Metaは2026年3月18日、ソーシャルVRプラットフォーム「Meta Horizon Worlds」のVRサポートを2026年6月15日をもって終了すると正式に発表しました。2021年に社名まで変えてメタバースに巨額投資を続けてきた同社の戦略転換を象徴する出来事として、世界中に衝撃を与えています。
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終了スケジュールと経緯
Metaは今年2月に「VRとHorizonの役割を明確に分離する」という方針を予告しており、今回の発表はその具体的な実施スケジュールの確定版です。終了は2段階で進みます。
📅 2026年3月24日
Hyperscape Captureの閲覧機能がHorizon Worldsから分離。共有・招待機能が終了。
📅 2026年3月31日 ⚠️ 第1フェーズ
QuestストアからHorizon WorldsとEventsが非表示に。「Horizon Central」「Events Arena」「Kaiju」「Bobber Bay」の主要ワールドがVRで利用不可に。MH+のHorizon限定特典(Metaクレジット・デジタル衣装・アバター等)も削除。
📅 2026年6月15日 🚨 完全終了
Horizon WorldsアプリがQuestから完全削除。全ワールドへのVRアクセスが不可能に。以降はモバイルアプリのみで継続。
📌 経緯メモ:2019年9月に「Facebook Horizon」として発表 → 2020年8月ベータ版スタート → 2021年「Horizon Worlds」に改称、1,000万ドルのクリエイターファンド設立 → 2026年3月VR終了発表
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Meta Horizon Worldsとはどんなサービスか?
Meta Horizon Worldsは、Metaが運営するソーシャルVRプラットフォームです。ユーザーはアバターを通じてバーチャル空間を自由に訪れ、ゲームに参加したり、他のユーザーと交流したり、自分だけのワールドを作成・公開したりできます。
ソーシャルVR空間
カートゥーン風アバターで仮想空間を訪問。ゲーム・イベント・会話を楽しめる
ワールド自作機能
ユーザー自身がゲームや空間を構築・公開できるクリエイターエコシステム
マルチプラットフォーム
Meta Questヘッドセット・スマートフォン・ウェブブラウザから利用可能だった
このサービスはMetaが2021年に社名を「Facebook」から「Meta」に変更した際のメタバース戦略の中核として打ち出されたもので、マーク・ザッカーバーグCEOが描く「メタバース=次世代インターネット」構想のシンボル的存在でした。
Key Facts
2019年
Facebook Horizonとして発表
100万人
MH+アクティブサブスクライバー(2025年)
2,000以上
モバイル向けワールド数(2025年)
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なぜVRサポートを終了するのか?
今回の決定には複数の要因が絡んでいます。
① VR市場の規模的な限界
VRヘッドセット利用者数はスマートフォンユーザーと比べると依然として少数派です。Metaはより大きなモバイル市場への参入を優先し、普及率の高いスマートフォンをメインの接触点と位置づける方針に転換しました。
② AI・ウェアラブルへのリソースシフト
MetaのCTO アンドリュー・ボスワース氏は、Ray-Ban Metaスマートグラスなどウェアラブル製品やAIへの注力を明言。Reality Labs部門から約1,000人の従業員を削減し、複数のVRゲームスタジオも閉鎖しています。
③ プラットフォーム分離戦略
MetaはQuestプラットフォームとHorizon Worldsを明確に分離することで、それぞれが独立した戦略で成長できる体制を構築します。QuestはVR専用プラットフォームとして高品質なゲーム・体験に特化、Worldsはモバイルで大衆市場を狙います。
④ モバイルクリエイターエコシステムの成長
2025年にはモバイル向けワールドが0から2,000以上に増加。クリエイターの中には100万ドル超の収益を達成した事例も出てきており、モバイルのほうがビジネス的に軌道に乗っています。
💬 ユーザーの声:「VRコミュニティを居場所にしていた人たちへの影響が心配」「外出が困難な人々が築いた社会的つながりが失われる」という批判の声も上がっています。
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どのサービスが残るのか?
VRサポートが終了しても、Metaのすべてが終わるわけではありません。以下の表でまとめました。
✅ ポイント:Quest(VRヘッドセット)自体は廃止されません。サードパーティ製VRゲームやアプリは引き続き利用可能。終了するのはHorizon Worldsというサービスのみです。
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今後のVRサービスに未来はあるか?
「メタバースの終焉」と受け取られがちな今回の発表ですが、VRそのものが終わるわけではありません。MetaのVR戦略は以下の方向性で継続します。
VRゲームは継続強化
2025年にVR開発者プログラムへ約1億5,000万ドルを投資。Questストアのゲームカタログは100タイトル超に拡大しており、ゲームプラットフォームとしてのVRは引き続き拡充される。
AIスマートグラスが次の柱
Ray-Ban Metaスマートグラスが好調。AIとウェアラブルを組み合わせた「現実拡張」体験が、MetaにとってVRヘッドセットよりも普及しやすい入口として期待されている。
モバイルHorizonで再出発
モバイル向けワールドは2025年に急増し2,000以上に。Meta Horizon StudioとMeta Horizon Engineで品質・速度も向上。より多くのユーザーへリーチできるモバイルファースト戦略で仕切り直す。
🔭 編集部の見解
今回の決断は「メタバースの失敗」というより、「VRソーシャルプラットフォーム」という特定分野からの撤退と見るべきでしょう。MetaはVRハードウェア(Quest)への投資は続け、ゲームや生産性ツールとしてのVRは維持します。
一方でHorizon Worldsの「仮想空間で人々が集まり暮らす」というビジョンは、VRChatやRobloxなどの競合が引き続き担う構図になりそうです。AI時代において、MetaはVRよりもAIアシスタントやスマートグラスを「次の接点」として位置づけており、今後数年でその答え合わせが行われることになります。
📋 まとめ
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2026年3月31日にQuestストアから削除開始、6月15日に完全終了 - ◆
Horizon WorldsはVRを捨て、モバイル専用プラットフォームとして再出発 - ◆
背景にはAI・ウェアラブルへのシフト、Reality Labs人員削減など事業戦略の大転換 - ◆
Meta QuestとVRゲームは引き続き継続・強化。VR全体の終わりではない - ◆
今後のMetaの「VRの未来」はAIスマートグラスと高品質VRゲームが牽引する見通し
参考元:
・ Meta Community Forums「Updates to Your Meta Quest Experience in 2026」
・ MoguLive「Metaのメタバース『Horizon Worlds』のVR提供を2026年6月終了へ」
・ AUTOMATON「Metaが『Horizon Worlds』VR版のサービスを終了へ」
・ Bloomberg「Meta Discontinues Horizon Worlds for Quest Headsets」
