなく、条件付き許可や数量管理で中国の計算資源を抑える。一方の中国は、レアアースやデュアルユース許可の運用を厳格化し、相手国企業の不安を高める。今回のH200をめぐる「承認と遮断の同時進行」は、まさにこの形です。

シナリオB:規制が“第三国”に波及し、サプライチェーンが複雑化

輸出規制は直輸出だけでなく、再輸出・迂回(第三国経由)も問題になります。米国が第三者検証などを条件にしたのは、まさに“抜け道”を塞ぐ意図があると読めます。
企業側は調達先の分散や在庫積み増し、設計変更(代替素材・代替部品)で対応するため、短期的にはコスト高になりやすいです。

シナリオC:交渉で一時緩和→再燃を繰り返す

輸出管理は「安全保障」だけでなく「交渉のレバー」としても機能します。Reutersも、中国側の動機が交渉材料である可能性に触れています。
そのため、政治イベントや首脳会談などを節目に“緩む/締まる”が繰り返され、企業は長期計画が立てづらい状態が続く可能性があります。


まとめ:2026年は「GPU」と「素材」の両輪で揺れる年になる

H200をめぐる一連の動きは、半導体規制が「米国が止める/中国が守る」という単純な構図から、条件付き輸出・税関運用・関税・素材許認可を組み合わせた“複合戦”へ移行したことを示しています。
電子機器メーカーにとっては、GPU調達だけでなく、レアアース磁石や重要素材の許認可が製品供給を左右し得る。

だからこそ、調達多元化・代替設計・在庫戦略・コンプライアンス強化が、従来以上に経営課題になります。

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