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IT小僧の時事放談

フォートナイトがGoogle Playに帰ってきた!Epic vs Google の裁判と復帰の背景をわかりやすく解説

2025年12月、Epic Games の人気バトルロイヤルゲーム Fortnite(フォートナイト)が米国の Google Play ストアに公式に復帰 したという驚きのニュースが飛び込んできました。

約5年に及ぶ Apple や Google との法廷闘争の末に実現したこの復帰は、モバイルゲーム業界にとっても大きなターニングポイントと言えるでしょう。

本記事では、Epic Games がなぜ Apple や Google を相手に戦い、どのような経緯で Fortnite が復帰に至ったのか、そして 日本での実装見通し についてもわかりやすく解説します。
TechCrunch+1

Epic Games と Fortnite

Epic Games は Unreal Engine で知られる米国のゲーム会社で、その代表作である Fortnite Battle Royale は世界的な人気を博しています。Epic は2020年代初頭、モバイルアプリ内購入の手数料を回避するために 独自の決済システムを Fortnite に実装 しました。これは Apple や Google のストア側の決済システムをバイパスするもので、両社の規約に違反していたため、Fortnite は公式ストアから削除されることになりました。ウィキペディア+1

この出来事がきっかけとなり、Epic Games は Apple と Google のそれぞれを相手に 反トラスト(独占禁止)訴訟を起こすことになります。 Epic の主張は、プラットフォーム側が開発者に対して不当な制約や手数料を課しているというもので、多くの注目を集めました。ウィキペディア


Apple との訴訟と経過

Epic は Apple に対して iOS の App Store での取引と配信の仕組みが独占的だとして訴訟を提起しました。この訴訟では、Epic は Apple に対して支払い方法やストアの独自性を緩和するよう求めたものの、いくつかの判決では Apple が勝利しつつも一部の制限緩和を命じられる 形となりました。例えば、裁判所は Apple に対してアプリ内で外部決済へのリンクを認めるよう命じたものの、Apple はそれに条件を付けて新たな制限を導入しました。この一連の争いが2025年まで続き、一部の条件に関しては控訴裁判所で修正が加えられるなどの法的な攻防がありました。Reuters+1

結果として、Fortnite は iOS 上でも復帰するに至りましたが、Apple の支払いシステムや手数料に関する問題は今も解決途上です。ポケットゲームビズ


Google との訴訟と Play ストアへの復帰

一方で、Epic は Google に対しても同様の訴訟を仕掛けました。こちらは Android のプラットフォームでの独自ストアや決済システムの制限に関するもので、2023年に下された裁判では Google のアプリストア運営は反競争的であるという判決が下されました。ウィキペディア

その後、裁判所は Google に対して代替アプリストアへのアクセスや、Play ストアでの Fortnite の再配信を可能にする命令を出しました。そして 2025年12月、Google はこの裁判所の命令に従って Fortnite を米国の Google Play ストアに正式に復帰させました。X (formerly Twitter)+1

Epic の CEO Tim Sweeney はこの復帰を「Android におけるオープンプラットフォームの勝利」と称賛し、Google の対応を歓迎するコメントを出しています。TechCrunch


Apple と Google の違い:戦いの地平

この2社の違いは、プラットフォーム設計にあります。Apple は 1つの公式ストア(App Store)でのみ配信を許可 し、決済も独自システムを強制する傾向があります。一方で、Android はもともと サードパーティストアやサイドロード(外部からのインストール)を許容 するオープンな設計であるため、Epic はこの点を利用して早くから戦略を進めていました。ウィキペディア


日本ではどうなるのか?

現時点での米国における復帰は アメリカ限定 です。日本やその他の地域向けの Google Play ストアで Fortnite が正式に復帰する時期については、公式な発表はまだありません。プラットフォームごとの法律や規制が異なるため、日本での配信再開には時間がかかる可能性があります。Epic 側は引き続き世界各国での展開や法的状況の動向を注視していると見られます。携帯総合研究所

ただし、Android では既にサードパーティストアや公式サイトからのダウンロードで Fortnite を遊べる状態は続いており、今回の Play ストア復帰により より安全でアクセスしやすい公式配信が進む可能性が高まっています。携帯総合研究所

日本で施行された「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(スマホソフトウェア競争促進法/スマホ法)」の影響で、日本においてApp Storeの代替アプリストアやサードパーティー決済システムが利用できるようになりました。関連する手数料も減額されたのですが、この手数料の規定が引き続き競争を阻害するものであることには変わらないとして、人気ゲーム「フォートナイト」を開発するEpic Gamesのティム・スウィーニーCEOが抗議しました。

"Imagine if Microsoft did this" — Fortnite has been blocked on iOS once again | Windows Central
https://www.windowscentral.com/gaming/imagine-if-microsoft-did-this-fortnite-has-been-blocked-on-ios-in-japan-specifically-by-apple-leveraging-new-junk-fees

AppleはApp Storeでアプリを配布する開発者に手数料を課して利益を得ていますが、手数料の価格設定と外部システムの利用を認めない方針は反競争的だと非難されることもあります。特にスウィーニーCEOは長年にわたり法的闘争を挑んでおり、外部の決済システムを認めさせるなど幾度か勝利を収めていました。

スウィーニーCEOはAppleに対する抗議のため「フォートナイト」のiOS向け配信を停止していますが、スマホ法が理想的なものであれば日本で再配信する予定だったそうです。ところが、スマホ法がスウィーニーCEOの意図しない内容だったため、フォートナイトは引き続き配信されることはないそうです。

スウィーニーCEOはAppleに対する抗議のため「フォートナイト」のiOS向け配信を停止していますが、スマホ法が理想的なものであれば日本で再配信する予定だったそうです。ところが、スマホ法がスウィーニーCEOの意図しない内容だったため、フォートナイトは引き続き配信されることはないそうです。

続きはこちらから👇

日本のスマホ新法でも「Appleが最大21%のジャンク手数料を課している」としてフォートナイトは日本のiOSに復帰せず - GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20251219-epic-apple-japan-fortnite/


まとめ:フォートナイト復帰の意義

Fortnite の Google Play ストア復帰は、単なるゲーム配信再開以上の意味を持ちます。これは プラットフォーム側の強い力に対して、開発者が法的な抗議を通じて新たな道を切り開いた象徴的な出来事 です。

Epic Games の戦いは Apple との訴訟も含めてモバイルタイトなエコシステムに大きな影響を与えており、今後もモバイルアプリ配信のあり方に変化をもたらす可能性があります。TechCrunch

資料:フォートナイト訴訟に見る「計算された戦略」

Epic Games が Apple と Google に対して起こした一連の訴訟は、単なる手数料不満ではありません。
その戦いは、事前に準備された長期戦略であり、フォートナイトはそのための「起爆装置」でした。

ここでは、Epic がどのような戦略思想を持ち、どのタイミングで何を仕掛けてきたのかを、年表とともに解説します。


Epicの根本戦略:「裁判で勝つ」より「構造を変える」

Epic のCEO ティム・スウィーニーは一貫して、
「30%手数料が問題なのではない。プラットフォームが競争を封じている構造が問題だ」
と主張してきました。

Epic の戦略は以下の3点に集約されます。

  1. 意図的に規約違反を起こし、排除される

  2. 排除を独占の証拠として訴訟を起こす

  3. 司法・世論・立法を同時に動かす

この三位一体の動きが、他の開発者とは決定的に違う点です。


年表で見る Epic vs Apple / Google 訴訟戦略

2018–2019年:布石フェーズ(直接対決前)

Epic はすでにこの段階で、Apple と Google のエコシステムを「閉鎖的」と公に批判し始めていました。
同時に、PC(Epic Games Store)では Steam に対抗し 手数料12% という低率モデルを打ち出します。

これは後の訴訟で
「30%が業界標準ではない」
と主張するための実績作りでした。


2020年8月:意図的な規約違反と即時提訴

Epic は Fortnite に 独自決済(Apple/Googleを通さない) を突然実装します。
これは明確な規約違反であり、Epic 自身も削除されることを承知していました。

実際、数時間以内に

  • Apple:App Store から削除

  • Google:Google Play から削除

という結果になります。

重要なのはその直後です。
Epic は 事前に用意していた訴状を即日提出 し、さらに Apple を揶揄する有名なパロディ動画
「Nineteen Eighty-Fortnite」
を公開します。

👉 これは法廷闘争と世論戦を同時に始めるための、完全に計算された動きでした。


2021年:Apple裁判(勝敗より「一部突破」を狙う)

米国で行われた Epic vs Apple の裁判では、
独占そのものについては Apple が有利な判断を得ました。

しかし Epic はここで 決定的に重要な一点 を勝ち取ります。

裁判所は Apple に対し、
アプリ内で外部決済へのリンクを禁止してはならない
と命じました。

Epic にとってこれは
「完全勝利ではないが、壁に亀裂を入れた」
状態でした。


2022–2023年:Google裁判での“本命勝負”

Epic は Apple よりも Googleの方が法的に脆い と見ていました。
理由は、Android が本来「オープン」を掲げているからです。

結果として 2023年、陪審は
Google Play の運営が反競争的である
と判断します。

ここで Epic は初めて、
「巨大プラットフォームの独占を司法が明確に認定」
させることに成功しました。


2024–2025年:判決を「現実」に変えるフェーズ

判決後も Google は制限を続けましたが、
2025年、控訴審が一部制限を差し戻し、
Fortnite を Google Play に戻すことを事実上認める判断 が出ます。

これを受けて
「Fortnite is back on the Google Play Store in the U.S」
という公式発表が行われました。

Epic にとってこれは
「象徴的勝利」
であり、Android のエコシステムにおける前例となりました。


Epicの戦略が異例だった理由

Epic の行動が特異なのは、以下の点です。

  • 事前に敗北リスクを織り込んでいた

  • 規約違反すら戦略に組み込んでいた

  • 裁判だけでなく、世論・立法(EU DMAなど)と連動させた

多くの企業が「排除されないよう交渉」する中、
Epic は 「排除されること」自体を武器にした のです。


Appleとの現在地:戦いは終わっていない

Apple との関係は、いまだ緊張状態にあります。
Fortnite は一部地域を除き iOS では完全復帰しておらず、
Apple は外部決済リンクに新たな手数料や条件を課しています。

Epic は今後も

  • EU(DMA)

  • 各国の競争当局

  • 新たな民事訴訟

を通じて、長期的に圧力をかけ続ける戦略 を取ると見られています。

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