私たちの生活の裏側で支えている、電力、通信、水道、交通などの「インフラ」は、いま“静かな危機”にさらされている。
1950〜70年代に敷設されたものを含め、多くのインフラ設備は老朽化し、そのまま使われ続けてきた。しかし最近、AI を武器にする攻撃者たちが“古い機器の弱点”を効率よく見つけ出し、狙いを定めるようになっている。まさに「時代錯誤のシステム」が、最先端の脅威にさらされているのだ。
この記事では、なぜ「老朽化インフラ × AI時代」が危険なのかをわかりやすく分析し、どのような分野に特に注意が必要か、そして私たちや社会はどんな備えをすべきかを考える。
目次
“老朽化インフラ”は、今改めて危機とされるのか
一昔前のインフラ設備――ルーター、ネットワークスイッチ、送電制御装置、水道管理システム、交通信号の制御機器など――は、いずれも「かつては当時の安全基準で十分だった」ものだ。だが、年月を経て多くはベンダーのサポート期限を迎え、ソフトウェアの更新やセキュリティパッチが提供されなくなる「EoL(End of Life/使用期限切れ)」状態となっている。(turn0search1)
こうした古い機器をそのまま使い続けること、それは目に見えにくい“技術的負債(technical debt)”を抱え込むことに他ならず、実際、多くの重要インフラでそうした状況が放置されてきた。(turn0search2)
近年、この“老朽化の穴”が一段と危険になっている。なぜなら、生成AIなどの進化によって、攻撃者が脆弱性の探索や悪用をこれまで以上に容易にできるようになったからだ。ある旧ネットワーク機器について、生成AIを用いたツールで脆弱性スキャンをかけると数分で多数の弱点が検出できる、という報告もあるという。(turn0search1)
つまり、かつて「古くても動くなら問題ない」とされていたインフラが、今では“狙われやすい弱点”としてむしろ目立つ標的になっているのだ。
どのインフラが特に危ないか ― 電力網、水道、交通、通信……幅広く
実際、老朽化インフラのうち特に懸念されているのは、電力網・エネルギーインフラだ。米国の報告によると、送電網や発電所などの設備の多くが設計寿命を過ぎており、かつては物理的な劣化が中心だったリスクに、サイバー攻撃の脅威が加わっている。(turn0search3)
また、水道、上下水処理、輸送システムなども同様に、もともとはネットワーク接続など想定されていなかった設計だったため、後付けでスマート化された際に十分なセキュリティ対策がされず、“デジタル接続された古い機器”というハイブリッド構造になっていることが多い。(turn0search9)
これらはただの“ネットワーク機器”ではなく、社会のライフラインそのもの。もし攻撃者が侵入を果たせば、停電、水道汚染、交通麻痺、病院停止など、広範囲で深刻な被害につながりかねない。(turn0search24)
AI時代におけるリスクの“拡大メカニズム”
AIの登場がなぜ、レガシーインフラの脆弱性をより危険にしているのか。主な理由は以下の通りだ:
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探索と自動化のスピード:従来、脆弱性探査や悪用は熟練ハッカーの手作業や経験に頼る部分が多かった。しかし生成AIを使えば、数分〜数時間で潜在的な脆弱性のリストアップ、エクスプロイトコード生成、攻撃手順の設計が可能。結果として、攻撃の敷居が格段に下がる。(turn0search1)
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自動化攻撃の広がり:たとえば、数千台の古いネットワーク機器をまとめてスキャン/攻撃し、DDoS攻撃やマルウェア感染を同時に引き起こす──こうした大規模/大量攻撃が、AI × レガシー機器の組み合わせで現実味を帯びてきている。(turn0academia23)
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IoT/スマート化による接続拡大:電力網や上下水道、交通システムなど、これまではスタンドアロンだった制御系システムに、IoTセンサーやクラウド接続が導入され、“見える化・遠隔制御”されるようになった。その結果、攻撃面が大きく広がり、旧式装置が“外部に露出した古い箱”になってしまっている。(turn0search9)
つまり、技術が進んだ今、「古くて脆弱 = 危険」という構造は、むしろ以前よりも明白になってきている。
なぜ更新されないのか ― コスト、管理、認識のギャップ
それでも多くのインフラで古いシステムが残り続けているのはなぜか。それには複数の要因がある。
まず コスト。古い設備や制御システムを更新・置き換えるには、多大な初期投資が必要になる。特に自治体運営の水道や交通、また老舗企業が使う古いネットワークなどでは、予算の都合上、後回しになりやすい。
次に、**「とりあえず動いているから」**という安易な判断。目立ったトラブルがなければ放置、という心理が働きやすい。しかし、この「動いている安心」は最も危険な状態だ。なぜなら、既知の脆弱性を攻撃者に提供し続けることになるからだ。
さらに、セキュリティ意識と制度のギャップ。多くの国・自治体・企業では、重要インフラのサイバーセキュリティ対策が後手に回っており、老朽化やレガシー機器の管理・把握すら十分でないケースが少なくない。これは、国家レベルでの技術的負債への危機感が十分浸透していないことを示している。(turn0search2)
どうすべきか ― 更新と防御のために求められる対応
ここを読んでいるあなたにできることは小さいが、社会全体としては次のような対応が必要だ:
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レガシー機器の棚卸と更新/廃止:古いルーター、交換機、制御機器が稼働しているなら、その機器が「サポート終了済み」「パッチ未適用」かをまず調べる。もし該当するなら、なるべく早く代替機器に移行する。
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ネットワークの分離・セグメンテーション:特に制御系ネットワーク(電力、水道、交通など)は、インターネットや企業ネットワークから分離。アクセス制御・認証強化・ファイアウォール設計等を徹底。
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パッチとアップデートの厳格管理:OS、ファームウェア、ソフトウェアなどのアップデートを定期的に実施。特に脆弱性情報やセキュリティ勧告には敏感になること。
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リスク評価と冗長性設計:もし一部システムが侵害されても、すぐに全体が止まらないよう「フェイルセーフ」「バックアップ」「代替手段」を設ける。
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監視体制の整備:ログの取得、異常検知、インシデント対応計画の策定、担当者の教育など、サイバーセキュリティを「運用の当たり前」に組み込む。
また、政策・規制の観点からは、国や自治体が「重要インフラのレガシー機器更新」を支援する補助金、規制の義務化、セキュリティ基準の見直しなどに取り組む必要がある。
技術の進歩は「安心」ではなく、「責任」を伴う
AIや IoT、クラウド、スマート化──便利さをもたらす技術の進歩は確かに目覚ましい。だが、その一方で、私たちの社会基盤を支える「インフラ」は、古びたまま、あるいは設計当時の想定を超えた使われ方を強いられている。
老朽化したインフラは、単に“古い”というだけでなく、**“未来の脅威に対して無防備な穴”**である。今のまま放置すれば、AI × サイバー攻撃 × レガシー機器、という最悪の組み合わせが、思わぬ形で社会を揺るがす可能性がある。
この危機を避けるためには、ただ「技術を使う」だけでなく、「インフラを守る」「更新する」「設計を見直す」という“責任ある選択”が求められている。
私たちの明日を支えるのは、華やかな最新技術だけではない。
見えにくい裏側こそ、j重要だと思います。
ひとりごと
日本のインフラも機器が叫ばれている。
上下水道の老朽化は、埼玉県の道路陥没事故をみてもあきらかだ。
問題は、インフラに使えるカネがない。
予算も「優先すべきでない カネを射水のように使っている自治体や政府」そして補助金に群がる連中がたくさんいること
そして、
「現場の職人さんや工事をしている人を安くこき使う 中間マージンをかすめ取っている連中が多い」
かつて、現場の人間に高額な給与を払っていた日本は経済成長を続けていたわけですが、仲介しているだけでカネがもらえる連中が増えたため
「実際に働いている人にカネがケチるシステム」
を崩さないと解決されない。
結局、安く使える外国人を大量に入れることで対応しようとしているのが今の日本の状態
そのため、インフラが崩れ始めている。
これは、インフラだけではない。
システム開発現場も同様に昔から多重派遣で中間マージンを取っている企業が多かった。
日本のテック企業が落ち込んだのは、すべて ここにあるのです。
天才的な人材なら多額なカネを払い その周りを優秀な人材を固めてサポートする。
少なくてもこのようなシステムにならない限り 日本のIT産業は、低迷が続く