通信大手として長年国内市場を牽引してきた NTTドコモ(docomo) が、2025年度に入ってから業績面で他社と比較して立ち遅れ感を指摘されている。
特に 営業減益予想、競争激化の中で進むとはいえ 通信品質改善の時間軸、そして 銀行・証券などの金融サービスポートフォリオの弱さ が、同社の競争力の源泉となる“成長エンジン”の脆弱さとして浮き彫りになっている。
本記事ではこれら3つの課題を整理し、docomoが2026年に向けて巻き返すための戦略と実現性を公式情報から読み解いていく。
目次
営業減益予想──投資増加局面での構造転換
docomoは2025年度(2026年3月期)でも営業利益が前年より減少すると見込まれている点が注目される。これは モバイル通信サービスの収益が減少する一方で、将来成長を狙った投資が先行しているため だ。公式のIR資料によれば、2025年度は売上高は前年を上回る見込みながら、利益は先行投資や販売促進費の増加で減益となる計画だ。これはスマートライフや企業向けICTなど新規・成長分野の強化投資が反映されたものでもある。NTT
この投資は単なるコストではなく「中期的な収益源の立ち上げ」を狙ったものであり、2026年度以降は利益改善につながるシナリオも描かれている。実際、公式計画では利益は今後上向く方向にあり、2026–2027年度にかけて中期的な成長軌道への転換を目指していることが示唆されている点から、単年での減益が “終着点” ではない可能性が高い。NTT
ただしこれは 競争環境が変わらない前提 の計画でもあるため、楽天モバイル・KDDI・ソフトバンクとの価格競争や各社のサービス戦略の変化次第で試練は続く。
通信品質の改善──3大キャリアに追いつく長期戦
docomoは「通信品質に時間がかかる」との評価があるものの、実際の施策としてはネットワーク強化の投資を加速している。
IR資料では 5G基地局の導入ペース拡大や最新機能の導入を進め、通信品質改善を継続する戦略 が示されている。具体的には、基地局数を大幅に増やし、主要都市や主要路線での通信体感速度の向上が計測されたという発表もある。NTT
こうした改善はすぐに顧客満足度として反映されるものではないが、基地局装備やネットワーク最適化、プロセス改革といった “体質改善” 的な投資は進行している。これは一時的な競争上の不利ではなく、中長期で強靭なネットワーク競争力をつくるための基盤整備といえる。
また、顧客満足度調査の一部では指標が向上している点が示唆されていることから、実際のユーザー体感の改善も徐々に進んでいる可能性がある。NTT
銀行・証券などの未展開──“スマートライフ”で巻き返しへ
docomoが銀行や証券を自前で運営できていない点は確かに他社と比較して弱みとされてきたが、ここにも 戦略的な転換点が見える。公式の中期戦略では、スマートライフ領域の拡大が明確に掲げられており、金融サービスはその中核分野になっている。ドコモ
また、公表資料によれば 銀行や証券との連携・パートナーシップ強化 の動きも出ており、dポイントやCRMデータを活用した金融商品・サービスの開発が進められていることが確認されている。たとえば、銀行と証券の連携によるポイント活用金融商品や投資機能の導入が進行中であり、これがスマホ中心の顧客基盤と結びつけば、従来の “単なる通信事業者” から “生活密着型プラットフォーマー” への変貌を促す可能性がある。SBIGroup
つまりdocomoが銀行や証券の自前展開に遅れを取っている面はあるが、他社と同様の“自前主義” でなく、パートナー連携を深める方策でリスクを低減しながら価値提供を進める戦略 と言い換えることもできる。
新たな成長領域──Smart Lifeと企業向けICTで存在感を示す
docomoの戦略は単に通信事業の競争力改善だけに留まらない。公式戦略では Smart Lifeと企業向けDX領域の強化 に積極的に取り組んでいる。これは通信の次の領域として、クラウド、IoT、ソリューションを組み合わせることで、収益の多様化と長期的な競争優位性を確立する狙いだ。ドコモ
こうした取り組みは、減益という短期的な苦戦を補完するだけでなく、docomoのブランドを「通信インフラ」から「社会・産業インフラ」へと転換する可能性を秘めている。これは単なるサービス追加ではなく、データ利活用やAIなどを含む新領域での競争力確保を意味する。
まとめ:課題はあるが、巻き返しの方向性は存在する
docomoは確かに2025–2026の短期業績では他社に見劣りする面がある。しかし 単なる遅れではなく、投資先の質を変える転換期 とも言える。
営業減益は将来の成長領域構築のための先行投資、通信品質はネットワーク基盤強化の継続、そして金融サービスはパートナー連携を通じた生活インフラ化戦略という方向性が明確化している。
これらが成果として見えるのは 2026年末からその先の中期経営サイクル になってくると考えられる。docomoの巻き返しは一夜にして起きるものではないが、方向性としては“現実的な戦略” が描かれている。
さて docomoぼV字回復が起こるのか?
古くさい、高年齢層ばかり などという ラベルが靴替え得るであろうか?
問題は、現在の仕組みから新しい仕組みへの移行だと思います。
なぜなら現在のdocomo関連の手続きなど面倒なところが多い。
このあたりスムーズに出来なければ さらにシェアを落とすだろう