「プロンプトを打つだけで、映像と音声が同時に出てくる」
そんな一撃生成を可能にするのが、オープンソースで公開されたOvi
5秒のショート動画を24fpsで出力し、セリフ・環境音・効果音まで同期させる。公開直後からGitHubやHacker News、海外ブログで話題になり、Text→VideoだけでなくImage→Videoにも対応する“軽快さ”が注目を集めている。
本稿では、公式リポジトリや技術記事、ホスティングサービスの情報を突き合わせ、Oviの「できること/まだ苦手なこと」を具体的に整理する。
GitHub+1
目次
Oviとは何か:概要と売り(なぜ速い?)
Oviは、テキスト単体またはテキスト+初期画像(1枚)を入力に、動画と音声を同時に生成できるモデル。開発側は「veo-3ライクな設計」と説明し、5秒・24fpsのクリップを標準出力にする。OSSとして推論コードと学習済み重みが一般公開され、ローカル/クラウドで自由に試せるのが大きな特徴だ。 GitHub+1
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同時生成:映像と音声を“別々に合成して重ねる”のではなく、一体として生成。セリフや効果音が画に合いやすい。
GitHub -
二系統(Twin-Backbone)構成の解説:音声系と映像系を並走させて後段で融合する設計を解説するテック記事も登場。高速性・同期精度の一因と目される。
DEV Community -
オープンソース:モデル重みと推論コードが公開され、コミュニティ主導で改善が回り始めている。Hugging Faceスペースやミラーが増え、学習/推論の知見も共有が加速
Hugging Face
主要機能:テキスト、画像、タグ指定で“しゃべる映像”
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Text-to-Video(T2V):説明文だけで5秒動画+音声を生成。標準は24fps
GIGAZINE -
Image-to-Video(I2V):最初の1フレームを画像で与え、そこから指定した動きを展開。音声も同時出力
aaxwaz.github.io+1 -
音声タグ:プロンプト内でセリフや音の指示をタグで記述(例:<S>…</S>、<AUDCAP>…</AUDCAP>)し、誰が何をしゃべる/どんな環境音かを制御可能
Scenario -
品質/長さ:現状は約5秒が基本レンジ。外部ツールでアップサンプリングや連結が推奨される。
aaxwaz.github.io
使い方:3通り(セルフホスト / ノーコード / 有償API)
A. セルフホスト(無料)
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GitHubからモデル重みと推論コードを取得 → GPU環境(ローカル/クラウド)で実行。
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コストは自前GPU/クラウドGPU代のみ。自由度が最も高いが、セットアップやVRAM管理は中級者向け。 GitHub
B. ノーコードWeb UI
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Hugging Faceスペースなどで、画像アップ+プロンプトで5秒クリップを生成。手軽だが混雑時は待ち時間が出る。
Hugging Face
C. 有償API/ホスティング
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fal.aiなどがOviのText-to-Video / Image-to-Video APIを提供(商用可)。従量課金で、運用は最も簡単。価格は提供元のレートに依存
Fal.ai+2Fal.ai+2
なお「Ovi AI」を名乗るクレジット販売サイトやアグリゲーターもあり(例:一括クレジット制で5秒=5クレジットなどを掲示)、公式のOSSモデルと“ラッパー系サービス”は別物。決済前に運営主体と利用規約を要確認
Ovi AI Video+1
価格:無料で使うか、APIで払うか
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OSS(自前):無料。ただしGPUコスト/手間は利用者負担
GitHub -
API(fal.ai等):従量課金。他モデルと同様、推論回数/秒数/解像度で料金が変動
Fal.ai+1 -
ラッパー系サービス:クレジット制の買い切り/パックを掲示するサイトも(例:100~990クレジット、5秒=5クレジット等)。公式と誤認しないのが重要
Ovi AI Video
生成品質と評判:何ができて、どこが限界?
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強み
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爆速プレビュー:5秒レンジのため反復試行が速い。SNS向けのショート映像+セリフに相性が良い。
SourceForge -
同期感:セリフや効果音が映像に寄りやすい。“後付け合成”より自然という評価
Scenario -
OSSの開放性:研究・商用双方で改良/拡張の余地が大きく、コミュニティが活性化
GitHub
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弱み・現状の制約
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尺が短い(約5秒)。連結で“それっぽく”はできるが長尺一発生成は未対応
GIGAZINE -
一貫性:被写体の顔・手・小物の連続性が乱れることがある。複雑プロンプトは“スロット感覚”で回数を重ねる前提
Hacker News -
唇形状/発音:リップシンクは“それなり”だが、子音のニュアンスや長台詞は破綻しやすいとの声
Hacker News -
安全性:OSSゆえに各サービス/運用者のフィルタ実装に依存。商用運用では著作権・人格権・不適切利用の管理が必須
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プロンプト作法
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話す内容のタグ化:環境音や効果音は<AUDCAP>…</AUDCAP>で誰が何を言う/どんな音が鳴る**かを具体化。BGMの雰囲気もタグで指示
Scenario -
画の設計:Image-to-Videoは**“最初の1枚”の出来が命**。被写界深度や被写体の向き、ライティングを決めてから“動き”を丁寧に指定
aaxwaz.github.io -
ワークフロー:Oviで5秒×数本→良テイクを連結/アップサンプル→字幕/効果音微調整→SNS投稿。OSSコミュニティでもこの“短距離走の積み上げ”が推奨
aaxwaz.github.io
競合との位置づけ
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Sora / Veo / Runway / Pika / Kling / Viduなどに対し、Oviは“OSSで音声同時”が強み。実験速度と改造自由度で差別化。
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反面、画質・長尺・演出の安定性は商用大規模モデルに軍配。研究〜試作〜SNS用短尺が当面のハマりどころ
WaveSpeedAI
法務・商用利用の注意
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著作権/商標/人物権:実在IPや著名人の再現は避ける。素材画像を使う場合、ライセンス確認は必須。
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音声のデマ/なりすまし:同時生成音声は拡散力が強い。虚偽/誤認招致のリスク対策(透かし・告知・利用規約)を。
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データ由来の規制:EU/UKではDSA/オンライン安全法、各国のディープフェイク規制への準拠が必要(配信先法域で判断)。
まとめ
Oviは“動画と音声を同時に作る”体験を、OSSで手に入れられる数少ないモデルだ。5秒/24fpsという短尺ゆえミュージックバンパー、ニュースのインフォカード、SNSショートの導入部などに強い。商用での“量産運用”はAPIが現実的、一方でセルフホストは無料で自由度が高い。
いまの短所(尺・一貫性)を理解し、短尺の反復→連結という発想に切り替えれば、爆速プロトタイプ公開”**の武器になる。
主な出典
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GitHub(character-ai/Ovi):モデル概要、実行方法、設計説明。GitHub
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Ovi公式デモ/解説(研究者ページ):T2V/I2V、5秒・24fps、同時生成のデモ。aaxwaz.github.io
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Hugging Face Space:ノーコード試用。Hugging Face
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fal.ai(Ovi API):Image-to-Video/Text-to-Videoの商用利用。Fal.ai+1
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Gigazine(紹介記事):Oviの“5秒動画/24fps/同時生成”の概説。GIGAZINE+1
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技術ブログ/解説:Twin-Backbone構成、使い方ガイド。DEV Community+1
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体験談/評判:高速・楽しいが“スロット感覚”の出力品質という声。Hacker News
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ラッパー系価格ページ:クレジット/一括購入など、非公式サービスの料金例。Ovi AI Video+1
日本語プロンプト テンプレート例
日本語プロンプトテンプレートを4カテゴリ(ニュース/商品プロモ/教育/人事)ごとに整理しました。
それぞれOviのタグ仕様(<S>:セリフ、<AUDCAP>:効果音・BGM指示)に対応しています。
そのまま入力すれば、自然な短尺映像+音声が生成できます。
🎥 ① ニュース動画テンプレート(報道風)
プロンプト例:
用途:
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AIニュース/企業プレスリリースのショート動画
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ニュース系YouTubeショートの導入部分
🛍️ ② 商品プロモーション(マーケティング動画)
プロンプト例:
用途:
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ECサイト、SNS広告、展示会プレゼン動画
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製品発表イベントの短尺ムービー
🎓 ③ 教育・解説動画(学習・eラーニング向け)
プロンプト例:
用途:
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学校・企業研修用の短尺教材
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SNSでの知識シェア動画(「5秒でわかる〇〇」形式)
🧑💼 ④ 人事・採用向け(企業PR/チーム紹介)
プロンプト例:
用途:
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採用ページやX/LinkedIn動画投稿
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社内イベントや企業ブランディング動画
💡応用ポイント
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<S>タグの中に 1センテンス以内のセリフを入れると、リップシンクが自然になります。 -
<AUDCAP>は「音の種類+雰囲気(例:軽快・穏やか・未来的)」で指定。 -
長い内容は5秒ごとに分割して連結するのがおすすめ。