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IT小僧の部屋

バロースのCANDE(キャンデ)は、神レベルの開発環境だった。 シリーズ~プログラマーに歴史あり 第二話

2022年12月24日

 

前回のお話

「キーボードなど触ったことのない文系大学出身の男が、コンピュータ業界に入社、いきなり客先で仕事をしていた話」
と題してIT小僧が36年前にコンピュータ業界に入った話について語りました。

今回は、はじめて触ったコンピュータが、当時、最先端だった。
というお話です。

今回のIT小僧の部屋
バロースのCANDE(キャンデ)は、神レベルの開発環境だった。 シリーズ~プログラマーに歴史あり 第二話
と題してバロースコンピュータのことを記憶の奥底から呼び出してお話します。
35年以上前のことなので 間違って記憶していることもあると思いますがご容赦願います。

それでは、世界最先端のバロース(Burroughs Corporation)の世界を探検してみましょう。

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幸運なコンピュータ屋

バロースでコンピュータの世界に入ったIT小僧は幸運だったと思っている。

入社した全商コンピュータは、B6700というバロース社の汎用機(メインフレーム)という大型コンピュータを持っているソフトウェア企業としてかなり優良企業であった。

なにしろメインフレーム(大型汎用機)は、バカ高い 数千万円~億という 当時の上場企業も持っていないところも多かった。
もちろん、レンタルであると思われますが、自社にメインフレームを運営しているソフトウェア会社などほとんどなかったわけです。

全商コンピュータは、商品先物取引企業のカネツ商事の子会社で「これからの時代はコンピュータ」と考えた上層部が 昭和44年05月(1969年)にたちあげたソフトウェア企業である。

東京工業品商品取引所という当時、世界一の金取引を行っていた取引所のコンピュータ業務を一手に引き受けていました。

また、自社のコンピュータを持たない企業の多くは、全商コンピュータに給与計算とか経理などのコンピュータ処理を引き受けていました。

そんな企業の大卒一期生として入社したのです。


バロース(Burroughs Corporation)

バロース社 (Burroughs Corporation) は、アメリカ合衆国の計算機・コンピュータ企業。1886年、アメリカン・アリスモメータとして創業。1986年に同じくアメリカの企業であったスペリーを買収・合併し、ユニシスとなった。当初は機械式加算機(英語版)を製造から始まり、その後プログラム可能な帳簿作成機を製造、さらにコンピュータへと移行した。メインフレーム製造のかたわら、タイプライターやプリンターも製造していた。
ウィキペディア

正直、バロース社なんて聞いたことはありませんでした。
IBM、NEC、UNIVAC、富士通、日立とかのほうが有名だったと思います。

しかし、このバロース社は、米国で潜水艦に搭載さえrていたとか、月に行ったとか 本当かどうかわかりませんが、米国では、IBMに次ぐ(と言っても大きく離されていたけど)コンピュータメーカーである。

IT小僧より先輩方は、高千穂バロース1973年 設立)の方が馴染みのある名前だと思います。

このバロースのメインフレームが、当時としては画期的だったのを知るのは、転職後に他社のメインフレームを使ってから知りました。

特にキャンデと呼ばれる端末総合環境は、素晴らしいものがあった。

システム キャンデ(CANDE)

キャンデとは、バロースのメインフレームに付属する端末統合環境でプログラム、コンパイル、実行環境を実現したものです。
(間違っていたらご指摘願います)

英語名では、
Command AND Edit," the program development environment
略して CANDE(キャンデ)と呼ばれています。

何よりすごいのがオペレーションの柔軟さ

-----------------------------------
00001 IDENTIFICATION DIVISION.
00002 PROGRAM-ID. B009D11
00003 CONFIGURATION SECTION.

00020 PROCEDURE DIVISION.
00021 MAIN
00022 SUBTRACT WORK-NUM FROM WORK-SUM.
00023
00024 STOP RUN.
-----------------------------------
とプログラム画面であたっとして このプログラムを格納(セーブ)するときは

-----------------------------------
00001 IDENTIFICATION DIVISION.
00002 PROGRAM-ID. B009D11
00003 CONFIGURATION SECTION.

00020 PROCEDURE DIVISION.
00021 MAIN
00022 SUBTRACT WORK-NUM FROM WORK-SUM.
SA023
00024 STOP RUN.
-----------------------------------

SA(SAVE)というコマンドを画面の左側に記載すれば、プログラムが格納されます。
ファンクションキーとか押してからなどというワンクッションはありません。

SA AS B0079 と入力すると 現在のファイル名を別のファイルとして格納できます。

呼び出すときは、

GET B0079 で読み込むことができます。

コンパイルは、

C AS XXXXいうコマンドでコンパイルが実行されます。

このようにファンクションキーなどを押さなくても画面の左端でコマンドを入力することで
ファイルの呼び出し、格納、コンパイルなどを実行できます。

また、CUT & COPYも簡単に実施できるという、当時の他社の端末環境から比べるとかなり先を進んでいる環境でした。

参考までにIBM系では、ファンクションキーやコンパイルもJCLというひと目見てわけのわからないものを一々入力しなければなにもできませんでした。

OSが高級言語

またバロースのメインフレームは、OSが高級言語(ALGOL派生型)で書かれています。
IT小僧が使っていた B6900シリーズは、構造化言語 WFL(Work Flow Language)が搭載されていて 他社が、JCLなどの低レベルのアセンブラのようなコマンドのようなバッチ処理手順を書いていた時代に、高級言語でバッチ処理などを記載することができていました。

引数を持つサブルーチン(プロシージャーおよび関数)

このWFLは、かなり柔軟な言語で、他社のメインフレームでJCL(Job Control Language (JCL) をみたときに

「なんて 古典なものを使っているんだ・・・」

JCLの例(まるでアセンブラー)

こちらが、WFL
WFL(Work Flow Language)

この時代に CASE文

Work Flow Languageは、リンク先に記載されています。(英語)

 

いつでも使える環境

オンワード樫山に話を戻そう。

オンワード樫山に設置されていたバロースのメインフレームは、B6900 x 2 B7?001台の計3台ありました。

また、支店には、B1900というスモールと呼ばれるメインフレームが存在していました。

正直、全商コンピュータのマシンを時間制限ありで使っていた同期と違い、ほぼ自由にメインフレームを使っていたIT小僧は非常に恵まれていました。
しかし、先輩方の中で コンピュータなどまったくの初心者のIT小僧は、厳しい日々を過ごしていました。

コーディングシートとテンプレート、大型テープリール、ストックフォームに囲まれながら 悪戦苦闘が続きます。

まとめ

バロースのメインフレームは、他社のメインフレームよりかなり先に進んでいるシステムでした。
他社のメインフレームを使ったときは、正直「古くせい」「時代遅れ」と思いました。

また、バロースのメインフレームは、スタックマシンという設計思想も
C言語やアセンブラで仕事を始めてから理解しそして感動しました。

バロースは、自分が関わった数年後にユニバック(現ユニシス)と合併しましたが、いまでもバロースの設計思想は受け継がれているようです。

バロースの話は、もう少し続きます。
次回は、バロースのミディアム、スモール、Aシリーズ、データベースそしてB10というパソコンの話や少しずつコンピュータ屋として一人前になってゆく過程などを話します。

次回 シリーズ~プログラマーに歴史あり お楽しみに

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