2018年お正月から
ジェームズ・ボンドで有名な007(ダブル・オー・セブン)の悪組織のような名前のセキュリティ問題が発生しています。
その名も「Spectre」そして「Meltdown」この2つがIT業界で問題になっています。
IT関連のニュースを見ると例のごとく「専門用語ばかり」でよくわかりません。
そこで、今回の「IT小僧の時事放談」では、「映画:007の悪組織のようなセキュリティ脆弱性 Spectre/Meltdown問題 」と題して何が問題になっているか簡単に説明いたします。
最後までお付き合いいだだけたら幸いです。
目次
Spectre/Meltdownの意味
Spectreとは?
- 幽霊,亡霊,妖怪,お化け
- 怖いもの(心に浮かぶ)恐ろしい幻影.
【語源】ラテン語「見えるもの」の意 - 『007 スペクター』
(原題:Spectre) - HP社製 ノートパソコンのブランド名
Meltdown
- 〔原子力〕メルトダウン,炉心溶融
- 急落、暴落、溶かす、溶解
- スラングでは怒り狂う、激怒
どちらも物騒な単語には違いないのですが、今回の問題も負けじ劣らず物騒なものです。
と言っても
まず、これは、なんなのか?
「敵を知れば恐るることなかれ」
というわけで解説をはじめます。
そもそもCPUって何なのか?
CPUというのは、スマートフォン、コンピュータなどに必ず入っている「賢いリーダー」です。
例えばスマートフォンで写真を撮りたいと思った場合
- スマートフォンを取り出してカメラアプリを起動
- カメラアプリがピント、露出、シャッタースピードなどを設定
- 写真を撮る。
- 撮った写真をデジタルに変換してファイルにする。
- ファイルをスマートフォンに格納
これらの機能を中心的に仕事をしているのがCPUと呼ばれるものです。
スマートフォンに対して何かさせようとするとき「リーダーとなって仕事をしているやつ」と覚えておいてください。
このリーダに問題があることがわかりました。
リーダー(CPU)は、すべての情報を取り扱うために厳しい姿勢を貫いています。
例えば、ダメな部下(アプリ)がいた場合、リーダー(CPU)は、
「こいつヤバそうだな???」と判断したら
「お前は、危ないから、ここから出てゆけ!」
と部屋から退出させて組織(スマートフォン)の安全を守ります。
また、秘密を握っているアプリを例えばジェームズ・ボンド(諜報部員)としましょう。
リーダー(CPU)をボンドの上司のMとします。ボンドが持っているパスワードなどの機密情報は、Mが、他にバラされないように常に監視しています。
ボンドが、ブロンド美女の敵のスパイ(別のアプリ)の色気に騙されそうになってもMは、それを許さず、最終手段で「ジェームズ・ボンドを抹殺」してでも機密を守ろうとします。「M=CPUは、頼りになるリーダー」ですね。
この「頼りになるリーダー(CPU)」に欠点があることがわかりました。
「頼りになるリーダー(CPU)」の欠点とは?
「頼りになるリーダー(CPU)」にも欠点がありました。
頼りになるリーダー(CPU)だからこそが持つ「特権」を悪用されてしまうことがあります。
例えば 007(ダブル・オー・セブン)に例えると
敵組織(SpectreとMeltdown)に雇われた犯人(アプリ)がMの誘拐を計画します。
Mは、「頼りになるリーダー」ですから、簡単には、誘拐されません。
ところが、弱点が見つかります。
普段、厳しい姿勢で仕事をしていますが、そこは、人間「弱み」があることがわかりました。自分の部下が、敵組織の手に落ちて復讐をしてきたわけです。
Mのすべてを知り尽くしている元部下(アプリ)は、弱点をついてきました。
この弱点こそ今回のSpectre/Meltdownと呼ばれるものです。この弱点を(SpectreとMeltdown)をつかってMが誘拐されてしまうと「機密情報」も外部に漏れてしまいます。
Mは、すべての情報と特権を握っていますから、悪の組織に利用されたら「世界征服」など簡単にできてしまいます。
今回のSpectre/Meltdownというものは、こんな感じと思ってください。
「頼りになるリーダー(CPU)」が誘拐されたら何が起こる?
悪の組織(Spectre/Meltdown)に誘拐されてしまったMが、もし利用されてしまったら
- ID・パスワード
- クレジットカード情報
- 暗証番号(銀行・暗号通貨など)
簡単に読み取られてしまいます。
誰がやられるのか?
現在動作しているあらゆるスマートフォン、パソコンがやられてしまいます。
MacintoshもWindowsもiPhoneもAndroidすべてです。
そしてクラウドと呼ばれるサーバーも影響があります。
AppleもGoogleもAmazonも全部です。
さらには、街の監視カメラも危険です。
これは、悪の組織による世界征服状態になってしまいます。
対策は?
根本的には、「リーダー」の首の挿げ替えしかありません。
例えば 007(ダブル・オー・セブン)に例えると
「映画:スカイフォール」で殺されたMに代わって新しいMが「映画:スペクター」に登場するようなものです。
と言っても映画なら役を交代すればいいのですが世界中に何億台?何兆かもしれないスマートフォンやパソコンのCPUは、簡単に取替できません。
そこで対症療法が必要になります。
例えば 007(ダブル・オー・セブン)に例えると
ボンドガールの登場です。
ボンドガールは、ボンドを誘惑しつつ解決の鍵を握っています。
このボンドガールが持っている鍵(最新のOSやアプリ)で解決(アップデート)しましょう。そして秘密兵器の開発をしているQを雇いましょう。
つまり、セキュリティソフトウェアの導入と更新をするのです。
Windowsは、既に更新が配布されています(KB4056892)
Mac関連ではmacOS High Sierraでは10.13.2、iOSでは11.2で対応されています。
これによって悪の組織(Meltdown)の対応はとりあえず完了です。
しかし、もうひとつの悪の組織(Spectre)は、現在のところ完全な対応ができていません。
狙われないようにするには?
具体的には、以下の4つを守ってください。
- 出どころが不明なアプリは実行しない
- 知らない人からのメールの添付ファイルは開かない
- USBメモリをむやみやたらと差し込まない
- 怪しいサイトは見ない、クリックしない
さらに
- 出来る限りOSとアプリのアップデートを行ってください。
これしか対策がありません。
要は、悪の組織に近づかなければ大丈夫です。
まとめ
Spectreというワードで007の映画に例えて説明しましたが、映画を知らない人には、少し分かりづらかったかも知れません。
今回発覚したセキュリティの問題点は、非常に根が深くソフトウェアの対応では、付け焼き刃的な状況です。
技術的な情報は、以下のリンクで確認できますが英語です。
https://meltdownattack.com/
また、ここにも記載されていますが、一般の人に対してどうすればよいか?については、詳しく書かれていません。
http://jp.techcrunch.com/2018/01/05/2018-01-03-kernel-panic-what-are-meltdown-and-spectre-the-bugs-affecting-nearly-every-computer-and-device/
トレンドマイクロ社が一番わかりやすいです。
http://blog.trendmicro.co.jp/archives/16735
ここにも簡単に解説されていますが、ハードルは高いです。
https://qiita.com/hiuchida/items/2248b379197a5052029e
かと言って今の我々には、上に上げた「怪しいアプリやサイトを使わない」という選択肢しかありません。
今後、CPUメーカーがどのような対応をしてくるかわかったらご報告します。
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おまけ
「ダニエル・クレイグ」の007 次回作決定らしいです。
いまから楽しみです。