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今日のAI話

OpenAIがAppleの頭脳を次々と引き抜き!ハードウェア参入の野望とその全貌

2026年3月17日

ChatGPTで世界を席巻したOpenAIが、いまAIの次なるフロンティアとして「ハードウェア」に照準を合わせている。

その尖兵となっているのが、Appleからの大規模な人材引き抜きだ。

ここ数カ月でAppleのハードウェアエンジニアを20人以上獲得したとされ、Apple社内では「深刻な問題」と受け止める声も出ている。

本記事では、この引き抜き劇の背景・当事者・OpenAIの野望を徹底的に解き明かす。

 

OpenAIがAppleから人材を引き抜いている──最新情報まとめ

2025年に入ってから、OpenAIによるApple出身者の採用が急加速している。米有力テックメディア「The Information」や「Bloomberg」などの報道によれば、OpenAIは2025年だけでAppleから20人以上のハードウェア人材を獲得した。前年の2024年は約10人、2023年はほぼゼロだったことを考えると、その急増ぶりは際立っている。

引き抜かれた人材の出身部門は、Appleのほぼあらゆる関連部署に及んでいる。

  • カメラエンジニアリング
  • iPhoneハードウェア設計
  • Macハードウェア
  • シリコン(チップ設計)
  • デバイステスト・信頼性
  • インダストリアルデザイン
  • 製造・サプライチェーン管理
  • オーディオ技術
  • Apple Watch(スマートウォッチ)開発
  • Vision Pro開発
  • ヒューマンファクター(人間工学)

Bloombergのマーク・ガーマン記者は「OpenAIはAppleのハードウェアエンジニアリング部門から片っ端から人材を引き抜いている。その規模は驚くべきものだ」と報告している。Apple社内ではこの状況を「問題視している」という声も聞かれており、緊張関係が高まりつつある。

📌 注目の引き抜き人材
Cyrus Daniel Irani:Apple在籍約15年。ジョニー・アイヴとともにSiriのカラフルな波形アニメーション(iPhone 6Sから使用)を開発した人物。
Matt Theobald:Apple製造設計部門に約17年在籍したベテラン。
Erik de Jong:Apple Watch ハードウェア部門出身のエグゼクティブ。

Appleに不満を持つエンジニアや幹部たち

なぜAppleの優秀な人材がOpenAIへと移籍するのか。その背景には、Apple社内への構造的な不満が見え隠れする。

官僚主義と意思決定の遅さ

OpenAIのハードウェア責任者・タン・タン(Tang Tan)はThe Informationの取材に対し、「OpenAIはAppleよりも自由度が高く、コラボレーションがしやすく、より大きなアイデアに挑戦できる」と語っている。Appleは製品品質を保つため厳格な社内プロセスを持つが、それが「革新のスピード」を阻害していると感じるエンジニアも多いという。

AIシフトへの遅れへの焦り

Appleは2024年に「Apple Intelligence」を発表し、生成AIへの取り組みを本格化させた。しかし同じ時期、MetaやOpenAI、Googleがすでに具体的なAIプロダクトを次々とリリースしていたことを考えると、Appleの動きは「遅すぎる」と映る。AI研究者やソフトウェアエンジニアのMetaへの流出に加え、ハードウェアエンジニアのOpenAIへの移籍も、こうした焦りが一因とされる。

ジョニー・アイヴとの再結集という夢

Appleの元デザイン最高責任者(CDO)であるジョニー・アイヴ(Jony Ive)は2019年にAppleを去り、デザイン事務所「LoveFrom」を設立した。LoveFromはかねてからApple出身の優秀なデザイナーを採用してきた経緯があり、Appleのデザインチームは「人材の回転扉」状態にあった。そして2025年5月、OpenAIがアイヴとタン・タンの共同創業したスタートアップ「io Products」を65億ドル(約1兆円)で買収したことで、「もう一度アイヴやタンと仕事がしたい」と考える元Apple人材に強力な引力が生まれた。

💡 タン・タン(Tang Tan)とは?
Appleに25年在籍し、ハードウェア設計の最前線を走り続けたエンジニア。ジョニー・アイヴのスケッチを大量生産可能な製品へと転換する役割を担い、AppleのCDOであるアイヴと密接に仕事をしてきた。現在はOpenAIのチーフ・ハードウェア・オフィサー(CHO)としてSam Altman CEOに直接報告する立場にある。

OpenAIが進めようとしているプロジェクトと狙い

では、OpenAIはこの莫大な人材と資金を何のために使おうとしているのか。現時点で明らかになっているプロジェクトと、その戦略的な狙いを整理する。

「io Products」の買収が起爆剤

2025年5月のio Products買収は、OpenAIのハードウェア参入における決定的な転換点だった。この買収により、OpenAIは「即席のデザインスタジオ」と「Appleで最も称えられたデザイナーの信頼性」を一挙に手に入れた。アイヴはOpenAIに直接入社せず、LoveFromを独立した形で継続しながら、OpenAIのソフトウェア・ハードウェア両面のビジュアルおよびインタラクションデザインを担う長期パートナーとなっている。

開発中のプロダクト候補

サプライヤーや関係者の証言から、以下のプロダクトアイデアが浮上している。

  • スクリーンなしのスマートスピーカー(最も具体化が進んでいるとされる)
  • スマートグラス(Meta Ray-Banと競合する可能性)
  • デジタルボイスレコーダー
  • ウェアラブルピン型デバイス

Sam Altman CEOは「単一のAIデバイスではなく、製品ラインとして展開する」と社内で語っており、最初の製品が「ウェアラブルではない」とも述べている。初弾の製品ローンチは2026年後半から2027年初頭が目標とされている。

⚠️ 先行事例の失敗から何を学ぶか
OpenAIより前にApple出身者を大量採用してAIウェアラブル「Ai Pin」を開発したスタートアップ「Humane」は、レビューで散々な評価を受け、2025年にわずか1億1600万ドルでHPに売却された。OpenAIがこの教訓をどう活かすかが注目される。

ハードウェアへの本格参入──製造パートナーとサプライチェーン

人材の引き抜きと並行して、OpenAIはAppleが数十年かけて構築したサプライチェーンネットワークにも触手を伸ばしている。

Luxshare(立訊精密)との契約

iPhoneやAirPodsの主要製造委託先として知られる中国企業・Luxshare(ラックスシェア)が、少なくとも1つのOpenAIデバイスの組み立て契約を獲得したとされる。Luxshareはもともとはコネクタメーカーだったが、Appleとの取引を通じて急成長した企業だ。

Goertekへのアプローチ

AirPods・HomePod・Apple Watchのコンポーネントを手がける中国企業・Goertek(ゴエルテク)に対しても、OpenAIはスピーカーモジュールの供給を打診しているとされる。

AppleはこのサプライチェーンをiPhone発売当初から20年以上かけて育て上げてきた。OpenAIはそのインフラを2年足らずで活用しようとしており、「Appleの方程式を丸ごとコピーしてAIに応用しようとしている」との見方もある。

Apple×OpenAIのパートナーシップというジレンマ

皮肉なことに、AppleはiOS・Siriの機能強化のためにOpenAIのモデルを採用しており、両社はビジネスパートナーでもある。Apple Intelligence(2024年〜)ではChatGPTとの連携機能が実装されており、さらなる深化も検討されていると伝えられる。「パートナーが社員と製造業者を引き抜いている」という矛盾した状況がApple幹部を悩ませている。


OpenAIの壮大な野望──ポストスマートフォン時代を狙う

こうした一連の動きは、OpenAIが単なるチャットボット企業を超えた存在になろうとしていることを示している。

「AIのOS」構想

Sam AltmanはかねてからChatGPTを「オペレーティングシステム(OS)のような存在」にしたいと語っている。スマートフォンがiOSやAndroidを中心としたエコシステムを作ったように、AIモデルがあらゆるデバイス・サービスの中核に置かれる世界観だ。

「スクリーンのない」インタラクションへの賭け

最も有力視されているスマートスピーカー型デバイスは、タッチスクリーンではなく音声と環境認識を主なインターフェースとする。これはiPhone以来20年続いてきた「タッチ&スクリーン」パラダイムからの脱却を意味する。成功すれば、「AIネイティブ」な新たなデバイスカテゴリを創出できる可能性がある。

100万台ではなく1億台

Altmanは2025年5月の時点で社内に「最終的に1億台のデバイスを出荷する」という目標を伝えたとされる。これはニッチなガジェットではなく、iPhoneのようなマス市場でのシェア獲得を狙っていることを意味する。

ロボティクスへの展開も?

一部の報道では、OpenAIがヒューマノイドロボットなどのAIアルゴリズム開発に特化した研究者の採用も進めているとされる。Apple出身のハードウェア専門家たちの一部は、必ずしもio関連プロジェクトだけでなく、ロボティクスなど広範な「物理的AIエージェント」分野に従事している可能性もある。

🔍 業界の視点:OpenAIに勝算はあるか?
ハードウェアビジネスはソフトウェアに比べて圧倒的に難易度が高い。Humaneの失敗はその典型例だ。一方でOpenAIには、①世界最高水準のAIモデル、②ジョニー・アイヴとタン・タンという"Apple DNA"、③Appleのサプライチェーンへのアクセスという三つの強みがある。ただし、「20年間慣れ親しんだスクリーン操作をユーザーが手放すか」という最大の課題が残る。

まとめ

OpenAIのApple人材引き抜きは、単なる「ヘッドハンティング」の話ではない。これはAI企業が「ソフトウェアからハードウェアへ」と戦場を拡張する、業界の大転換を象徴する出来事だ。

  • ✅ 2025年だけでAppleから20人以上のハードウェア人材を獲得
  • ✅ 元Appleのジョニー・アイヴ・タン・タンが開発を主導
  • ✅ iPhoneのサプライチェーン(Luxshare・Goertek)を活用
  • ✅ スクリーンなしスマートスピーカーなど複数デバイスを開発中
  • ✅ 2026年後半〜2027年初頭のローンチを目標
  • ✅ 最終目標は「1億台出荷」のマスマーケット製品

ポストスマートフォン時代の覇権を巡る争いはすでに始まっている。OpenAIがHumaneの失敗を乗り越えて新たなデバイスカテゴリを切り開けるか、それとも同じ轍を踏むのか──2026年後半が大きな分水嶺となりそうだ。


参考:ITmedia「Appleの頭脳」を次々と引き抜き iPhoneサプライチェーンも巻き込むOpenAIの野望 / 9to5Mac / Tom's Hardware / The Information / Bloomberg Power On (Mark Gurman)

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